ワッフルの起源と歴史 — 誕生の背景と豆知識まとめ

雑学・教養

ワッフルの起源と歴史 — 誕生の背景と豆知識まとめ

  1. はじめに
    1. 格子模様がトレードマークの「ワッフル」
    2. 甘さと香ばしさの陰に中世ヨーロッパの文化あり
  2. 名前の由来・語源
    1. 「waffle」は“蜂の巣模様”を意味するゲルマン語から?
    2. フランス語「gaufre(ゴーフル)」との関係
  3. 起源と発祥地
    1. 原型は古代ギリシャの“平焼きパン”だった?
    2. 中世ヨーロッパの“聖餐菓子”がワッフルのルーツ
  4. 広まりと変化の歴史
    1. ベルギーで“甘い街頭菓子”として定着
    2. アメリカで朝食用ワッフルとして進化・量産化
  5. 地域差・文化的背景
    1. ベルギーワッフル vs アメリカンワッフルの違い
    2. 「リエージュ」と「ブリュッセル」—ベルギー国内でも多彩
  6. 製法や材料の変遷
    1. 酵母 vs ベーキングパウダーのふくらみ方の違い
    2. 電気式ワッフルメーカーの登場と家庭普及
  7. 意外な雑学・豆知識
    1. ワッフルの模様は“焼き型の家紋”から来ている?
    2. アイスクリームコーンのルーツもワッフルだった?
    3. 「世界ワッフルデー」があるのはどこの国?
    4. かつては“聖人の日の祝菓子”だったって本当?
    5. 冷凍ワッフルの革命とトースター文化の関係
  8. 現代における位置づけ
    1. ブーム再来?カフェスイーツとしての再評価
    2. おかず系・スイーツ系・冷凍品など多様化の時代へ
  9. まとめ
    1. ワッフルは“宗教と暮らし”が融合した歴史的焼き菓子
    2. その格子模様の向こうに見える文化と工夫

はじめに

格子模様がトレードマークの「ワッフル」

香ばしい焼き色とふっくらとした食感、そして独特の格子模様。朝食として、スイーツとして、時には食事としても親しまれている「ワッフル」は、今や世界中に愛される焼き菓子です。

甘さと香ばしさの陰に中世ヨーロッパの文化あり

そんなワッフルの歴史をさかのぼると、古代のパン文化や宗教儀礼、中世の金属加工技術など、思いがけない背景が見えてきます。本記事では、ワッフルの名前の由来から誕生の歴史、豆知識までを、知識重視でじっくり紐解いていきます。

名前の由来・語源

「waffle」は“蜂の巣模様”を意味するゲルマン語から?

「ワッフル(waffle)」という言葉は、中世オランダ語の「wafel」、さらにさかのぼるとゲルマン語の「waba(蜂の巣状のもの)」に由来すると考えられています。この語源は、鉄板の格子状の模様と一致しており、見た目から名付けられたことがわかります。

フランス語「gaufre(ゴーフル)」との関係

フランスでは「ワッフル」は「ゴーフル(gaufre)」と呼ばれます。日本でも「ゴーフル」として知られるお菓子は、薄く焼き上げたワッフルの一種で、語源や起源はほぼ同じです。地域によって名称が分かれている点も、ワッフル文化の広がりを物語っています。

起源と発祥地

原型は古代ギリシャの“平焼きパン”だった?

ワッフルの遠い祖先は、古代ギリシャで作られていた「オベリオス」と呼ばれる薄焼きパンだと考えられています。これは二枚の金属板で挟んで焼く形式で、ワッフルの原型に非常に近いものです。

中世ヨーロッパの“聖餐菓子”がワッフルのルーツ

中世になると、キリスト教の聖餐式で使われるウエハース(ホスト)を焼くための鉄板が改良され、格子模様の焼き型が誕生しました。この技術を応用して、小麦粉、蜂蜜、卵などを使った甘い焼き菓子=ワッフルが誕生したと考えられています。

広まりと変化の歴史

ベルギーで“甘い街頭菓子”として定着

14〜15世紀頃には、ベルギーやフランスでワッフルが一般庶民の間にも広まり、街角で売られるスナック菓子として人気を博しました。露店で焼きたてを提供するスタイルは、現代のベルギーワッフルの原点とも言える文化です。

