【魚類アレルギーについて】症状・原因・対処法をやさしく整理
1. 魚にアレルギー?あまり知られていないが確かに存在する
白身魚・赤身魚の両方に起こる可能性
「魚がアレルギーの原因になるなんて意外」と感じる人も多いかもしれません。
しかし、魚類アレルギーは実在する食物アレルギーのひとつで、白身魚・青魚・赤身魚など、さまざまな魚種が関係しています。
特に日本のように魚介を日常的に食べる文化圏では、知らないうちに症状が出るリスクもあるため、知っておくことが大切です。
「魚介類すべて」ではなく「魚限定」のアレルギーもある
魚類アレルギーは、貝・えび・かになどの甲殻類とは異なるアレルゲンに反応します。
つまり「魚だけがダメだけど、貝類は大丈夫」という人もいますし、逆に魚卵やだしだけで反応が出る人もいます。
アレルギーは“どの成分に反応しているか”が非常に重要なのです。
2. 魚類アレルギーの症状と特徴
皮膚・呼吸・消化器などの急性反応
症状の出かたは個人差がありますが、よく見られるのは以下のような反応です:
・皮膚:かゆみ、発赤、じんましん
・消化器:腹痛、嘔吐、下痢
・呼吸器:咳、喉の違和感、呼吸困難
口に入れて数分〜1時間以内にこれらの症状が現れることが多く、早期の対応が求められます。
アナフィラキシーのリスクがあることも
中には、全身症状をともなうアナフィラキシーを起こす人もいます。
特に初めて症状が出たときは軽くても、次に食べたときには重症化する可能性もあるため、油断は禁物です。
医師の診察を受け、リスクのある食品を明確にしておくことが安全な食生活の第一歩になります。
3. アレルゲンとなるたんぱく質とその性質
「パルブアルブミン」が主な原因物質
魚類アレルギーの主な原因は、「パルブアルブミン」というたんぱく質です。
これは魚の筋肉に多く含まれていて、魚種を問わず共通してアレルゲンになる可能性があります。
特に白身魚や青魚に多く含まれることが知られており、アレルギーの原因を特定する際の重要な指標となります。
加熱や乾燥でも消えにくいアレルゲン
パルブアルブミンは熱や乾燥に強く、加工しても構造が壊れにくいたんぱく質です。
そのため、干物や焼き魚、魚粉、煮干しなどでもアレルギー反応が出ることがあります。
「火を通してあるから大丈夫」という認識は魚類アレルギーには当てはまりません。
4. 魚類アレルギーの人が避けるべき食品
① 焼き魚・刺身・干物・缶詰など直接的な魚料理
焼き魚、刺身、煮魚、缶詰など、魚そのものを使った料理は当然ながら要注意です。
特に和食の主菜には魚がよく使われるため、アレルギーがある人は代替メニューの確保が重要になります。
② だし・スープ・練り製品などの間接的な摂取源
煮干しやかつお節などを使った和風だし、練り製品(ちくわ、はんぺんなど)、鍋のスープなどには魚成分が含まれていることがあります。
料理そのものに魚が見当たらなくても、スープやだしが原因で症状が出ることもあるため、気を抜けません。
③ フィッシュソース・煮干し・魚粉などの調味料
東南アジア料理などに使われるナンプラー(魚醤)、お好み焼きやふりかけに含まれる魚粉や削り節にも要注意です。
加工されていてもアレルゲンは残っている可能性が高いため、表記をしっかり確認しましょう。
④ 加工食品・調理器具・製造ラインの混入リスク
同じキッチンで魚料理と他の料理を調理することで、調理器具を介したコンタミネーション(混入)が起こることがあります。
また、市販食品でも「本製品は魚を含む製品と同じ工場で製造しています」といった注意書きがあるものには注意が必要です。
5. 魚の種類による反応の差と医師の診断
「白身はOKで青魚はNG」など個人差がある
すべての魚に反応するわけではなく、特定の魚種だけにアレルギー反応を示す人も少なくありません。
たとえば、「サケは大丈夫だけどサバはダメ」「白身魚は食べられるが青魚はNG」など、人によって反応する魚の種類が異なることが多く見られます。
検査で何の魚に反応するかを調べられる
医療機関では、血液検査や皮膚テストを通じてどの魚にアレルギー反応を起こすかを特定することができます。
必要に応じて経口負荷試験(少量ずつ食べて確認する検査)が行われる場合もあります。
これにより、完全除去すべき魚と、摂取が可能な魚を見極めることができ、日常生活での自由度も高まります。
6. 日常生活での対処と代替手段
成分表示・加工原料に潜む見落としに注意
魚は直接的な食品だけでなく、だし、粉末、油、調味料などにも含まれるため、購入時には原材料欄を丁寧に確認することが大切です。
また、一見魚と関係なさそうな洋菓子やスナックにも魚由来の成分が含まれている場合があるため、油断は禁物です。
魚なしでもたんぱく質を摂る工夫とは
魚を食べられない場合、動物性・植物性のたんぱく質で代替が可能です。
たとえば、鶏肉・卵・乳製品・大豆食品・米や雑穀などをバランスよく取り入れることで、栄養不足を防げます。
また、魚由来の栄養素(EPAやDHA)を補うために、サプリメントの活用も検討されることがあります(ただし、魚由来かどうかの確認は必要です)。
まとめ
魚類アレルギーは、まだ認知度が高いとは言えないものの、重い症状を引き起こす可能性がある重要なアレルギーです。
どの魚に反応するかは人によって異なり、医師の診断に基づいた個別対応が非常に重要です。
日々の表示確認と、自分の体に合った食品の選択を続けることで、安心して食生活を送ることができます。
