イベント出店には「臨時営業許可」が必要って知ってた?
1. イベントで「販売」するなら許可が必要なことも
・フリマやマルシェも“営業行為”にあたるケースがある
地域のフリーマーケットやマルシェ、学園祭、フェスなどでの出店。
「ちょっとだけ」「趣味の延長」でも、販売行為をする場合は、
**内容によって“営業許可”や“届け出”が必要になることがあります。**
こうした臨時の出店は、通常の店舗営業とは違うルールが適用される場合があり、
知らずに参加して「指導を受けた」「出店を断られた」というケースも。
・「食品」「中古品」「創作物」などジャンルごとの違いとは
出店内容によって必要な手続きは大きく異なります。
– 食品を販売 → 保健所への「臨時営業許可」などが必要
– 中古品を販売 → 古物営業法の対象になる場合あり
– ハンドメイド作品 → 原則自由だが例外も
– 同人誌やCD → 基本は自由だが納税対象になる場合も
それぞれのパターンを具体的に見ていきましょう。
2. 「臨時営業許可」ってどんな制度?
・保健所が出す、イベント限定の食品提供許可
「臨時営業許可」または「臨時出店届」は、**イベントなどで一時的に食品を販売する際に必要な許可**です。
常設の飲食店と異なり、簡易な設備でも認められる制度ですが、
衛生管理の基準を満たす必要があり、所轄の保健所へ事前の申請が求められます。
・常設店とは違う“簡易施設扱い”の特別ルール
常設の飲食店営業許可とは別枠で、「○月○日のイベントで○○を販売」という内容に対してだけ出される許可であり、
**場所や日付が変われば新たに申請しなおす必要がある**のも特徴です。
3. 【食品系】焼きそばやクレープには必ず許可が必要
・提供内容によって異なる申請書と設備条件
焼きそば、唐揚げ、クレープなどの加熱調理を伴う食品の提供には、
必ず「臨時営業許可」が必要です。
加熱調理をしなくても、**冷蔵保存が必要なサンドイッチや乳製品**などを扱う場合も対象となります。
・【例】加熱調理あり・冷蔵品あり・包装済みで異なる判断
– 加熱あり:鉄板・ガス機器・手洗い設備などが必要
– 冷蔵品あり:クーラーボックス+温度計の設置が求められる
– 包装済みでも要冷蔵なら許可対象になることも
4. 【中古品販売】古物営業許可が必要なケースも
・【例】フリマで仕入れた衣類や雑貨を再販 → 古物扱いに
古物営業法では、一度消費者の手に渡った物品を買い取って再販売する行為に対して「古物商許可」が必要です。
「自分で使った中古品を売る」場合は不要ですが、
**仕入れ目的で中古品を集めて転売する場合は“営業”とみなされる**ことがあります。
・「自宅にある不用品販売」なら不要という線引き
– ✅:自分の不要品を一度きり売る → 許可不要
– ❌:営利目的で複数回転売する → 古物商許可が必要
– ❗:ゲームソフト・家電・ブランド品などは特に注意
5. 【ハンドメイド・創作物】注意すべき届け出や表示義務
・雑貨・アクセサリー販売に特別な許可は基本不要
自身が制作したハンドメイド作品(アクセサリー、布雑貨など)の販売には、
**通常、営業許可や届け出は必要ありません。**
・【例】ハンドメイド石けん・化粧品・布マスクなどが例外になる場合
以下のような“衛生”や“医薬品”に関わる製品は例外です:
– 石けん → 化粧品製造販売業の許可が必要なことも
– 布マスク →「医療用」と誤認させない表記が必要
– アロマ製品 → 効能をうたうと薬機法違反になる場合あり
6. 【同人誌・創作物】即売会で販売してもOK?
・印刷物・CD・グッズの販売は原則自由
自作の漫画・小説・イラスト集、音楽CDやグッズなどの販売は、
基本的に**営業許可などは不要で自由に行えます。**
・【例】頒布価格が高額なとき、税務処理はどうする?
継続的に利益を得ている場合(同人活動でも赤字でない場合)は、
**雑所得や事業所得として確定申告が必要になることがあります。**
7. 届出の対象になる“場所”と“開催形式”
・常設店?イベント出店?キッチンカー?それぞれの区分
– 常設の飲食店舗 → 飲食店営業許可
– キッチンカー → 営業許可+移動販売車登録
– イベントの食品出店 → 臨時営業許可
– 物販・創作物 → 許可不要な場合が多い
・主催者が一括で届けていても、自分の内容次第で個別対応が必要なことも
イベントによっては、主催者が一括で届け出をしてくれる場合もありますが、
**販売品目が許可の対象外であったり、衛生基準が満たされていない場合は出店できないことも。**
8. 提出先・タイミング・事前準備の基本
・開催地の保健所や警察署に出すケースとは
– 食品 → 保健所に「臨時営業許可」
– 中古品 → 警察署経由で「古物商許可」
– 雑貨・同人 → 届け出不要(ただし確定申告は別)
・提出タイミングは2週間前が原則(遅れるとNG)
特に食品販売の場合、開催日の**7〜14日前までに申請が必要**とされるケースが多く、
申請が間に合わないと出店そのものができなくなることもあります。
9. よくある誤解とトラブル例
・「一日だけならOK」と思って無届で出店 → 注意されるケース
1日限りのイベントでも、継続性の有無に関係なく「営業」と判断されることがあります。
特に飲食物は衛生リスクがあるため、**短期でも無許可営業はNG**です。
・【例】中古ゲーム販売が古物にあたって摘発された事例
フリマアプリやイベントで人気のある中古ゲームソフトなどを、
**転売目的で仕入れて販売していた個人が古物商無許可で摘発された例もあります。**
10. イベント出店は“商い”になるという意識を
・届け出やルールは「信頼」の土台になる
ほんの1日だけの出店でも、販売するからには**提供する側の責任**が生じます。
必要な届け出やルールを守ることは、買う人にとっての安心にもつながります。
・制度を知っていれば、もっと堂々と売れる
「知らずにやっていた」は通用しない場面もあります。
きちんと制度を知り、**正しく届け出て活動することで、継続的な出店の機会も広がります。**
イベント出店は“商い”の第一歩。制度を知って、安心して楽しみましょう。