アメリカで朝食用ワッフルとして進化・量産化

19世紀末にベルギーからの移民がアメリカにワッフルを伝え、アメリカンワッフルという独自のスタイルが生まれました。さらに20世紀に入ると、電気式ワッフルメーカーの登場と冷凍ワッフルの発明により、家庭でも気軽に食べられる朝食メニューとして定着します。

地域差・文化的背景

ベルギーワッフル vs アメリカンワッフルの違い

ベルギーワッフルは酵母で発酵させた生地を使い、厚みがあり表面はサクッと、中はもっちりとした食感が特徴。対してアメリカンワッフルはベーキングパウダーを使い、薄めでカリッとした食感。両者は味も用途も異なる、別物と言ってよいでしょう。

「リエージュ」と「ブリュッセル」—ベルギー国内でも多彩

ベルギーでは地域によってワッフルのスタイルが異なり、砂糖の粒が入ってキャラメリゼされる「リエージュワッフル」、軽くて四角く、皿に盛られて提供される「ブリュッセルワッフル」が特に有名です。これらは観光地でもよく見られ、ベルギー文化の象徴となっています。

製法や材料の変遷

酵母 vs ベーキングパウダーのふくらみ方の違い

酵母を使う伝統的なベルギーワッフルは、発酵によって風味と弾力が生まれます。対してアメリカンワッフルでは膨張剤としてベーキングパウダーが使われ、簡便に焼き上げることができます。この違いが、食感や風味の差を生み出しているのです。

電気式ワッフルメーカーの登場と家庭普及

20世紀に登場した電気式ワッフルメーカーは、従来の鉄板式に比べて安全かつ簡単に焼けるため、家庭用調理器具として一気に普及。朝食にワッフルを焼く習慣は、特にアメリカの家庭で根強く定着しました。

意外な雑学・豆知識

ワッフルの模様は“焼き型の家紋”から来ている?

中世のワッフル型には、格子模様のほかにも、紋章や聖人のシンボルが刻まれていたことがあります。貴族や教会が使っていた焼き型は、家系や地位を示すものだったとも言われており、模様には象徴的意味があった可能性もあります。

アイスクリームコーンのルーツもワッフルだった?

1904年のセントルイス万博で、アイスクリームが売れすぎてカップが足りなくなった際、隣のワッフル屋が焼いたワッフルを丸めて提供したことが、アイスクリームコーンの誕生とされる逸話があります。ワッフルは新たなお菓子文化のきっかけにもなったのです。

「世界ワッフルデー」があるのはどこの国?

スウェーデンでは3月25日が「ワッフルの日(Våffeldagen)」とされており、この日は家庭でワッフルを焼いて楽しむ伝統があります。この習慣は他の北欧諸国にも広がり、SNSなどでも毎年話題になります。

かつては“聖人の日の祝菓子”だったって本当?

中世ヨーロッパでは、聖ヨセフの祝日に焼かれるワッフルが存在しており、宗教行事と深い関係を持っていました。ワッフルは“日常の贅沢”ではなく、“祝福と感謝の食べ物”でもあったのです。

冷凍ワッフルの革命とトースター文化の関係

1953年、アメリカで「エグゴ(Eggo)」ブランドの冷凍ワッフルが登場し、朝食革命が起こります。トースターで数分加熱すれば完成する利便性から、現代に至るまで冷凍ワッフル市場は拡大を続けています。

現代における位置づけ

ブーム再来?カフェスイーツとしての再評価

近年では、おしゃれなカフェで提供される「ふわふわワッフル」や、フルーツたっぷりのデザートプレートとして再注目されています。外食メニューとしても家庭用スイーツとしても、ワッフルは再ブームの兆しを見せています。

おかず系・スイーツ系・冷凍品など多様化の時代へ

チキン&ワッフルや、ベーコンやチーズを挟んだ「食事系ワッフル」、グルテンフリーやヴィーガン仕様のヘルシーワッフルなど、用途や食文化に応じて多様化が進んでいます。ワッフルは、時代とともに進化を続ける“自由な焼き菓子”です。

まとめ

ワッフルは“宗教と暮らし”が融合した歴史的焼き菓子

古代の祭礼、宗教儀礼、街角の屋台、そして家庭の朝食へ。ワッフルは、その時代ごとに形を変え、私たちの暮らしに溶け込んできました。

その格子模様の向こうに見える文化と工夫

単なる甘いお菓子ではなく、焼き型の歴史、技術、宗教、地域文化が交差する“文化の焼き目”。次にワッフルを手に取るときは、その模様の先にある物語に目を向けてみてください。

 

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