【小麦アレルギーについて】症状・原因・対処法をやさしく整理
1. 小麦アレルギーってどんなもの?
小麦に含まれるたんぱく質への免疫反応
小麦アレルギーとは、小麦に含まれる特定のたんぱく質に体の免疫が過剰に反応し、さまざまな症状を引き起こす状態です。アレルギーのある人にとっては、小麦を少量食べただけでも皮膚や消化器、呼吸器に不調が現れることがあります。パンやうどん、ラーメンといった主食にも小麦が多く含まれているため、日常生活での管理がとても重要になります。
子どもに多いが、大人でも突然発症することがある
小麦アレルギーは乳児や幼児に比較的多く見られますが、年齢に関係なく誰でも発症する可能性があります。特に「今まで大丈夫だったのに、ある日突然反応が出た」というケースもあり、体調や免疫の変化が関係していると考えられています。
2. 症状はどんなふうに出る?
皮膚・消化器・呼吸器などの症状
症状は人によって異なりますが、代表的なものは以下のとおりです。
・皮膚:じんましん、赤み、かゆみ、湿疹
・消化器:腹痛、下痢、吐き気、嘔吐
・呼吸器:咳、鼻水、ゼーゼーとした呼吸、息苦しさ
これらの症状は、小麦を食べてから数分〜数時間以内に出ることが多く、時には複数の症状が同時に現れることもあります。
運動後に出る特殊なタイプにも注意
「小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)」という特殊なタイプの小麦アレルギーもあります。これは、小麦を摂取したあとに運動をするとアレルギー反応が引き起こされるものです。摂取だけでは何も起きないのに、運動をきっかけに急激な症状が出るため、見落とされがちです。
3. 小麦のどの成分がアレルゲンになるの?
グルテン、グリアジン、アルブミンなどのたんぱく質
小麦には複数のたんぱく質が含まれており、それぞれがアレルゲンとなる可能性があります。代表的なものには以下のような成分があります。
・グリアジン:主にグルテンの構成成分。粘り気を生み出すたんぱく質
・グルテン:パンや麺類のもちもちした食感を作る成分
・アルブミン・グロブリン:水に溶けやすい成分で、一部のアレルギーで強く反応することも
パンや麺類のもちもち食感を作る成分が原因になることも
小麦の特性である「弾力」「もちもち感」「コシ」を生み出すグルテンやグリアジンは、実はアレルギーの原因にもなりやすい成分です。そのため、小麦アレルギーの人は、これらを含む食品を完全に避ける必要があります。
4. 小麦アレルギーの人が気をつけるべき食べ物とは?
① パン、うどん、ラーメンなど主食系
小麦は、日本の食卓に広く登場する主食類に多く使われています。たとえば、パン、ラーメン、うどん、パスタ、焼きそば、そうめん、ピザなど。見た目には小麦だと分かりにくい料理も多いため、外食時には特に注意が必要です。
② 小麦粉を使ったお菓子・揚げ物の衣
クッキーやビスケット、ホットケーキ、ドーナツなどの焼き菓子類にも小麦が使われます。また、揚げ物の衣やお好み焼き、たこ焼き、カレーパンなどの「粉もの料理」もすべて小麦を使っています。パン粉も小麦から作られているため、ハンバーグやコロッケにも注意が必要です。
③ 加工食品に含まれる「小麦由来」添加物
ソーセージ、ハム、冷凍食品などの加工食品にも、小麦が「つなぎ」や「増粘剤」として使われていることがあります。たとえば、「小麦たん白加水分解物」「小麦でん粉」「小麦グルテン」などの表記はすべてアレルゲンとなる可能性があります。
④ 意外な盲点:しょうゆ・カレールウ・調味料類
しょうゆは、製造過程で小麦を発酵原料として使用しています(特に濃口醤油)。また、市販のカレールウ、シチュールウなどにも小麦粉が含まれている場合が多く、こうした調味料やソース類も確認が必要です。
⑤ 外食・弁当の「つなぎ」や「粉もの料理」全般
お弁当やお惣菜には、小麦が意外なところに使われていることがあります。たとえば、唐揚げの衣、ハンバーグのつなぎ、総菜パン、タレのとろみなど。自宅での調理だけでなく、購入品の確認も欠かせません。
5. 食べられる範囲の判断と医師との対応
グルテンフリーとのちがいと混同しないために
小麦アレルギーと「グルテン不耐症」「セリアック病」は別のもので、それぞれ原因や反応の仕方が異なります。小麦アレルギーでは、小麦に対する免疫反応が起こり、わずかな量でも症状が出ます。グルテンフリー食品の中には「小麦不使用」ではないものもあるため、表記の意味をしっかり理解することが大切です。
経口負荷試験や解除の進め方
小麦アレルギーの程度は人それぞれ異なります。医師の判断で、加熱された小麦なら大丈夫かどうかを確認する「経口負荷試験」が行われることがあります。この結果をもとに、将来的に「解除」していくための食事の段階的な調整が検討されます。
6. 小麦アレルギーとつきあう日常の工夫
代替食材(米粉・そば粉など)の使い方
最近では、小麦の代わりに使える「グルテンフリー」な食材も増えてきました。たとえば、米粉、そば粉、コーンスターチ、じゃがいもでん粉(片栗粉)などが使われます。専用の米粉パンや、米粉のホットケーキミックスなども市販されており、調理の幅が広がっています。
外食や学校生活での注意点と伝え方
外食時や学校での給食、修学旅行などでは、事前に小麦アレルギーであることをしっかり伝えましょう。メニューの原材料表示だけでなく、調理器具の共有による「コンタミネーション(微量混入)」にも注意が必要です。専用のアレルギーカードを携帯しておくと安心です。