飲食店営業許可はどうやって取る?—必要な書類・設備・費用まとめ

雑学・教養

飲食店営業許可はどうやって取る?—必要な書類・設備・費用まとめ

  1. 1. 飲食店営業許可って、そもそも何?
    1. ・食品衛生法に基づく「営業の条件」
    2. ・カフェでもラーメン屋でも必要な許可
  2. 2. どんな店に許可が必要?不要なケースはある?
    1. ・【例】イートインとテイクアウト、どう違う?
    2. ・“家庭の延長”では許可は取れない理由
  3. 3. 許可を取るためのステップをざっくり解説
    1. ・保健所への事前相談がスタート地点
    2. ・図面・設備のチェック→申請→検査→営業開始までの流れ
  4. 4. 飲食店に必要な設備基準とは?
    1. ・2槽シンク/手洗い/冷蔵設備/床材など
    2. ・【例】「このレイアウトじゃダメ」と言われた実例
  5. 5. 提出が必要な書類とその準備
    1. ・営業許可申請書/施設の図面/水質検査書など
    2. ・【例】知らずに申請に来た人が「やり直し」になるケース
  6. 6. 費用はいくら?何にかかる?
    1. ・申請手数料の相場(1万5,000〜2万円程度)
    2. ・【注意】食品衛生責任者講習費は別枠です
  7. 7. 食品衛生責任者の取得はマスト
    1. ・誰が受ける?どこで?どれくらいの時間?
    2. ・管理栄養士・調理師などは免除になる?
  8. 8. 許可が出た後にもある「義務とルール」
    1. ・営業許可証の掲示義務と、更新制度(有効期限あり)
    2. ・HACCPの衛生管理記録も日常業務に
  9. 9. よくある勘違いと失敗例
    1. ・【事例】「自宅キッチンで店を始めたら違法だった」
    2. ・【事例】保健所審査に通らずオープン延期になった話
  10. 10. 事前に知っておけば怖くない!スムーズ開業のために
    1. ・制度を先に知って、準備で差をつける
    2. ・「ギリギリで焦る」より「前倒しで安心」がコツ

1. 飲食店営業許可って、そもそも何?

・食品衛生法に基づく「営業の条件」

飲食店を始めるには、「飲食店営業許可」が必要です。
これは食品衛生法に基づいた制度で、保健所が定める衛生基準を満たした店舗だけに発行されます。

ハンバーガー店でもカフェでもラーメン屋でも、**「人に食べ物を提供する」=必ず許可がいる**というのが基本ルールです。

・カフェでもラーメン屋でも必要な許可

「テイクアウトだけなら許可はいらない?」と思われがちですが、**調理して提供する形ならテイクアウトでも対象**になります。
逆に、包装されたお菓子を並べるだけなら別の許可(菓子販売業など)になる場合もあります。

2. どんな店に許可が必要?不要なケースはある?

・【例】イートインとテイクアウト、どう違う?

– 店内で食事を提供 → 飲食店営業許可が必要
– 持ち帰り弁当をその場で販売(調理あり) → 飲食店営業許可または惣菜製造業が必要
– 市販の既製品を並べて販売 → 菓子販売業などでOK(要件あり)

・“家庭の延長”では許可は取れない理由

「自宅のキッチンを使って小さく始めたい」という人もいますが、**自宅キッチンは営業用施設とみなされないため、基本的に許可は出ません**。
営業専用の調理スペースを用意する必要があります。

3. 許可を取るためのステップをざっくり解説

・保健所への事前相談がスタート地点

飲食店を始める場合、まずは店舗を管轄する保健所に連絡を取りましょう。
「こういう場所で、こんな料理を出したい」と相談すると、必要な設備や許可の種類を教えてもらえます。

・図面・設備のチェック→申請→検査→営業開始までの流れ

大まかな流れは次の通りです:

1. 事前相談(図面や営業内容の確認)
2. 店舗の内装・設備工事
3. 営業許可申請+必要書類の提出
4. 保健所による現地検査(立入検査)
5. 問題がなければ営業許可証の交付
6. 営業開始

4. 飲食店に必要な設備基準とは?

