オムライスはケチャップライスを薄焼き卵で包んだ日本の洋食で、明治時代末期に東京と大阪でほぼ同時期に誕生したとされています。フランスのオムレツと日本のご飯文化が組み合わさって生まれた、日本独自の「和洋折衷」料理の一つです。
オムライスの歴史——年表
オムライスが誕生し、家庭料理として定着するまでをまとめました。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 1900年頃(明治30年代) | 東京・銀座の「煉瓦亭(れんがてい)」と大阪・心斎橋の「北極星(ほっきょくせい)」がほぼ同時期にオムライスを考案したとされる |
| 大正時代 | 洋食店のメニューとして普及。「オムライス」という名称が定着する |
| 昭和初期〜中期 | 家庭料理としても広まる。学校給食やお弁当にも登場 |
| 昭和後期 | ふわとろオムライス・デミグラスソースのアレンジが人気に |
| 1990年代 | 映画・テレビドラマでのオムライスシーンが話題に。レストランでの人気定番メニューとして再注目される |
| 現代 | 洋食店・ファミレス・家庭料理として幅広く愛される。天津飯風・デミグラス・和風など多様なアレンジが存在 |
東京・大阪で独立して生まれたという「2か所発祥説」があり、現在も両店がそれぞれ元祖を主張しているのです。
発祥——東京「煉瓦亭」と大阪「北極星」
東京・煉瓦亭の「ライスオムレツ」
東京・銀座の老舗洋食店「煉瓦亭(れんがてい)」は、1895年(明治28年)創業の日本を代表する洋食の名店です。煉瓦亭が「ライスオムレツ」として提供したのが日本初のオムライスとされており、1900年(明治33年)頃の考案だという説があります。当初は忙しい職人たちが片手で食べられる料理として考案されたとも言われています。
大阪・北極星の「オムライス」
大阪・心斎橋の「北極星(ほっきょくせい)」も、1922年(大正11年)頃にオムライスを考案したとされる老舗洋食店です。胃が弱い常連客のために「卵とご飯だけのやさしい料理」として作ったのが始まりだという逸話が残っているのです。「オムライス」という名称を初めて使ったのはこの店とされており、日本中に広まった呼び名の発祥とも言われています。
オムライスの特徴——卵の包み方とソースの種類
オムライスは卵の包み方とソースの種類によってさまざまなバリエーションがあります。
| スタイル | 卵の包み方 | 主なソース |
|---|---|---|
| クラシック | 薄焼き卵でご飯を包む(俵型) | ケチャップ |
| ふわとろ | 半熟卵をご飯に乗せて切り開く | デミグラスソース・ケチャップ |
| 洋食店風 | しっかり包んで形を整える(旗付き) | デミグラスソース・ホワイトソース |
| 和風アレンジ | 天津飯風に卵を乗せる | あんかけ・出汁ベース |
「ふわとろ」スタイルは1990年代以降に人気が広まったもので、クラシックなオムライスとは別の料理に近いものです。

豆知識——「オムライス」の名前の由来と映画での登場
「オムライス」は和製英語
「オムライス」という名称は、フランス語の「オムレツ(Omelette)」と英語の「ライス(Rice)」を組み合わせた和製造語です。フランス語と英語を混ぜた造語が日本全国に定着したというのは、明治・大正の洋食文化の広まりを示しています。英語圏では「Omurice」として知られ、近年は韓国・台湾でも人気の料理になっているのです。
映画「タンポポ」とオムライスの文化的影響
1985年公開の伊丹十三(いたみじゅうぞう)監督の映画「タンポポ」や、2003年公開の映画「こんな夜更けにバナナかよ」など、日本の映画・ドラマにオムライスは印象的な食事シーンとして度々登場します。「思いを込めて作るオムライス」というイメージが定着しており、単なる洋食の枠を超えて感情を表す料理として描かれることも多い料理です。
フランスのオムレツと日本のご飯が合わさって明治に生まれ、「オムライス」という和製造語で全国に広まりました。東京と大阪という2か所の元祖が今も存在する点も、日本の食文化の面白さを物語っています。


