無許可で「占い」や「カウンセリング」はできる?—グレーゾーンの判断

雑学・教養

無許可で「占い」や「カウンセリング」はできる?—グレーゾーンの判断

  1. 1. 占いは“誰でも始められる仕事”?
    1. ・「資格不要」「自由業」として広がる占いビジネス
    2. ・SNSやZoomでもサービス提供が当たり前の時代に
  2. 2. 占い師に“免許”は不要。ただしやり方次第でアウト
    1. ・職業選択の自由と「占いに資格はいらない」の真実
    2. ・無許可でもOKだが、内容によっては法に触れる
  3. 3. 占いビジネスが“違法”とされる典型パターン
    1. ・【例1】開運グッズを数十万円で売りつけた霊感商法
    2. ・【例2】「悪霊が憑いている」と脅して祈祷料を請求
    3. ・【例3】返金保証もなく高額鑑定コースを契約させたケース
  4. 4. 消費者庁が処分した実例に学ぶ“やりすぎ”の境界
    1. ・「除霊サービス」で数百万円請求し行政指導された事業者
    2. ・開運グッズと占いサービスを“セット販売”した事例
  5. 5. 言い方しだいで法律違反になるフレーズとは?
    1. ・「あなたは病気です」「この占いで治る」はNG
    2. ・「医師ではありません」「効果を保証しません」と書く工夫
  6. 6. 医業類似行為との違いと注意点(占い師向け)
    1. ・“治す”と言ったら医師法違反になる可能性
    2. ・心理的助言と医療的介入の線引きとは
  7. 7. カウンセリングやセラピーを名乗る場合の注意点
    1. ・心理士など国家資格との誤認を避ける工夫
    2. ・「相談業」としての枠を意識することが重要
  8. 8. 店舗営業や深夜営業には届け出が必要な場合も
    1. ・占い店舗が風営法の対象になるケース
    2. ・無届けの深夜営業で摘発された実例も
  9. 9. トラブルを避けるために必要な準備とは
    1. ・免責事項・キャンセルポリシーの明記
    2. ・料金体系の明示・高額サービスへの同意確認
  10. 10. 占い師が“自由”を守るには、ルールを知ること
    1. ・自由業でも信用はルールの上に成り立つ
    2. ・無許可でできる=無制限ではないという理解を

1. 占いは“誰でも始められる仕事”?

・「資格不要」「自由業」として広がる占いビジネス

「占い師」は国家資格がなくても名乗ることができ、店舗を構えずにSNSや通話アプリで活動する人も多くいます。
開業にあたって特別な許認可が不要なため、**個人でも始めやすい自由業の一つ**として知られています。
ただし、この“自由さ”には、**一定のルールと注意点も隠れている**のです。

・SNSやZoomでもサービス提供が当たり前の時代に

インスタやTikTok、占いアプリなどを使って活動する人が増え、形式もメール鑑定・電話相談・ライブ形式など多様化。
「無店舗・匿名・無資格」でもサービス提供できる時代ですが、そのぶん**法律の境界線が曖昧になりやすい**というリスクも生じています。

2. 占い師に“免許”は不要。ただしやり方次第でアウト

・職業選択の自由と「占いに資格はいらない」の真実

日本の法律上、占いそのものを行うことに資格は不要であり、占星術、手相、タロットなどの形式も自由です。
また、開業届も原則任意(※個人事業主として継続的に収入を得る場合は届出推奨)で、一定の自由度が認められています。

・無許可でもOKだが、内容によっては法に触れる

占いが「助言」や「アドバイス」の範囲にとどまる限りは基本的に合法です。
しかし、その内容や金銭の授受、表現方法によっては**詐欺・霊感商法・医師法違反などに該当する可能性がある**ため、注意が必要です。

3. 占いビジネスが“違法”とされる典型パターン

・【例1】開運グッズを数十万円で売りつけた霊感商法

「あなたには不運な運命がついている」「この壺を買えば運気が改善する」といったトークで高額商品を売りつける行為は、
**消費者庁や国民生活センターが繰り返し注意喚起**している典型的な「霊感商法」です。

・【例2】「悪霊が憑いている」と脅して祈祷料を請求

「放っておくと家族に不幸が起きる」「除霊には30万円かかる」などと不安を煽る手法は、
心理的支配を利用した**詐欺まがいの商法**として行政処分や訴訟に発展した事例もあります。

