【乳(牛乳)アレルギーについて】症状・原因・対処法をやさしく整理

雑学・教養

【乳(牛乳)アレルギーについて】症状・原因・対処法をやさしく整理

1. 乳アレルギーってどんなもの?

牛乳に含まれるたんぱく質が原因

乳(牛乳)アレルギーとは、牛乳に含まれるたんぱく質に体が過敏に反応し、アレルギー症状を起こす状態です。原因となるのは、牛乳中の「カゼイン」や「ホエイ(乳清)」などのたんぱく質で、これらを体が異物とみなして攻撃し、皮膚や消化器、呼吸器などにさまざまな症状が出ます。

赤ちゃんから大人まで発症する可能性がある

乳アレルギーは特に乳児・幼児に多く見られますが、成長とともに自然に治る場合もあります。一方、大人でも発症することがあり、乳製品を日常的に摂取していた人が突然アレルギー反応を起こすケースもあります。赤ちゃんのミルク選びや離乳食の進め方でも大切な知識です。

2. 症状はどんなふうに出る?

皮膚・消化器・呼吸器の反応

乳アレルギーでは、皮膚のじんましん、赤み、かゆみといった反応がよく見られます。加えて、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状や、咳、鼻水、ゼーゼーした呼吸などの呼吸器症状が出ることもあります。摂取後すぐに出ることもあれば、数時間経ってから出ることもあります。

重症化することもあるので早めの対応が大切

まれに「アナフィラキシー」と呼ばれる重篤な反応が起きることがあります。これは短時間のうちに全身に強い症状が広がるもので、血圧の低下や意識障害、呼吸困難などのリスクを伴います。初めての症状が軽くても、次に重くなることがあるため、早めの医療相談が大切です。

3. 牛乳のどの成分がアレルゲンになるの?

カゼイン・ホエイという2大たんぱく質

牛乳に含まれる主要なたんぱく質は「カゼイン」と「ホエイ」です。カゼインはチーズなどの固形乳製品に多く、ホエイはヨーグルトの上に浮く液体(乳清)に多く含まれています。人によって、どちらか一方だけに反応する場合もあります。

加熱・加工でも残る成分に注意

これらのたんぱく質は加熱しても性質が残ることがあり、加熱済みの食品でも症状が出るケースがあります。たとえば、グラタンやドリアに入っているホワイトソースや、焼き菓子に含まれるミルクパウダーなども油断はできません。

4. 乳アレルギーの人が気をつけるべき食べ物とは?

① 牛乳そのもの・ヨーグルト・チーズなど

まず注意すべきは、牛乳をそのまま使った飲み物や料理です。牛乳、ヨーグルト、チーズ、生クリーム、アイスクリーム、バターなど、いわゆる乳製品はすべて対象になります。粉ミルクにも乳たんぱくが含まれるものが多く、乳児の場合はアレルギー対応のミルクが必要になることもあります。

② 乳製品を含む加工品(パン・お菓子・冷凍食品など)

市販のパン、ホットケーキミックス、ビスケット、スナック菓子、グラタン、シチューなど、乳製品を使った加工食品は非常に多くあります。たとえば、パンには牛乳が練りこまれていたり、表面に塗られていたりすることもあります。

③ 見落としやすい成分名(脱脂粉乳・乳たんぱく・ホエイなど)

食品表示では、牛乳とは書かれていなくても、「乳たんぱく」「カゼイン」「ホエイパウダー」「脱脂粉乳」「バターオイル」などの表記で含まれていることがあります。慣れないうちは分かりにくいですが、すべて「乳由来」の成分です。

④ 外食やお惣菜に含まれるホワイトソース・バター類

外食時には、料理のベースとして乳製品が使われている場合があります。たとえば、グラタンやドリアのホワイトソース、カルボナーラやクリームパスタのソース、スープに加えられる牛乳や生クリームなど。コロッケやクリーム系の総菜にも多く含まれています。

⑤ アイスやチョコレートなど、おやつにも潜むリスク

バニラアイス、ミルクチョコレート、キャンディ、プリン、シュークリーム、ドーナツなど、子どもが好むおやつには乳製品が多く含まれています。代替品として「乳不使用」と明記された商品を選ぶのが安心です。

5. 食べられる範囲の判断と対応方法

加熱乳製品ならOKなケースとその判断方法

症状の出方によっては、加熱された乳製品であれば問題ないというケースもあります。たとえば、焼き菓子に含まれる程度の乳成分であれば大丈夫という人もいます。逆に、どんな形でも摂取できない人もおり、個人差が大きいのが特徴です。

医師と連携した負荷試験・解除の流れ

医療機関では、少量から摂取し反応を見る「経口負荷試験」が行われることがあります。この結果をもとに、家庭でどのレベルの乳製品まで安全に摂れるのかが判断されます。アレルギーが軽減してきた場合、医師と相談の上で段階的に摂取を進める「解除」が試されることもあります。

6. 乳アレルギーとつきあう日常の工夫

家庭での工夫(代替ミルクや調理器具の管理)

牛乳の代わりに、豆乳やライスミルク、オーツミルクなどを使うことで、調理の幅は広がります。調理器具や食器を分ける・洗浄を徹底するなど、誤食を防ぐための基本的な配慮も必要です。

外食・園・学校での伝え方と配慮の仕方

園や学校、外食時には、事前に乳アレルギーがあることをはっきり伝えることが重要です。書面での提出や、アレルゲンカードを持ち歩くといった工夫も有効です。また、アレルギー対応の施設やメニューを積極的に利用することで、安全と安心を両立できます。