救急車・パトカー・消防車、サイレンの音が違うのはなぜか——音で役割を分けるしくみ

身近な科学の話
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街でサイレンが聞こえると、「ピーポーだから救急車」「ウーだからパトカーかな」と、音だけでだいたい見分けられます。

緊急車両のサイレンは、車種によってはっきりと音が違います。なぜ、わざわざ音を変えているのでしょうか。

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三つのサイレンはどう違う?

まず、代表的な音を一覧で見ておきます。

車種サイレンの音
救急車ピーポーピーポー(高い音と低い音のくり返し)
パトカーウーウー+「緊急車両が通ります」の放送
消防車ウーウー+カンカン(鐘の音)
なぜ違う?音だけで何が来たか見分けられるように

それぞれ、くわしく見ていきます。

前から見た救急車のイラスト

音で「役割」を見分けるため

同じ音だと混乱してしまう

サイレンの音が車種ごとに違うのは、聞いた人がすぐ何の車かわかるようにするためです。もし全部が同じ音だったら、火事なのか急病なのか、区別がつきません。音を変えることで、見えないところからでも「何が起きているか」が伝わるようになっています。

救急隊員のイラスト

サイレンは法律で決められている

緊急車両のサイレンは、思いつきで鳴らしているわけではありません。音の大きさや種類は法律で定められていて、決められた基準を満たしたものだけが使われています。だからこそ、全国どこで聞いても同じ音として通じるのです。

三車種の音の違い

救急車は「ピーポー」

救急車は、高い音と低い音を交互にくり返す「ピーポーピーポー」が特徴です。やわらかく聞こえるこの音は、急病人やけが人を運ぶ車であることを、まわりにおだやかに知らせます。住宅街でも比較的やさしく響くよう工夫された音です。

パトカーと消防車は「ウー」

いっぽうパトカーは、低くうなる「ウーウー」に、「緊急車両が通ります」という放送が重なります。消防車も基本は「ウーウー」ですが、これに「カンカン」という鐘の音が加わるのが大きな特徴です。同じ「ウー」でも、鐘やアナウンスの有無で消防車とパトカーを聞き分けられます。

急ぐ消防車のイラスト

救急車はなぜ「ピーポー」になったのか

もとは消防車と同じ「ウー」だった

実は救急車も、昔は消防車と同じ「ウー」というサイレンでした。ところが音が同じせいで、火事と勘違いされ、混乱が起きることもあったといいます。出動すべきか迷う消防団員もいて、救急の出動だと気づかれにくかったのです。

救急車のイラスト

1970年ごろに今の音へ

そこで救急車には、消防車と区別できる新しい音が求められました。高低2音の「ピーポー」は1960年代に考え出され、1970年ごろから全国の救急車へ切り替えられていきました。フランスの緊急車両の音が参考にされたとも伝えられています。

近づくと高く、遠ざかると低い

音が変化して聞こえる「ドップラー効果」

サイレンの音は、車が近づくときと遠ざかるときで、高さがちがって聞こえます。近づいてくる間は高く、通り過ぎて遠ざかると急に低く聞こえる——この現象はドップラー効果と呼ばれるものです。音そのものが変わるのではなく、音の波が押し縮められたり引き伸ばされたりして、聞こえ方が変わるのです。

急ぐパトカーのイラスト

豆知識——夜はやさしく鳴らす「住宅モード」

近ごろの救急車には、音量をおさえる「住宅モード」を備えたものがあります。深夜や住宅街では、サイレンをやや低めのやわらかい音に切りかえ、まわりへの配慮と安全の確保を両立させています。緊急の音ひとつにも、時代に合わせた工夫が重ねられているのです。

布団で眠る人のイラスト

何気なく聞き流しているサイレンの音には、何の車かを一瞬で伝え、まわりの安全を守るための工夫が詰まっています。あの音色は、だれかのもとへ急ぐ車が発する、助けを届けるための合図でもあります。聞き慣れた響きの裏にも、人の命を守る知恵が静かに働いているのです。