・【例3】返金保証もなく高額鑑定コースを契約させたケース

明確な説明がないまま、長期の高額サービスを契約させ、効果がなかったにも関わらず返金にも応じなかった——こうしたケースでは、
**特定商取引法違反(不実告知・誇大広告など)**に問われる可能性もあります。

4. 消費者庁が処分した実例に学ぶ“やりすぎ”の境界

・「除霊サービス」で数百万円請求し行政指導された事業者

2022年には、占いを装って「霊視」で不安を煽り、開運のためと称して壺や印鑑、祈祷セットなどを**100万円以上で販売した業者が行政指導**を受けました。
このような行為は、「宗教的儀式」を商売に転化し、消費者保護法規に抵触したと判断されました。

・開運グッズと占いサービスを“セット販売”した事例

鑑定と開運グッズを事実上の“抱き合わせ”で売り、キャンセル・返品ができないシステムになっていた場合も、
**景品表示法・特定商取引法・消費者契約法違反**に問われるおそれがあります。

5. 言い方しだいで法律違反になるフレーズとは?

・「あなたは病気です」「この占いで治る」はNG

「癌の可能性がある」「これで鬱は治る」といったフレーズは、**医師法・薬機法違反に該当する恐れ**があります。
無資格者が病名を告げたり、医療効果をうたうことは法律で禁止されています。

・「医師ではありません」「効果を保証しません」と書く工夫

実際の占い師の中には、「私は医師ではありません」「これは助言であり、効果を保証するものではありません」といった**免責文を明記することでトラブルを防止**している例もあります。

6. 医業類似行為との違いと注意点(占い師向け)

・“治す”と言ったら医師法違反になる可能性

「治す」「改善させる」と明言した時点で、医療行為・医業類似行為として法律に抵触するリスクが高くなります。
占いはあくまで“助言”“人生相談”としての位置づけを守る必要があります。

・心理的助言と医療的介入の線引きとは

「気分を前向きにするアドバイス」はOKでも、「うつ病を軽くできます」といった表現はNG。
医療行為を想起させる内容は控えるのが原則です。

7. カウンセリングやセラピーを名乗る場合の注意点

・心理士など国家資格との誤認を避ける工夫

「カウンセラー」「セラピスト」と名乗る場合でも、国家資格(臨床心理士、公認心理師)を持たない場合は、**資格名称と誤認されないように明記**する必要があります。
例:〇〇式カウンセラー(民間資格)/心理学勉強中 など

・「相談業」としての枠を意識することが重要

「話を聞く」「気持ちを整理する手助けをする」といった表現は許容される範囲です。
一方で「心の病気に効く」「トラウマを解消する」などは医療的介入と取られかねません。

8. 店舗営業や深夜営業には届け出が必要な場合も

・占い店舗が風営法の対象になるケース

実店舗で深夜営業・個室・密室・異性接客などがある場合、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」の対象になることがあります。
とくに占いバー、占いスナックなどの形態では、**風俗関連営業の届け出が必要な場合もあります。**

・無届けの深夜営業で摘発された実例も

バー形式の占い店舗が、風営法の営業時間制限を無視して営業を続けていた結果、**摘発された例もあります。**
「占いだから自由」と思い込まず、営業形態によっては**施設・業態に応じた届け出が必要**です。

9. トラブルを避けるために必要な準備とは

・免責事項・キャンセルポリシーの明記

鑑定に対して「効果を保証するものではありません」といった免責事項、
「キャンセルは〇日前まで/返金不可」などの明確なルール設定は、**双方のトラブル防止に有効です。**

・料金体系の明示・高額サービスへの同意確認

– 鑑定料は事前に明記(○分○円など)
– 高額コースを販売する際は契約書・同意書を用意
– 誇大表現・実績の水増しに注意(景品表示法違反)

10. 占い師が“自由”を守るには、ルールを知ること

・自由業でも信用はルールの上に成り立つ

「資格がなくてもできる=何をしてもいい」ではありません。
占いは**人の不安や希望に関わる仕事**だからこそ、ルールを理解することで「安心して相談できる存在」になれます。

・無許可でできる=無制限ではないという理解を

届け出不要・資格不要の自由業であっても、**他人の心・お金に関わるからこそ、責任の重さは軽くありません。**
線引きを知ることは、トラブルを防ぐだけでなく、あなた自身の仕事を守る知識でもあるのです。