カレーライスの起源と歴史——インドからイギリス経由で日本の国民食になるまで

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カレーライスは日本で最も愛される国民食の一つですが、インドのカレーが直接日本に伝わったわけではありません。イギリス経由でカレー粉が日本に入り、明治時代に海軍・陸軍の食事として広まり、戦後に固形ルウが登場して家庭料理として定着した——という独自の経路をたどっています。

カレーライスの歴史——年表

カレーが日本に伝わり、国民食として定着するまでの流れをまとめました。

時期できごと
1868年頃(明治初期)イギリス経由でカレー粉が日本に伝来。横浜・神戸の洋食店でカレー料理が提供され始める
1872年(明治5年)「西洋料理指南」にカレー料理のレシピが掲載。一般向けに広まるきっかけに
明治中期〜後期海軍・陸軍の食事にカレーが採用。「兵食(へいしょく)」として全国に広まる
大正〜昭和初期学校給食・食堂でカレーが普及。「カレーライス」として家庭にも浸透し始める
1956年(昭和31年)エスビー食品・ハウス食品が固形カレールウを発売。家庭でのカレー調理が格段に簡単に
現代週1回以上カレーを食べる日本人が多く、スーパー・コンビニ・レストランで多様なカレーが普及

インドから直接ではなく、イギリスを経由して日本に伝わったことで、日本のカレーはインドカレーとは異なる独自の発展を遂げました。

発祥——イギリス経由で伝わったカレー粉

インドカレーではなく「イギリスのカレー」が原型

日本にカレーが伝わったのは明治時代初期で、その経路はインドではなくイギリスです。イギリスがインドを植民地支配する中でカレーを本国に持ち帰り、カレー粉(スパイスを調合した粉末)として製品化したものが日本に輸入されました。イギリスのカレーはインドの家庭料理とは異なり、小麦粉でとろみをつけた「カレーソース」スタイルに変化していました。これが日本のカレーライスの原型になっています。

海軍カレーが全国普及の原動力

日本でカレーが全国規模で広まった最大の要因は、明治時代の軍隊食への採用です。海軍はカレーを栄養バランスの良い食事として採用し、全国から集まった兵士たちがカレーを口にしました。除隊後に故郷に帰った兵士たちが各地にカレーの味を広めたため、カレーが全国に普及したとされています。神奈川県横須賀市は「海軍カレー」の発祥地として今もカレーの街として知られているのです。

日本カレーの特徴——インドカレーとの違い

日本のカレーライスとインドカレーは、スパイスのベースは同じでも、調理法・食べ方が大きく異なります。

項目日本のカレーライスインドカレー
とろみ小麦粉や固形ルウでしっかりとろみをつけるスパイスとヨーグルト・トマトが中心。さらさらしたものが多い
主食白米と組み合わせるナン・チャパティ・バスマティライスなど多様
甘みりんご・はちみつ・玉ねぎの甘みを加えることが多い甘みより辛みとスパイスの複雑さを重視
スパイス市販ルウに含まれる調合済みスパイスが主流クミン・コリアンダー・ターメリックなどを個別に調合

日本のカレーライスは独自の進化を遂げた「和食化した洋食」ともいえる料理です。

カレーライスのイラスト

豆知識——固形ルウの発明と「カレー曜日」文化

固形ルウが家庭カレーを変えた

日本の家庭カレーが一般化したのは、1956年(昭和31年)に固形カレールウが発売されてからです。それまで家庭でカレーを作るにはカレー粉・小麦粉・油脂を個別に調合する必要があり、手間がかかりました。固形ルウを溶かすだけで本格的なカレーができる手軽さは画期的で、家庭の食卓に急速に普及しました。現在の市場では年間数百億円規模のカレールウが販売されています。

金曜日はカレーの日——海上自衛隊の伝統

海上自衛隊では、現在も毎週金曜日の昼食がカレーと決まっているのです。長期の航海中に曜日感覚を失わないようにするための工夫が起源とされており、「金曜日=カレー」という習慣が引き継がれています。各艦艇・基地で独自のカレーレシピが受け継がれており、「自衛隊カレー」としてレトルト商品化されたものも人気を博しているのです。

インドのスパイス料理がイギリスで変形し、明治日本の軍隊食として広まり、固形ルウで家庭に入った——カレーライスはこれだけの変遷を経て日本の国民食になりました。どの国にもない独自の進化が、日本のカレーを世界で唯一の料理にしています。