副業で中古品販売を考えている人へ—古物商許可の基本から手続きまで
1. 中古品を売るのは自由?最初に知っておくべき前提
・「いらないものを売る」行為と法律の関係
クローゼットの中にある服や、使わなくなった家電をフリマアプリで売る――これは多くの人が経験している日常の行為です。
こうした「不要品の処分」は、原則として法律上の問題はありません。
・“営業”と“私物処分”の法的ちがい
問題になるのは、「利益目的で中古品を仕入れて販売する」場合。
この行為は「古物営業」に該当し、法律上は「古物商許可」が必要となります。知らずに続けると、無許可営業に該当する可能性もあるのです。
2. 古物商許可が必要になる条件とは?
・営利目的+反復継続の有無が判断軸
たとえば、「フリマで売れるとわかっている古着を業者から仕入れて再販する」などは営利目的かつ反復性があり、古物営業にあたります。
つまり、“本気で稼ごうとするほどに、法律が関係してくる”のです。
・仕入れて売る行為=明確な許可対象
特に、仕入先がリサイクルショップやネットオークションである場合、その品が「古物」として扱われるため、販売者にも古物商としての責任が生じます。
3. 古物商許可を取るための要件
・個人と法人、それぞれの申請条件
個人でも法人でも申請可能です。未成年や一定の犯罪歴がある人は申請できません。
「副業だから関係ない」と思っていても、条件は一律で適用されます。
・欠格事由とは?過去の犯罪歴などが影響する
たとえば「過去5年以内に禁錮刑以上の刑に処された人」や「暴力団関係者」などは申請不可です。
これは古物市場を悪用した犯罪を防ぐための措置です。
4. 申請の手続きと必要書類まとめ
・警察署(生活安全課)に提出する書類一覧
必要書類には、以下のようなものがあります:
– 古物商許可申請書
– 略歴書
– 誓約書
– 住民票(本籍入り)
– 営業所の賃貸契約書または所有証明
– 営業所付近の地図
・申請費用と審査期間の目安
申請費用は一律で**19,000円**(都道府県収入証紙)。
審査期間は通常40日以内。問題がなければそのまま許可が下ります。
5. 営業所の要件と「自宅」の注意点
・賃貸住宅で申請できるのか?
自宅を営業所とすることも可能ですが、賃貸物件の場合は「賃貸契約に事業利用を許可しているか」を確認する必要があります。
オーナーの承諾が必要なケースも多いので、事前確認は必須です。
・物理的空間と表札・郵便受けの表示義務
営業所には、古物商としての標識を掲示しなければならず、郵便物の受け取りが可能な環境であることも条件とされます。
6. 許可が下りた後にやるべきこと
・標識の掲示と取引台帳の管理
営業所には「古物商」または「古物市場主」である旨を記載した標識を掲げなければなりません。
さらに、買い取りのたびに相手の氏名・住所・品名などを記録した帳簿をつけ、3年間保管する義務もあります。
・定期的な帳簿記録と保存期間(3年)
帳簿は「手書き」でも「デジタル」でも可。ただし、警察の立入調査に備え、内容は正確に記録し、保存が求められます。
7. ネットで販売する場合の追加手続き
・「URL届出」の提出とは何か
ネット販売をする場合は、利用するサイトごとに「インターネット取引届出書(URL届)」を提出しなければなりません。
複数のサイトで販売する場合は、それぞれ記載が必要です。
・複数サイトで販売する場合の留意点
例:ヤフオク・メルカリ・自社ECサイトを同時に使う場合、それぞれのURLをすべて明記し、変更があった際には再度届出を行う必要があります。
8. 知らないと困る「変更届」と「更新制度」
・営業所移転や代表者変更時の届出義務
営業所の移転、氏名変更、代表者の交代などがあった場合、速やかに警察署へ「変更届」を提出しなければなりません。
・5年ごとの更新手続きを忘れずに
古物商許可は**5年ごとに更新**が必要です。更新手続きを忘れると、許可が自動的に失効してしまうため注意が必要です。
9. 違反するとどうなる?許可取消や罰則の例
・無届出や虚偽申請による罰則
無許可営業が発覚した場合、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。
虚偽申請も重い処分の対象になります。
・行政指導や営業停止のリスク
軽微な違反でも、警察からの「指導」「営業停止命令」が出ることがあります。
副業であっても、免許を持つ以上、事業者としての責任が問われます。
10. 「副業だからこそ」許可を取って安心して始めよう
・法律を味方にして継続できる副業に
古物商許可を取っておけば、堂々とビジネスとして中古品販売を行うことができます。
税務申告との整合性もとれ、副業としても“長く安心して続けられる”土台ができます。
・知らずに始めて後悔する前に、今チェック
「知らなかった」「副業だから問題ないと思っていた」では済まされません。
古物商許可は、面倒なようで意外と手が届く制度です。始める前にきちんと確認して、正しいスタートを切りましょう。