仮説思考とは?問題解決のための思考法
「仮説思考」ってなに?
仮説を立ててから考えるとはどういうこと?
「仮説思考(かせつしこう)」という言葉を聞いたことがありますか?これは、「とりあえず答えを決めてから考える」という、ちょっと変わった考え方です。えっ、いきなり答えを決めちゃっていいの?と思うかもしれません。でも、ここでいう「答え」は、あくまで仮(かり)のもの。つまり「もしかして、こうかもしれない」という前提で、そこから先の考えをスタートさせるんです。
たとえば、教室で「今日は誰か先生に怒られてたけど、なんでだろう?」と考えるとき、「もしかして宿題を忘れたのかも」とまず仮の答えを立てて、そこから理由を探していくのが仮説思考の基本です。
「とりあえず考えてみる」の一歩進んだ形
よく、「とりあえず考えてみよう」と言いますよね。でも、仮説思考はその一歩先を行きます。「とりあえず、こういう理由がありそう」と考えて、その前提で調べたり話し合ったりするんです。なんとなく思いつきを並べるのではなく、筋道をつけながら考えていくための、考え方の道具のようなものだと思ってください。
仮説思考のメリット
ムダを減らして、早く答えに近づける
仮説を立ててから考えると、やみくもに情報を集めたり、あっちこっち話がそれたりすることが少なくなります。たとえば、テストの点数が下がった理由を考えるとき、「勉強時間が足りなかったかも」という仮説があれば、そこから「いつ勉強した?」「何時間くらい?」と具体的な確認ができます。だから、ムダが減って早く問題の本質に近づけるのです。
答えがない問題にも取り組める
仮説思考のいいところは、「答えがまだない問題」や「正解がひとつじゃない問題」にも取り組めることです。たとえば、「どうすれば文化祭をもっと楽しくできるか?」という問いには、正解がありません。でも「出し物のバリエーションが足りなかったのかも」などの仮説を立てていくことで、話し合いや計画が進めやすくなります。
仮説思考の進め方
まず「こうかもしれない」と考えてみる
仮説思考のスタートは、「こうかもしれない」と考えるところから始まります。まだ確かなことはわからなくても、自分の経験や観察から「たぶんこうだろう」という仮の答えを用意してみましょう。
大事なのは、「当たってるかどうか」はこの時点では気にしないこと。仮説は間違っていてもいいんです。むしろ、間違っていたとしても、それが新しい気づきにつながることもあります。
仮説を立てたら、確かめる方法を考える
次に、その仮説が本当に合っているのか、どうやって確かめるかを考えます。たとえば「休み時間にみんながスマホを見ているのは、YouTubeを見ているからだ」という仮説を立てたら、実際に友だちに聞いたり、画面をのぞいたりして確かめてみるのです。
この「立てて→確かめる」という流れが、仮説思考の基本です。
実際にどう使うの?身近な例で考えてみよう
「友だちが元気ない理由」を仮説で考える
たとえば、いつも元気な友だちが今日はなぜか静か。こんなとき、「どうしたんだろう?」と気になることがありますよね。ここで仮説思考を使ってみましょう。
仮説1:「昨日、親とケンカしたのかもしれない」
仮説2:「体調が悪いのかも」
仮説3:「テストの結果が悪かったのかもしれない」
こうやっていくつか仮の理由を考えてみることで、どんな声をかければいいか、どんなことに気をつければいいかも自然と見えてきます。
学校のイベント運営でも仮説思考は活きる
たとえば、去年の体育祭で盛り上がりに欠けたと感じたとき、「なぜ盛り上がらなかったのか?」を考えるのも仮説思考です。
「競技が少なすぎたのかも」
「ルールがわかりづらかったのかも」
「応援がバラバラだったのかも」
こうした仮説をもとに、次のイベントでは「競技数を増やす」「ルール説明の時間を作る」「応援団を組織する」といった改善策を考えることができます。
気をつけたいこと・よくある失敗
仮説にこだわりすぎて柔軟さをなくさない
仮説思考はとても便利ですが、気をつけたいこともあります。ひとつは、仮説にこだわりすぎないこと。自分が立てた仮説が絶対に正しいと思い込んでしまうと、他の可能性が見えなくなってしまいます。
大切なのは、「この仮説が合っているかもしれないけど、もしかしたら違うかも」と思いながら考える姿勢です。
「仮説=決めつけ」にならないようにする
もうひとつの注意点は、「仮説と思い込み」を混同しないこと。仮説は「仮の考え」なので、必ず検証したり、見直したりする必要があります。でも、決めつけになってしまうと、「あの子は絶対こうだ」と思ってしまって、相手に対して不公平な見方をしてしまうことがあります。
だからこそ、仮説を立てたら、それを一度冷静に見つめ直すことが大切です。
まとめ:仮説思考で「考える力」を育てよう
考える前に「仮の答え」を持つことで、見える世界が変わる
仮説思考は、何かを考えるときに「とりあえずこうかも」と予想してから行動する考え方です。これによって、無駄な遠回りを減らしたり、見えなかった部分に気づけたりします。
正解を探すより、「考える姿勢」が大切
すべての問題に正解があるわけではありません。でも、仮説を立てて考えていくことで、自分なりの答えに近づいていくことができます。それが、考える力を育てる第一歩になります。
仮説思考は、日々のちょっとした疑問からでも始められます。まずは「もしかして、こうかも?」とつぶやいてみるところから、スタートしてみませんか?