ハンバーグの起源と歴史——ハンブルク港の労働者食が日本の洋食になるまで

身近な食文化
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ハンバーグはひき肉を成形して焼いた料理で、日本では「洋食の定番」として広く親しまれています。名前はドイツのハンブルク(Hamburg)に由来しており、18〜19世紀にドイツからアメリカへ移民した人々が持ち込んだ料理が原型です。現在のデミグラスソースと目玉焼きを添える「日本のハンバーグ」は、アメリカのハンバーガーとは別の進化を遂げた料理です。

ハンバーグの歴史——年表

ドイツ発祥のひき肉料理が日本でハンバーグとして定着するまでをまとめました。

時期できごと
18世紀(ドイツ)ハンブルク港の労働者が食べていた「ハンブルクステーキ」が原型。刻んだ牛肉を焼いたシンプルな料理
19世紀(アメリカ)ドイツ移民がアメリカへ持ち込み「Hamburg steak」として普及。バンズに挟んだハンバーガーへと変化する
明治〜大正時代(日本)日本の洋食店に「ハンブルクステーキ」が登場。デミグラスソースをかけるスタイルで提供
昭和30〜40年代ファミリーレストランの普及とともに「ハンバーグ」として広まる。家庭料理としても定着
昭和48年(1973年)ロイヤルホスト・すかいらーくなどのファミレスが展開。ハンバーグが定番メニューに
現代高級ハンバーグ専門店の登場。レアハンバーグ・生ハンバーグなど多様なスタイルに

「ハンバーグ」という言葉はドイツの都市名に由来しますが、現在の日本のハンバーグスタイルはアメリカ経由ではなく、明治の洋食文化の中で独自に発展したものです。

発祥——ハンブルクの港湾労働者の食事が世界へ

18世紀ドイツ・ハンブルクの「ステーキ」

ハンバーグの起源はドイツ北部の港湾都市ハンブルク(Hamburg)にあります。18世紀頃、ハンブルク港の船員や労働者が固い塩漬け牛肉を細かく刻んで焼いた料理が「ハンブルクステーキ」と呼ばれ始めたとされています。安い肉を食べやすく加工した料理として広まり、ハンブルクの名物になりました。

アメリカへ渡り、日本へ伝わった経路

19世紀にドイツからアメリカへの移民が増加すると、ハンブルクステーキもアメリカに持ち込まれました。アメリカでは「Hamburg steak」として普及し、やがてパンに挟んで食べる「ハンバーガー」へと変化していきます。日本には明治時代に西洋料理として伝わり、洋食店でデミグラスソースをかけて提供するスタイルが生まれました。

ハンバーグの特徴——日本式とアメリカ式の違い

同じひき肉料理でも、日本のハンバーグとアメリカのハンバーガー用パティは大きく異なります。

項目日本のハンバーグアメリカのパティ(ハンバーガー)
つなぎ卵・パン粉・玉ねぎを加えてふっくら仕上げるひき肉のみ。牛肉100%が基本
焼き方フライパンで蒸し焼きにしてジューシーにグリルで焼く。外側の焦げ目を重視
食べ方皿に乗せてソース(デミグラス・和風など)をかけるバンズに挟んでトッピングとともに食べる
食感の目標やわらかくジューシー。箸で切れる柔らかさが好まれる肉感と歯ごたえを重視することが多い

日本のハンバーグに「つなぎ」を使うのは、やわらかく仕上げるためです。ふっくらとした食感は、卵とパン粉が肉汁を閉じ込める役割を果たしています。

スキレットのハンバーグのイラスト

豆知識——「ハンバーガー」との違いと高級化の流れ

「ハンバーグ」は日本語、「ハンバーガー」は英語

「ハンバーグ」はドイツ語の地名「Hamburg(ハンブルク)」の日本語読みが短縮されたものです。英語圏では「Hamburg steak」または「Hamburger steak」と呼び、パンに挟んだものを「Hamburger」と区別します。日本では「ハンバーグ」と「ハンバーガー」が別の料理として明確に区別されていますが、語源は同じです。

高級ハンバーグ専門店の登場

2010年代以降、wagyu(和牛)100%・レアで提供する高級ハンバーグ専門店が注目を集めています。行列のできる人気店も多く、ランチで2000〜5000円を超える高級ハンバーグも珍しくなくなりました。ファミレスの定番料理だったハンバーグが「ご褒美グルメ」としても楽しまれるようになり、価格帯の幅が一気に広がっています。

ハンブルク港の労働者食が大西洋を渡り、太平洋を渡って日本独自の「洋食ハンバーグ」として完成しました。デミグラスソースと目玉焼きが乗った一皿は、明治から続く日本の洋食文化の集大成といえます。