家はどこから傷むのか、季節の変わり目に点検したい場所を素材別に

暮らしの知恵
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家が傷みはじめるのは、水がたまって乾きにくい場所と、雨や日差しをじかに受ける場所です。住宅金融支援機構の「マイホーム維持管理の目安」で点検の間隔がいちばん短いのは、木製のバルコニーや濡れ縁の1〜2年ごと。雨どい・鉄のバルコニー・金属の屋根が2〜3年ごとで続き、瓦屋根は5〜6年ごとと長めです。

傷み方は素材によって違います。木は湿気で腐り、鉄はさび、塗装は汚れと雨風で弱っていく。季節の変わり目には温度と湿り気の条件が入れ替わるので、次の季節に弱い素材から順に見ていくのが近道です。

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家はどこから傷みやすい?

雨の中で屋根の雨どいを水が流れるイラスト

傷みの早さは、点検の間隔にそのまま表れています。外回りでは木と鉄の部位が短く、焼き物の瓦やコンクリートの基礎は長めです。

点検の間隔が短いのは外回りの木と鉄

住宅金融支援機構の表から、屋外の主な部位を抜き出しました。同じバルコニーでも、素材が変わると点検の間隔が倍ほど違います。

部位(素材)点検の目安取替え・補修の目安
バルコニー(木部)1〜2年ごと15〜20年位(2〜3年ごとに塗替え)
バルコニー(鉄部)2〜3年ごと10〜15年位(3〜5年ごとに塗替え)
バルコニー(アルミ部)3〜5年ごと15〜20年位
雨どい(塩化ビニル製)2〜3年ごと7〜8年位
屋根(金属板葺き)2〜3年ごと10〜15年位(3〜5年ごとに塗替え)
屋根(化粧スレート葺き)4〜6年ごと15〜30年位
屋根(瓦葺き)5〜6年ごと20〜30年位
外壁(窯業系サイディング)3〜4年ごと15〜20年位で全面補修
基礎(コンクリート)5〜6年ごと―

取替えの年数がいちばん短いのは、塩化ビニル製の雨どいの7〜8年でした。屋根や外壁より、ずっと先に交換の時期が来る計算です。

木のバルコニーは1〜2年ごと

木のバルコニーや濡れ縁は、機構の表で「常に風雨にさらされている」部位とされています。見るのは腐朽・破損・蟻害(ぎがい)・床の沈み。蟻害とはシロアリなどによる害のこと。塗り替えも2〜3年ごとが目安とされています。

瓦屋根は5〜6年ごとの点検

反対に間隔が長いのが瓦葺きの屋根です。点検項目はずれと割れの2つだけで、葺き替えの目安も20〜30年と表の中で長い部類に入ります。

同じ屋根でも、金属板なら2〜3年ごとの点検に3〜5年ごとの塗り替えが加わります。表を見るかぎり、瓦には塗り替えの項目がありません。

水がたまる場所が傷みの起点になる

住宅金融普及協会が、木の腐りやすい場所として最初に挙げているのが雨どいの付近です。流れるはずの水が止まると、周りの木や壁が乾く暇を失います。

雨どいの詰まりは外壁と軒裏に回る

雨どいの点検項目は、つまり・はずれ・ひびの3つです。詰まってあふれた水は外壁や軒裏を伝います。機構の表では軒裏の点検項目に腐朽や雨漏りが並び、点検の間隔は雨どいと同じ2〜3年ごとです。

擁壁の水抜き孔も詰まると湿気がこもる

見落としやすいのが、敷地の擁壁(ようへき)にある水抜き孔です。機構は、ここが詰まると敷地内の湿気が長く抜けず、建物の劣化を早めるうえシロアリの原因にもなると注意しています。

※ 擁壁とは、高低差のある土地で土が崩れないように支える壁のことです。地盤と擁壁の点検は4〜5年ごとが目安とされています。

地面に近い木ほど腐朽とシロアリに弱い

家の骨組みのうち、腐朽やシロアリの被害を最も受けやすいのは土台と床組です。機構の表でも、柱やはりの10〜15年ごとに比べて、4〜5年ごとと短い間隔になっています。

防腐・防蟻の処理は5〜10年でし直す

土台以外の床組は、20〜30年位で全面取替えを検討する目安です。そのあいだに5〜10年で防腐・防蟻の処理をし直すよう書かれています。薬剤の効き目にも寿命がある、ということでしょう。

地面から1mまでは法律で防腐が求められる

住宅金融普及協会によると、建築基準法では地盤から1mまでの部分に防腐の措置が必要とされています。雨のはね返りや地面の湿気が届く高さと考えると、1mという線引きにもうなずけるのではないでしょうか。

木は、どんな条件で腐る?

