副業で中古品販売を考えている人へ—古物商許可の基本から手続きまで

雑学・教養

副業で中古品販売を考えている人へ—古物商許可の基本から手続きまで

  1. 1. 中古品を売るのは自由?最初に知っておくべき前提
    1. ・「いらないものを売る」行為と法律の関係
    2. ・“営業”と“私物処分”の法的ちがい
  2. 2. 古物商許可が必要になる条件とは?
    1. ・営利目的+反復継続の有無が判断軸
    2. ・仕入れて売る行為=明確な許可対象
  3. 3. 古物商許可を取るための要件
    1. ・個人と法人、それぞれの申請条件
    2. ・欠格事由とは?過去の犯罪歴などが影響する
  4. 4. 申請の手続きと必要書類まとめ
    1. ・警察署(生活安全課)に提出する書類一覧
    2. ・申請費用と審査期間の目安
  5. 5. 営業所の要件と「自宅」の注意点
    1. ・賃貸住宅で申請できるのか?
    2. ・物理的空間と表札・郵便受けの表示義務
  6. 6. 許可が下りた後にやるべきこと
    1. ・標識の掲示と取引台帳の管理
    2. ・定期的な帳簿記録と保存期間(3年)
  7. 7. ネットで販売する場合の追加手続き
    1. ・「URL届出」の提出とは何か
    2. ・複数サイトで販売する場合の留意点
  8. 8. 知らないと困る「変更届」と「更新制度」
    1. ・営業所移転や代表者変更時の届出義務
    2. ・5年ごとの更新手続きを忘れずに
  9. 9. 違反するとどうなる?許可取消や罰則の例
    1. ・無届出や虚偽申請による罰則
    2. ・行政指導や営業停止のリスク
  10. 10. 「副業だからこそ」許可を取って安心して始めよう
    1. ・法律を味方にして継続できる副業に
    2. ・知らずに始めて後悔する前に、今チェック

1. 中古品を売るのは自由?最初に知っておくべき前提

・「いらないものを売る」行為と法律の関係

クローゼットの中にある服や、使わなくなった家電をフリマアプリで売る――これは多くの人が経験している日常の行為です。
こうした「不要品の処分」は、原則として法律上の問題はありません。

・“営業”と“私物処分”の法的ちがい

問題になるのは、「利益目的で中古品を仕入れて販売する」場合。
この行為は「古物営業」に該当し、法律上は「古物商許可」が必要となります。知らずに続けると、無許可営業に該当する可能性もあるのです。

2. 古物商許可が必要になる条件とは?

・営利目的+反復継続の有無が判断軸

たとえば、「フリマで売れるとわかっている古着を業者から仕入れて再販する」などは営利目的かつ反復性があり、古物営業にあたります。
つまり、“本気で稼ごうとするほどに、法律が関係してくる”のです。

・仕入れて売る行為=明確な許可対象

特に、仕入先がリサイクルショップやネットオークションである場合、その品が「古物」として扱われるため、販売者にも古物商としての責任が生じます。

3. 古物商許可を取るための要件

・個人と法人、それぞれの申請条件

個人でも法人でも申請可能です。未成年や一定の犯罪歴がある人は申請できません。
「副業だから関係ない」と思っていても、条件は一律で適用されます。

・欠格事由とは?過去の犯罪歴などが影響する

たとえば「過去5年以内に禁錮刑以上の刑に処された人」や「暴力団関係者」などは申請不可です。
これは古物市場を悪用した犯罪を防ぐための措置です。

4. 申請の手続きと必要書類まとめ

・警察署(生活安全課)に提出する書類一覧

必要書類には、以下のようなものがあります:

– 古物商許可申請書
– 略歴書
– 誓約書
– 住民票(本籍入り)
– 営業所の賃貸契約書または所有証明
– 営業所付近の地図

・申請費用と審査期間の目安

申請費用は一律で**19,000円**(都道府県収入証紙)。
審査期間は通常40日以内。問題がなければそのまま許可が下ります。

5. 営業所の要件と「自宅」の注意点

・賃貸住宅で申請できるのか?

自宅を営業所とすることも可能ですが、賃貸物件の場合は「賃貸契約に事業利用を許可しているか」を確認する必要があります。
オーナーの承諾が必要なケースも多いので、事前確認は必須です。

・物理的空間と表札・郵便受けの表示義務

営業所には、古物商としての標識を掲示しなければならず、郵便物の受け取りが可能な環境であることも条件とされます。

6. 許可が下りた後にやるべきこと

・標識の掲示と取引台帳の管理

営業所には「古物商」または「古物市場主」である旨を記載した標識を掲げなければなりません。
さらに、買い取りのたびに相手の氏名・住所・品名などを記録した帳簿をつけ、3年間保管する義務もあります。

・定期的な帳簿記録と保存期間(3年)

帳簿は「手書き」でも「デジタル」でも可。ただし、警察の立入調査に備え、内容は正確に記録し、保存が求められます。

7. ネットで販売する場合の追加手続き

・「URL届出」の提出とは何か

ネット販売をする場合は、利用するサイトごとに「インターネット取引届出書(URL届)」を提出しなければなりません。
複数のサイトで販売する場合は、それぞれ記載が必要です。

・複数サイトで販売する場合の留意点

例:ヤフオク・メルカリ・自社ECサイトを同時に使う場合、それぞれのURLをすべて明記し、変更があった際には再度届出を行う必要があります。

8. 知らないと困る「変更届」と「更新制度」

・営業所移転や代表者変更時の届出義務

営業所の移転、氏名変更、代表者の交代などがあった場合、速やかに警察署へ「変更届」を提出しなければなりません。

・5年ごとの更新手続きを忘れずに

古物商許可は**5年ごとに更新**が必要です。更新手続きを忘れると、許可が自動的に失効してしまうため注意が必要です。

9. 違反するとどうなる?許可取消や罰則の例

・無届出や虚偽申請による罰則

無許可営業が発覚した場合、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。
虚偽申請も重い処分の対象になります。

・行政指導や営業停止のリスク

軽微な違反でも、警察からの「指導」「営業停止命令」が出ることがあります。
副業であっても、免許を持つ以上、事業者としての責任が問われます。

10. 「副業だからこそ」許可を取って安心して始めよう

・法律を味方にして継続できる副業に

古物商許可を取っておけば、堂々とビジネスとして中古品販売を行うことができます。
税務申告との整合性もとれ、副業としても“長く安心して続けられる”土台ができます。

・知らずに始めて後悔する前に、今チェック

「知らなかった」「副業だから問題ないと思っていた」では済まされません。
古物商許可は、面倒なようで意外と手が届く制度です。始める前にきちんと確認して、正しいスタートを切りましょう。