身近な科学の話

からだの話

えくぼは骨でも脂肪でもなく、筋肉の分かれ方でできる——あるかないかの二択でもない

えくぼは、笑ったからへこむのではありません。笑う前から、頬の内側にしかけが埋まっています。大頬骨筋(だいきょうこつきん)という表情筋が途中で二股に分かれ、下側の束が皮膚の裏側に貼りついている。いま最も有力とされている説明は、これです。ところ...
からだの話

血液型はもともとA・B・Cだった——「O」の名前が決まるまでの28年

1901年に発表された最初の論文に、O型という言葉は出てきません。そこに並んでいたのは、A型・B型・C型の三つでした。いま私たちが当たり前に使っているA・B・AB・Oという四文字は、発見された瞬間に決まったものではありません。三番目の型が改...
からだの話

くせ毛がうねるのは毛穴の形だけではない——1本の中の、硬い側と柔らかい側

くせ毛のうねりは、髪の内側で起きています。1本の毛の中に、水を含みやすい細胞と含みにくい細胞が片寄って並んでいます。その差が毛をたわませているのです。「毛穴が曲がっているからうねる」という説明もよく耳にします。それも一部は当たっているのです...
からだの話

寝言は3人に2人が経験する——病気ではないが、放っておけない寝言もある

夜中に、隣で眠っている人が急にはっきりした声で「ちがう」と言う。朝になって本人にたずねても、まったく覚えていない。この寝言という現象は、睡眠障害の国際的な分類では病気の欄に置かれていません。単独で見られる正常範囲の症状として扱われています。...
生きものの話

パンダは肉食の体のまま竹を食べている——8割を消化できないのに、それで足りてしまう

ジャイアントパンダは、分類のうえでは食肉目クマ科です。腸は短く、草食動物のような発酵タンクも持っていません。それなのに食べるものの99パーセントは竹やササで、そのうち体に取り込めるのは17パーセントほど。残りの8割以上は、ほとんど姿を変えな...
言葉と論理の話

「蜃気楼」の「蜃」とはどんな生きものか——気を吐いて楼閣を見せる大ハマグリ

「蜃気楼」の「蜃」は、空や天気を表す字ではありません。生きものの名前です。しかも大きなハマグリを指します。海の上に浮かぶ楼閣は、その貝が吐いた息が形になったもの——古代の中国はそう説明していました。三文字のうち、いまの科学に引き継がれたもの...
からだの話

人間だけが9割そろって右利き——利き手はおなかの中で決まりはじめる

ネコにもチンパンジーにも、使いやすい前足はあります。ただ、群れのほとんどが同じ側にそろってしまうのは人間だけです。決まる時期はいつなのか。決めているのは何か。そして、なぜ右ばかりなのでしょう。この三つは別々の問いで、わかっている度合いもずい...
からだの話

金縛りで動けないのは、体が毎晩かけているブレーキ——脳だけが先に目を覚ました数分間

金縛りの最中、体は眠っていて、脳だけが目を覚ましています。まぶたは開き、部屋の様子も見えている。それでも腕は上がらず、声も出ません。この数分間に起きているのは、レム睡眠のあいだ全身にかかっているブレーキが、意識だけ戻ったあとも外れずに残って...
からだの話

「男女で脳が違う」は本当か——平均の差はあっても、脳は二種類に分かれない

男性の脳と女性の脳は、平均するとたしかに大きさが違います。男性のほうが1割ほど大きい。けれども、そこから先の「だから考え方が違う」という説明は、この40年の研究でほとんど支持されなくなりました。脳梁(のうりょう)が太いから女性は察しがいい。...