結露で水滴がついた窓ガラスのイラスト

木を腐らせるのは木材腐朽菌と呼ばれる菌。温度と木の湿り具合がそろうと増えていきます。住宅金融普及協会によると、目安は30℃前後と含水率20%以上。梅雨から夏の蒸し暑さは、この菌にとって好都合な季節です。

腐朽菌が育ちやすいのは30℃前後

菌の活動を大きく左右するのは温度です。暖かいほど活発になり、寒くなると勢いが落ちます。

3℃以下では発生しにくい

普及協会の説明では、3℃以下の環境では腐朽菌が発生しにくくなります。寒さの厳しい季節は、菌にとって休みの時期といえそうです。

ただし暖房で暖まった室内の側は別です。冷えた窓や壁で結露が起きれば、冬でも木が湿ります。

含水率20%が分かれ目

もうひとつの条件が木の湿り具合です。大気中の湿気が多く、含水率が20%以上になると発生しやすくなります。20%を下回れば発生しにくくなる、というのが協会の説明です。

※ 含水率とは、木に含まれている水の重さを、乾かした木そのものの重さで割った割合のことです。

腐りやすいのは水まわりと結露する場所

普及協会は、腐朽菌が発生しやすい場所として次の6つを挙げています。

  • 雨どいの付近
  • モルタル壁の下地
  • 土台
  • 雨漏りしている箇所
  • 結露や設備の水漏れがある箇所
  • 浴室やキッチンなどの水まわり

どれも「水が来るのに乾きにくい」場所。素材の目で見直すと、木が水と出会う場所の一覧になっています。

結露は気づかないうちに木を湿らせる

普及協会は、結露によって知らず知らずのうちに木材が水分を多く含むこともあると書いています。窓ガラスの水滴は目に入りますが、壁の中や床下の湿りは見えません。

機構の表でも、窓枠や戸袋の木部の点検項目には腐朽と雨漏りが並びます。毎朝のように窓が濡れる家なら、枠の下側から先に傷むこともあるでしょう。

床下の換気口の前に物を置かない

住宅金融支援機構は、床下の換気が木部の腐朽を防ぐうえで重要だとして、換気孔のまわりに物を置いてふさがないよう呼びかけています。とくに浴室や洗面所など、水まわりの床下は湿りがちです。

植木鉢や物置が、基礎の換気口の前をふさいでいないか。季節の変わり目の片づけのついでに見ておきたい場所です。

板張りの床は乾湿の繰り返しで反る

木は湿気を吸うとふくらみ、乾くと縮みます。機構の表でも、板張りの床は激しい乾湿の繰り返しで細かいひびや反りが出るおそれがあるとされています。すき間が開くこともあるそうです。

フローリングの手入れはなるべく水を使わない

機構が勧めるのは、なるべく水を使わない手入れです。フローリングの点検時期は「随時」で、きしみや反りに気づいたときが見どきになります。

たたみは年1〜2回干して2〜3年で裏返す

同じ床でも、たたみは手入れの間隔がはっきり書かれています。年に1〜2度干し、2〜3年で裏返すのが目安。全面取替えの目安は12〜25年です。

鉄や塗装は、何で傷む?

ヘルメット姿でペンキを塗る作業員のイラスト

鉄はさびで、塗装は汚れと雨風で傷みます。機構の表を見ると、金属の部位は途中の塗り替えを挟んで長持ちさせる前提です。

鉄のバルコニーは2〜3年ごとにさびを見る

鉄部の点検項目は、さび・破損・手すりのぐらつきです。取替えの目安は10〜15年で、そのあいだ3〜5年ごとに塗り替えます。

手すりのぐらつきは根元のさびが手がかり

さびは見た目だけの問題ではありません。点検項目に手すりのぐらつきが入っているのは、人が体を預ける場所だからでしょう。表面の色より、根元や継ぎ目のさびに目を向けます。

アルミなら点検は3〜5年ごと

同じバルコニーでもアルミ製なら、点検は3〜5年ごとで項目は腐食と破損です。取替えの目安も15〜20年と、鉄より長く設定されています。

金属の屋根と外壁は塗り替えで持たせる

金属板の屋根と金属系サイディングの外壁は、どちらも3〜5年ごとの塗り替えが目安です。点検はどちらも2〜3年ごと。色あせやさびが出てきたら、塗り直しを考える合図になります。

