しゃぶしゃぶの起源と歴史——昭和27年に大阪で生まれた「擬音語の料理名」

身近な食文化
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しゃぶしゃぶは薄切りの肉をだし汁にくぐらせてポン酢やごまだれで食べる日本の鍋料理です。現在のスタイルが生まれたのは戦後の昭和時代のことで、すき焼きや牛鍋に比べると比較的新しい料理です。「しゃぶしゃぶ」という名称も1952年(昭和27年)頃に生まれた造語とされています。

しゃぶしゃぶの歴史——年表

しゃぶしゃぶが誕生し、日本全国に広まるまでの流れをまとめました。

時期できごと
中国・蒙古(モンゴル)「涮羊肉(しゃんやんろう)」と呼ばれる羊肉の鍋料理が原型とされる。薄切り肉をスープにくぐらせる調理法
1952年(昭和27年)大阪の料亭「スエヒロ」が牛肉の薄切り鍋料理を提供し「しゃぶしゃぶ」と命名したとされる
1955年頃東京でも同様のスタイルが広まり始める。ポン酢・ごまだれという食べ方が定着
昭和40〜50年代高度経済成長とともにしゃぶしゃぶ専門店が増加。特別な日の外食として定着
平成以降食べ放題チェーンの登場で日常的な外食に。一人しゃぶしゃぶなど新業態も増加
現代牛・豚・鶏・魚介など多様な素材に拡大。海外でも「SHABU-SHABU」として知られる

すき焼きが明治時代から続く料理であるのに対し、しゃぶしゃぶは昭和27年に誕生した比較的新しい鍋料理です。

発祥——中国の羊肉鍋が大阪で牛肉料理に

原型は中国・モンゴルの「涮羊肉」

しゃぶしゃぶの原型とされるのは、中国の「涮羊肉(しゃんやんろう)」です。薄切りの羊肉を沸騰したスープにさっとくぐらせて食べるこの料理は、モンゴル系の食文化に由来するとされています。火鍋文化が盛んな中国・北部では現在も広く食べられており、特に北京では名物料理として知られているのです。

「スエヒロ」が日本式しゃぶしゃぶを確立

日本でしゃぶしゃぶが生まれたのは1952年(昭和27年)、大阪の料亭「スエヒロ」とされています。創業者が中国の薄切り肉料理をヒントに、日本の昆布だしを使って牛の薄切り肉をくぐらせる料理を考案しました。肉をくぐらせるときの音から「しゃぶしゃぶ」と命名し、現在に至る名称が定着したのです。

ポン酢とごまだれという2種類のたれで食べるスタイルも、この時代に確立されました。さっぱりとしたポン酢と、コクのあるごまだれを使い分けることで、素材の味を引き立てる食べ方として広まっていきます。

しゃぶしゃぶの特徴——すき焼きとの違い

同じ「薄切り肉の鍋料理」であるすき焼きとしゃぶしゃぶの違いをまとめました。

項目しゃぶしゃぶすき焼き
だし・スープ昆布だしが基本。薄味で素材の風味を活かす醤油・砂糖・みりんの甘辛い割り下
食べ方ポン酢またはごまだれにつけて食べる生卵にくぐらせて食べる(関東式)
カロリー野菜・だしが主役でヘルシーなイメージ甘辛い割り下で食べ応えがある
誕生時期昭和27年(1952年)・比較的新しい明治時代・牛鍋から発展

しゃぶしゃぶはだしの風味で食べる料理のため、昆布の質が味を大きく左右します。高級店ほど昆布だしにこだわりを持っているのはそのためです。

ポン酢のイラスト

豆知識——「しゃぶしゃぶ」という名前の由来と豚しゃぶの登場

「しゃぶしゃぶ」は擬音語から生まれた名称

「しゃぶしゃぶ」という名称は、肉をだし汁でくぐらせる際の「しゃぶしゃぶ」という音から来ています。日本語の擬音語が料理名になった珍しい例であり、命名した大阪の料亭「スエヒロ」が1955年(昭和30年)に商標登録を取得しました。後に商標は一般名称化されましたが、それほど「しゃぶしゃぶ」という名称が広く使われるようになったということです。

豚しゃぶは昭和後期に広まった

しゃぶしゃぶといえば牛肉が主流でしたが、現在では豚肉を使った「豚しゃぶ」も定番になっています。豚しゃぶが広まったのは昭和50年代以降のことで、牛肉より安価で家庭でも手軽に楽しめる点が支持されました。ポン酢との相性が良く、ヘルシーなイメージもあって現在では牛しゃぶと並ぶ定番として定着しています。

中国の羊肉鍋が大阪で牛肉料理に形を変え、昆布だし・ポン酢・ごまだれという日本独自の組み合わせでしゃぶしゃぶとして完成しました。擬音語が料理名になるほど、その食感と音が印象的な一皿といえるでしょう。