言葉と論理の話

「セロテープ」と名乗れるのは一社だけ——あの透明なテープは木からできている

机の上に転がっている透明なテープ。その名を「セロテープ」と掲げられるのは、本当はニチバンの製品だけです。「セロテープ」はニチバンが持つ登録商標で、材質と品物そのものを指す一般名は「セロハンテープ」。そしてもう一つ、あの透明なフィルムはプラス...
言葉と論理の話

ゴキブリという名前には、一文字足りない——「御器かぶり」の「カ」が消えた1884年

江戸時代の百科事典を開いても、「ゴキブリ」という虫は載っていません。そこに書かれているのは「御器噛(ごきかぶり)」。いまの呼び名より、一文字だけ長い名前です。この「カ」は、どこへ消えたのか。手がかりは、明治17年に出た一冊の用語辞典に残って...
生きものの話

ホタルの光は、成虫と幼虫で役目が入れ替わる——求愛の合図になるのは一生の最後だけ

ホタルの光は、相手を探すための合図です。ただしこの説明が当てはまるのは、飛んでいる成虫だけです。卵も、水の中の幼虫も、土にもぐったサナギも光ります。求愛とは関係のない段階で、同じ仕組みがすでに動いているのです。「ホタルはなぜ光るのか」という...
言葉と論理の話

「あばたもえくぼ」の「あばた」は天然痘のあと——病気は消え、ことわざだけが残った

「あばた」とは、天然痘が治ったあとに顔へ残る小さなくぼみのことです。惚れた相手なら、その痕さえ笑ったときのえくぼのように見える——「あばたもえくぼ」は、そういう言い回しです。意味は誰でも知っています。ところが「あばた」のほうを実際に見たこと...
からだの話

えくぼは骨でも脂肪でもなく、筋肉の分かれ方でできる——あるかないかの二択でもない

えくぼは、笑ったからへこむのではありません。笑う前から、頬の内側にしかけが埋まっています。大頬骨筋(だいきょうこつきん)という表情筋が途中で二股に分かれ、下側の束が皮膚の裏側に貼りついている。いま最も有力とされている説明は、これです。ところ...
からだの話

血液型はもともとA・B・Cだった——「O」の名前が決まるまでの28年

1901年に発表された最初の論文に、O型という言葉は出てきません。そこに並んでいたのは、A型・B型・C型の三つでした。いま私たちが当たり前に使っているA・B・AB・Oという四文字は、発見された瞬間に決まったものではありません。三番目の型が改...
からだの話

くせ毛がうねるのは毛穴の形だけではない——1本の中の、硬い側と柔らかい側

くせ毛のうねりは、髪の内側で起きています。1本の毛の中に、水を含みやすい細胞と含みにくい細胞が片寄って並んでいます。その差が毛をたわませているのです。「毛穴が曲がっているからうねる」という説明もよく耳にします。それも一部は当たっているのです...
からだの話

寝言は3人に2人が経験する——病気ではないが、放っておけない寝言もある

夜中に、隣で眠っている人が急にはっきりした声で「ちがう」と言う。朝になって本人にたずねても、まったく覚えていない。この寝言という現象は、睡眠障害の国際的な分類では病気の欄に置かれていません。単独で見られる正常範囲の症状として扱われています。...
生きものの話

パンダは肉食の体のまま竹を食べている——8割を消化できないのに、それで足りてしまう

ジャイアントパンダは、分類のうえでは食肉目クマ科です。腸は短く、草食動物のような発酵タンクも持っていません。それなのに食べるものの99パーセントは竹やササで、そのうち体に取り込めるのは17パーセントほど。残りの8割以上は、ほとんど姿を変えな...