金属板の屋根は10〜15年で葺き替え

金属板葺きの点検項目は、色あせ・色落ち・さび・浮きの4つ。屋根材の中では点検の間隔が最も短く、葺き替えの目安も瓦のおよそ半分です。

屋根には自分で上がらない

機構は、屋根に上がるのは転落事故などがあって大変危険だと書いています。修理は必ず専門業者に頼むように、とも。自分で見るのは、地上や窓から見える範囲にとどめます。

外壁の汚れやコケは塗装を早く傷める

外壁には雨の泥はねやほこりがつき、湿気の多い場所ではカビやコケ、藻も生えます。機構によると、これらが長くついたままだと塗装の劣化を早めるそうです。

窯業系サイディングはつなぎ目のシーリングも見る

窯業系サイディングの点検は3〜4年ごと。汚れや色あせ、割れに加えて、板と板のあいだを埋めるシーリングの劣化が項目に入っています。

※ シーリングとは、外壁材のつなぎ目やサッシまわりのすき間を埋めて、雨水が入り込むのを防ぐゴム状の材料のことです。

モルタル壁とタイル貼りは2〜3年ごと

モルタル壁とタイル貼りの壁は2〜3年ごとの点検で、全面補修の目安はどちらも15〜20年です。モルタル壁の下地は、普及協会が挙げた腐りやすい場所にも入っていました。表面のひびは、中の木へ水を通す入り口にもなりえます。

春から夏の変わり目は、どこを見る?

シロアリのイラスト

暖かくなる時期に気をつけたいのは、シロアリと湿気です。雨の多い季節が来る前に、水の通り道と水まわりを整えておきます。

羽アリが飛ぶ季節はシロアリを見つける機会

日本しろあり対策協会は、羽アリの群飛する時期を「シロアリ発見の絶好のチャンス」と書いています。飛ぶ時期と時間帯に注意していれば、種類の見分けにも役立つそうです。

ヤマトシロアリは4〜5月の昼

ヤマトシロアリの羽アリは、4〜5月の昼間に群飛します。ただし沖縄では2月、東北や北海道では6月ごろ。地域によって時期がずれるのも特徴です。

イエシロアリは6〜7月の夜

イエシロアリは6〜7月の夜に群飛し、電灯に飛んできます。梅雨どきの夜、明かりのまわりに羽アリが集まっていたら、種類を確かめる手がかりになります。

梅雨の前に水の通り道をあけておく

梅雨入り前は、雨どいと床下の換気口、ベランダの排水口をひと回り見ておきたい時期です。どこかが詰まれば、水や湿気の逃げ場がなくなります。

雨どいは雨の日に地上から流れを見る

雨どいのつまりやはずれは、雨の日のほうが見つけやすくなります。あふれている箇所や、継ぎ目の途中から水が落ちている所がないか。はしごに上らなくても、地上から見当がつくはずです。

ベランダは汚れやほこりをためない

機構はバルコニーについて、ぞうきんがけなどで汚れやほこりをためないよう勧めています。排水口に落ち葉や砂がたまったままでは、大雨のときに水の逃げ場がありません。

浴室のカビは乾燥と皮脂の除去で防ぐ

浴室のメンテナンスで重要なのは、カビを防ぐことだと機構は書いています。そのために必要なのが、乾燥させることと、カビの栄養になる人の皮脂を取り除くことです。

入浴後はお湯で流して水滴をふく

具体的には、入浴後に壁や床へお湯をかけて皮脂を流し、水滴をタオルでふき取ります。ユニットバスの点検は1年ごとで、つなぎ目の割れやすき間、排水口のつまりが確認の対象です。

排水管は油脂が詰まりの芯になる

排水管の中では、流れた油脂が内側にこびりつき、そこにゴミや髪の毛がからんで詰まります。機構が勧める予防は、キッチンシンクや浴室の排水口のまわりをきれいにしておくことです。

秋から冬の変わり目は、どこを見る?

保温テープを巻いた屋外の水道管と蛇口のイラスト

秋は台風のあとの見回り、冬は凍結とすき間への備えが中心になります。暖房を使いはじめる前の電気まわりも、この時期の確認どころです。

台風や強風のあとは屋根を下から見る

機構は、屋根について日常の手入れは特に必要ないとしています。そのうえで、台風や強風のあとは浮き上がりやガタつきがないか点検するよう勧めています。

軒裏のしみは雨漏りの手がかり

軒裏の点検項目は、腐朽・雨漏り・はがれ・たわみです。屋根の上は見えなくても、軒裏のしみやたわみなら地上から見上げて確かめられます。

化粧スレートはずれと割れを見る

屋根用化粧スレートの点検項目は、色あせ・色落ち・ずれ・割れ・さびの5つ。ふだんの点検は4〜6年ごとですが、強い風のあとは間隔に関係なく見ておくと安心です。

水道管はマイナス4℃を目安に備える

東京都水道局によると、気温がマイナス4℃以下になると水道管は凍りやすくなります。風が当たる場所や日の当たらない場所では、マイナス4℃にならなくても凍るおそれがあるそうです。

