からだの話

一重と二重を分けているのは、まぶたの中で皮膚を引く「枝」——同じ人でも朝と夕方で変わる

まぶたを開く力そのものは、一重の人も二重の人も変わりません。違うのは、その力が皮膚まで届いているかどうかです。上まぶたの内側には、目を開けるときに引き上げられる腱の膜が入っています。この膜から枝分かれした線維が皮膚の裏側に付いていると、目を...
からだの話

掻くと気持ちいいのは、脳がごほうびを出しているから——同じ脳が、かゆみを強める信号も送り返す

かゆみは、痛みの弱いものではありません。皮膚から脳までかゆみ専用の道があり、痛みとは別の神経を通って伝わってきます。そして掻いたときのあの快感も、気のせいではありません。かゆいところを掻いている人の脳を調べると、報酬系と呼ばれる部位が強く反...
からだの話

静電気はなぜ冬に起きやすいのか——バチッと来る人と来ない人を分けるのは、靴の底

冬にドアノブへ手を伸ばして「バチッ」と来るのは、その季節だけ体が電気を作り出しているからではありません。電気の偏りそのものは一年じゅう起きています。冬に変わるのは、たまった電気の逃げ道のほうです。空気が乾くと、行き場を失った電気が体の側に残...
社会と仕組みの話

「クビ」はどこから来た言い方か——江戸時代は「暇を出す」と言っていた

勤め先をやめさせられることを「クビになる」と言います。打ち首の刑からきた言い方だと説明されることが多い言葉です。ところが辞書で古い用例をたどると、少し違う景色が見えてきます。江戸時代に奉公人をやめさせることは、ふつう「暇(ひま)を出す」と言...
身近な食文化

ウニの黄色い部分は卵ではない——オスとメスで、別の器官を同じ「身」と呼んでいる

寿司の軍艦巻きに載っている、あのオレンジがかった黄色い房。あれはウニの卵ではありません。卵巣か精巣、つまり生殖巣です。しかも一皿に並んだ房が、オスから採れたものかメスから採れたものかは、見ただけではまず判別できません。同じ折り箱の中で精巣と...
からだの話

整形外科が勧める「ジグリング」は貧乏ゆすりのこと——「貧乏」の名は寒さで震える姿から来ている

会議中に前の席の人の膝が細かく揺れていると、つい目がいってしまいます。行儀が悪い、落ち着きがない——貧乏ゆすりに向けられる視線は、だいたい冷ややかです。ところがこの動き、整形外科の外来では「ジグリング」という別の名前で呼ばれ、患者さんに勧め...
社会と仕組みの話

ホチキスはなぜ左上に留めるのか——書類の左端20ミリは、はじめから空けてある

横書きの書類はホチキスを左上に、縦書きの書類は右上に留めます。考える前に手がそう動く、という人も多いはずです。この位置は、誰かの好みで広まった作法ではありません。紙の側に「ここを留めてほしい」という空白があらかじめ確保されていて、ホチキスは...
言葉と論理の話

「セロテープ」と名乗れるのは一社だけ——あの透明なテープは木からできている

机の上に転がっている透明なテープ。その名を「セロテープ」と掲げられるのは、本当はニチバンの製品だけです。「セロテープ」はニチバンが持つ登録商標で、材質と品物そのものを指す一般名は「セロハンテープ」。そしてもう一つ、あの透明なフィルムはプラス...
生きものの話

ゴキブリという名前には、一文字足りない——「御器かぶり」の「カ」が消えた1884年

江戸時代の百科事典を開いても、「ゴキブリ」という虫は載っていません。そこに書かれているのは「御器噛(ごきかぶり)」。いまの呼び名より、一文字だけ長い名前です。この「カ」は、どこへ消えたのか。手がかりは、明治17年に出た一冊の用語辞典に残って...