・2槽シンク/手洗い/冷蔵設備/床材など

営業許可を取るには、次のような設備が必要になります:

– 2槽シンク(洗浄+すすぎ用)
– 手洗い専用のシンク
– 冷蔵・冷凍庫(温度管理ができるもの)
– 防虫・防鼠対策
– 床・壁が水拭き・洗浄可能な素材
– 調理場とトイレの動線が分かれていること

・【例】「このレイアウトじゃダメ」と言われた実例

ある店舗では、シンクが1槽しかなく「食器洗いと手洗いを同じ場所で済ませようとしていた」ため、保健所の検査で**「衛生管理上NG」として不許可**になったケースがあります。

5. 提出が必要な書類とその準備

・営業許可申請書/施設の図面/水質検査書など

提出書類は主に以下の通りです:

– 営業許可申請書
– 店舗の図面(平面図)
– 食品衛生責任者の資格証明書
– 給排水の構造や設備の説明書
– 水質検査結果書(井戸水などの場合)

・【例】知らずに申請に来た人が「やり直し」になるケース

「とりあえず行ってみよう」と保健所に出向いた人が、**図面がなかった・シンクが家庭用だった・手洗いが未設置**などの理由で出直しになることも少なくありません。

6. 費用はいくら?何にかかる?

・申請手数料の相場(1万5,000〜2万円程度)

営業許可の申請には、自治体により異なりますが、**15,000円〜20,000円前後**の費用がかかります(都道府県収入証紙で支払う場合が多いです)。

・【注意】食品衛生責任者講習費は別枠です

飲食店には「食品衛生責任者」の配置が義務付けられています。
この資格取得のためには、**1日講習を受ける必要があり、費用は1万円程度**です。申請費とは別にかかる点に注意しましょう。

7. 食品衛生責任者の取得はマスト

・誰が受ける?どこで?どれくらいの時間?

責任者は店舗に1人いればよく、オーナー自身が受講することが一般的です。
都道府県が開催する講習に1日参加し、修了証を受け取ればOKです。

・管理栄養士・調理師などは免除になる?

管理栄養士・栄養士・調理師などの資格をすでに持っている人は、講習を免除されるケースがあります。
該当者は証明書のコピーなどを添えて申請すれば、直接資格として認められます。

8. 許可が出た後にもある「義務とルール」

・営業許可証の掲示義務と、更新制度(有効期限あり)

許可が下りたら、**営業許可証を店舗に掲示することが義務**です。
また、有効期限は原則として5年間(自治体によって異なる)で、更新を忘れると無許可営業となってしまいます。

・HACCPの衛生管理記録も日常業務に

全店舗に対し、「HACCPに基づいた衛生管理」が義務化されています。
簡単なチェック表を用いた記録や、冷蔵庫の温度チェック、清掃記録など、**毎日の記録を継続して残すことが必要**です。

9. よくある勘違いと失敗例

・【事例】「自宅キッチンで店を始めたら違法だった」

「SNSで話題になっていたから」「趣味の延長でやってみたかったから」と、自宅のキッチンで調理し販売した人が、**営業許可がないまま販売していたことが発覚し、行政指導を受けたケース**もあります。

・【事例】保健所審査に通らずオープン延期になった話

店舗工事が終わったあとに申請したら、**換気扇の位置がNG・シンクが小さすぎる・床が滑りやすい**など、設備の不備を指摘され、オープン日が大幅にずれ込んだ事例も。
**先に保健所と相談してから設計・工事を進めるのが正解**です。

10. 事前に知っておけば怖くない!スムーズ開業のために

・制度を先に知って、準備で差をつける

「許可を取るのは面倒そう」と思うかもしれませんが、流れを把握していれば、1〜2か月でスムーズに完了します。
**むしろ、知らないまま始めようとするとトラブルの元**です。

・「ギリギリで焦る」より「前倒しで安心」がコツ

営業開始予定日の**1か月半〜2か月前には動き出すのが理想**。
店舗選びと並行して、保健所との相談や講習日程を早めに確認しておきましょう。