外に出ている管は保温材で覆う

凍りやすいのは、建物の外で外気にじかに触れている管です。都の水道局は、保温材を巻いてひもで留め、ビニールテープで蛇口の根元まですき間なく覆う方法を紹介しています。保温材は毛布や発泡スチロールでも代用できるそうです。

凍ったら熱湯でなくぬるま湯

凍ってしまったら、自然に溶けるのを待つか、タオルをかぶせて40℃程度のぬるま湯をゆっくりかけます。いきなり熱湯をかけるのは禁物。水道管や蛇口が破裂することがあります。

窓と玄関は2〜3年ごとにすき間を見る

機構の表では、玄関の建具とサッシは2〜3年ごとの点検で、項目はすき間・開閉不良・腐食・付属金物の異常です。冷たい風が入る季節は、すき間に気づきやすい時期でもあります。

窓枠の木部はコーキングの切れを見る

窓枠や戸袋の木部は、腐朽・雨漏り・コーキング不良が点検項目です。コーキングは、シーリングと同じくすき間を埋める材料を指します。結露の水がたまりやすい下の枠から見ていくと効率的です。

建具の取替えは15〜30年と幅が広い

玄関建具とサッシの取替えの目安は15〜30年です。建付けの調整は「随時」とされているので、開け閉めが重くなったら交換の前に調整を考える順番になります。

暖房の前にコンセントのほこりを払う

スイッチまわりやプラグとコンセントのあいだに入ったほこりは、作動不良や破損、火災の原因になると機構は書いています。暖房器具を出す前に、差しっぱなしのプラグを一度抜いて確かめておきたいところです。

給湯器は10年位で取替えを考える

冬に出番が増える給湯器は、1年ごとの点検で水漏れやガス漏れ、器具の異常を見ます。取替えの目安は10年位。機構の表の設備の中では、いちばん短い年数です。

ガス漏れ警報器は月に1回

機構はガス漏れ警報器を必ず設置し、月に1回は正常に作動するか点検するよう書いています。年や月の単位が並ぶ表の中で、「月に1回」という細かい間隔はここだけでした。

1年ごとに見たい外回りはどこ?

揺れているブロック塀のイラスト

屋外で1年ごとの点検が勧められているのは、門・塀と郵便受け・警報装置・防犯装置です。屋根や外壁より短い間隔になっているのは、少し意外かもしれません。

ブロック塀は地震で倒れる危険がある

機構はブロック塀について、ひび割れや仕上げ材のはがれ、傾きがあると地震のときに倒壊や損傷の危険が高まると注意しています。塀は家族だけでなく、前の道を通る人にも関わる場所です。

見るのは傾き・はがれ・ひび割れ

門・塀の点検項目は、傾き・はがれ・ひび割れの3つです。塀の真正面より、少し離れて端から眺めたほうが、傾きには気づきやすいかもしれません。

取替えの目安は年数で決めていない

門・塀の取替えの目安の欄は「―」です。気になる点があれば専門業者に相談するよう書かれていて、年数ではなく状態で判断する部位として扱われています。

郵便受けと警報装置も1年ごと

毎日のように触れる郵便受けや、ふだん意識しない警報装置も、表では1年ごとの点検に入っています。

郵便受けは10〜25年位で取替え

郵便受けの点検項目は、固定不良・破損・腐食・変形です。取替えの目安は10〜25年と幅があり、屋外に置く素材の違いが表れていそうです。

警報装置と防犯装置は12〜18年位

警報装置と防犯装置は、機能不良と破損を1年ごとに確かめます。取替えの目安は12〜18年位。機能の不良は見た目では分かりにくいので、実際に作動させてみるのが確実でしょう。

表の年数は材質と立地で変わる

機構の表の年数は、どれも「大体の目安」です。建物の立地条件や使い方、日ごろの点検や手入れの程度で変わると注記されています。

工法や気候によって点検項目も変わる

機構のページには、工法や仕様、所在地の気候によって点検・補修の項目や時期は異なるとも書かれています。雪の多い地域と温暖な地域では、同じ屋根でも見るべき点が変わるということです。

点検の記録を残しておく

機構は、点検の結果を「点検・補修記録シート」に書いて保管するよう勧めています。工事の図面や契約書、工事前後の写真も残しておくと、将来売るときに手入れしてきた証明になるそうです。

家は、ある日いきなり傷むわけではありません。水の逃げ場がふさがった所から、季節をいくつもまたいで少しずつ進みます。変わり目ごとに一度見て回るだけで、「どこから」の答えは自分の家の中で見えてくるはずです。

参考

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