【ごまアレルギーについて】症状・原因・対処法をやさしく整理
1. ごまアレルギーとは?あまり知られていないリスク
ごまは「隠れアレルゲン」?油・粉末・ペーストでの誤食も
「ごまアレルギー」はまだ広く知られているとは言えませんが、実は少量でも強いアレルギー反応を起こすことがあるアレルゲンです。
白ごま、黒ごま、金ごまと種類があり、生のまま・煎ったもの・粉末・油・ペーストといった多様な形で使われるため、「気づかずに摂取してしまう」という事故が起こりやすい特徴があります。
欧米では表示義務化の動きも進んでいる
ごまは、アメリカ・カナダ・EUなどでも特定アレルゲンとして表示が義務づけられるようになってきているほど、注意すべき食品とされています。
日本ではまだ法的表示義務はありませんが、任意表示が推奨されている「特定原材料に準ずる20品目」のひとつとして取り扱われています。
2. ごまアレルギーの症状の出かた
ごく少量で重症化する人も
ごまアレルギーの怖さは、微量でも反応が出る場合があるという点にあります。
中には香りづけ程度に使われたごま油や、ごまをトッピングしたパンの一口で、重い症状に至る人もいます。
特に幼児期に初めて発症するケースでは、症状の予測が難しいこともあり、注意が必要です。
口腔・皮膚・呼吸器・消化器に現れる多彩な症状
ごまアレルギーの症状は、人によって現れ方が異なります。代表的には次のような反応です:
・口の中の違和感やかゆみ
・唇や顔の腫れ、皮膚のじんましん
・咳や喉の腫れ、呼吸がしづらい
・吐き気、腹痛、下痢
これらが食後すぐから数時間以内に起こることが多く、アナフィラキシー反応を伴うこともあります。
3. アレルゲン成分とごまの加工形態
ごまのたんぱく質は加熱しても残りやすい
ごまに含まれるアレルゲンは加熱しても性質が残りやすいたんぱく質であり、焼いたり炒ったりしてもアレルギー反応を引き起こすことがあります。
また、ごま油などの脂質製品にもわずかにたんぱく質が残っていることがあり、高精製かどうかによって安全性が異なるという特性があります。
白ごま・黒ごま・金ごまに違いはあるのか?
ごまの種類によって栄養成分や風味に違いはありますが、アレルゲンとしての性質はほぼ共通と考えられています。
「白ごまは大丈夫だったけど黒ごまで症状が出た」というような個別例はありますが、いずれにしても医師の判断を仰ぐことが重要です。
4. ごまアレルギーで避けたい食品の例
① ごま油・すりごま・ごまペーストなどの加工品
代表的なごま製品は以下のとおり:
・ごま油(高精製品であっても注意)
・すりごま、いりごま、ねりごま(ペースト)
・タヒニ、ジーマミー豆腐などの郷土食品
加工の形を変えていてもアレルゲンは含まれる可能性が高いため、避ける必要があります。
② ドレッシング・和え物・パン・中華料理など
ごまは風味づけとして非常に多くの料理に使われています。
たとえば:
・ごまドレッシング
・胡麻和え
・ごま団子(中華)
・ごまトッピングのパンやベーグル
表示に「ごま」と書かれていなくても製造過程で使われている可能性があるため確認が必須です。
③ 菓子類・グラノーラ・お惣菜など意外な使用例
意外と見落としがちなのが:
・和菓子(ごま餡など)
・グラノーラやエナジーバー
・お惣菜のごま風味サラダや和え物
これらは味の奥にごまが使われていることがあるため、原材料名の確認を徹底しましょう。
④ 外食や惣菜での「見えない混入」に注意
外食では、ごま油やごまソースが調理中に使用されていても視覚的にわかりません。
「使っていないと思ったら調味料に含まれていた」というケースは多いため、事前に店側にアレルギーの旨を伝えることが大切です。
5. 検査と診断でわかること
IgE抗体検査と負荷試験の役割
ごまアレルギーの診断には、血液検査(特異的IgE測定)や、必要に応じて経口負荷試験が用いられます。
特に微量でも症状が出る人の場合は、検査の数値だけでなく実際の症状との関連を確認する必要があります。
個人差に応じた「完全除去の必要性」の判断
「少しなら大丈夫」という人もいれば、「においでも反応する」という人もいます。
どの程度までごまを避ける必要があるかは、医師の診断をもとに個別に判断されるべきであり、自己判断は避けましょう。
6. 日常生活での工夫と予防のポイント
表示確認のコツと、「植物油脂」にも注意
市販の加工食品では、ごまが「植物油脂」「香味油」「和風だし」などの形で含まれていることがあります。
また、「ごまを含む製品と同じ工場で製造しています」といったコンタミ表示も確認が必要です。
ごまを使わずに風味や栄養を補う方法
ごまが使えないと風味や食感が物足りないと感じるかもしれませんが、ナッツ・シード類(アレルギーがない場合)や、
ハーブやオイル、レモンなどの風味付けで十分に代用可能です。
また、栄養的にはビタミンEや脂質を他の食材で補うことができます。
まとめ
ごまアレルギーはまだあまり知られていないものの、少量でも重篤な反応を引き起こす可能性があるアレルゲンです。
「香りづけだから大丈夫」という油断が事故につながることもあるため、日常的に表示を確認し、外食時にはしっかり伝えることが重要です。
医師と連携しながら、安全でおいしい食生活を見つけていきましょう。
