「ツァイガルニク効果」、ドラマの続きが気になるのはなぜか — 1927年の実験から生まれた心理法則

身近な心理と行動の話
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ドラマの「次回予告」を見た瞬間、続きが気になって仕方なくなる。CMで肝心なところで画面が切り替わり、もどかしい思いをする。こうした「中途半端なまま終わると、なぜか気になってしまう」現象には、1927年に発見された心理法則が関わっています。

「ツァイガルニク効果」、答えはこの4つ

まずは、この記事で分かることを表にまとめておきます。

ツァイガルニク効果とは何か 完了したことより、中断・未完了のことのほうが記憶に残りやすいという心理法則
いつ、どうやって発見されたのか 1927年、心理学者ツァイガルニクがレストランでの観察をもとに実験で確かめた
なぜドラマやCMで使われるのか 「続きが気になる」状態を作ることで、視聴者の関心を次の場面まで引き伸ばせるから
日常生活でどう役立つのか 作業をキリの悪いところで一旦止めると、再開へのモチベーションを保ちやすい

ここから、それぞれの背景を詳しく見ていきます。

「ツァイガルニク効果」とは、中断した物事ほど記憶に残るという法則

完了したことより、中断したことのほうが記憶に残りやすい

ツァイガルニク効果とは、最後までやり遂げたことよりも、途中で中断したり終わらなかったりしたことのほうが、記憶に残りやすいという心理現象です。旧ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクが発見し、自身の名前がそのまま法則名になりました。

きっかけは、レストランのウェイターの記憶力の違い

ツァイガルニクがこの現象に気づいたきっかけは、あるレストランでの観察だったといわれています。ウェイターは、まだ提供していない注文の内容をよく覚えている一方、料理を出してしまったあとの注文については、細かい内容をうまく思い出せない様子だったそうです。この違いに着目したことが、後の実験につながりました。

考え事をしている男性会社員のイラスト

1927年の実験で、「中断された作業」のほうが多く思い出された

作業を途中で止められた人と、最後まで終えた人を比較

1927年、ツァイガルニクは被験者に20種類前後の作業を割り当て、実験を行いました。一部の被験者には作業の途中でランダムに中断を入れ、別の作業に切り替えさせます。残りの被験者には、特に邪魔をせず作業を最後まで終えてもらいました。その後、被験者全員に、覚えている作業をできるだけ書き出してもらったのです。

中断された作業は、約9割多く記憶に残っていた

結果、途中で中断された作業は、最後までやり遂げた作業よりも、約9割多く記憶に残っていることが分かりました。この実験をきっかけに、「中断された課題や未完了の課題は、達成済みの課題より思い出されやすい」という考え方が、心理学のなかで広く知られるようになりました。その後の追跡研究でも、年齢や文化が異なる集団で同様の傾向が確認されているとされています。

ドラマの「次回予告」やCMに使われているのも、この効果

「続きが気になる」状態を、あえて作る

ドラマの「次回予告」が、物語が大きく動く直前で終わるのも、ツァイガルニク効果を利用した構成といえます。話が完結していない状態のまま視聴者の記憶に残すことで、「続きが気になって、次回も見たくなる」という気持ちを引き出しているわけです。CMで商品の決め手となる部分を見せず、続きをWebサイトに誘導する手法も、同じ仕組みに基づいています。

SNSの「続きを読む」ボタンも同じ仕組み

SNSやニュースサイトでよく見かける「続きを読む」「もっと見る」というボタンも、文章を途中で区切ることで、続きが気になる状態を作り出しています。最後まで表示されている文章よりも、途中で隠された文章のほうが、つい開いてしまうという経験がある人も多いのではないでしょうか。

スマートフォンでSNSを見ている男性のイラスト

集中力を保つコツにも応用できる

作業をキリの悪いところで、一度止めてみる

この効果は、エンタメやマーケティングだけでなく、日々の作業にも応用できます。たとえば、文章を書く作業を「段落の途中」など、あえてキリの悪いところで一度中断してみると、その続きが気になる状態のまま休憩に入ることができます。再開したときに、すぐ作業へ戻りやすくなるのは、この「気になる」状態が後押ししているからかもしれません。

興味のあることほど、効果が強く出やすい

ただし、この効果の強さは、もともとその作業にどれくらい関心を持っていたかによって変わるとされています。興味を持って取り組んでいた作業を中断すると「気になる」感覚は強く出やすい一方、関心の薄い作業ではあまり差が出ないこともあるようです。

何気なく見ているドラマの続きや、つい開いてしまうSNSの「続きを読む」ボタンの裏には、1927年の実験に端を発するこうした心理法則が関わっています。次に「続きが気になる」と感じたときは、自分の記憶の仕組みがどう働いているのか、少し考えてみると面白いかもしれません。