お弁当用の保冷剤を冷凍庫から出したら、カチカチに凍って氷のようになっていた。一方で、別の保冷剤は同じように凍らせたはずなのに、シャーベットのようにふにゃふにゃのまま。同じ「保冷剤」という名前でも、中身はまったく違う2種類が存在しています。
保冷剤には大きく2つのタイプがある
違いをつかむために、まず2タイプを表にしてみます。
| タイプ | 主な成分 | 凍らせると | 捨て方の注意 |
|---|---|---|---|
| カチカチタイプ | 水+高吸水性ポリマー | 氷のように硬く固まる | 排水口やトイレに流さない |
| やわらかタイプ | エチレングリコールなどの不凍成分 | シャーベット状で柔らかいまま | 誤飲に注意 |
なぜこの違いが生まれるのか、中身の成分から確認していきます。
なぜ同じ「保冷剤」なのに凍り方が違うのか
カチカチタイプの中身は「高吸水性ポリマー」
お弁当やケーキについてくる薄いシート状の保冷剤は、ほとんどが水と「高吸水性ポリマー」でできています。高吸水性ポリマーは、自分の重さの数百倍から千倍もの水を吸い込んでゲル状に固める物質です。中身の99%ほどが水なので、凍らせると水と同じように、全体がガチッと氷状に固まります。
※ 高吸水性ポリマーとは、大量の水を吸収してゲル状に変化する樹脂のことです。紙おむつや生理用品の吸水部分にも、同じ仕組みの素材が使われています。

やわらかタイプの中身は「凍りにくくする成分」入り
繰り返し使うタイプの保冷剤や、長時間の保冷を目的とした保冷剤には、エチレングリコールやプロピレングリコールといった成分が水に混ぜられています。これらは水に溶けると、水が氷になる温度(凝固点(ぎょうこてん))を大きく下げる性質があります。この現象は「凝固点降下(ぎょうこてんこうか)」と呼ばれ、そのため冷凍庫の温度になっても完全には凍りきらず、シャーベットのような半固体の状態を保てるのです。車の冷却水に入れる不凍液も、同じ仕組みでマイナスの気温でも凍らないようにしています。
保冷剤が「冷たさをキープ」できる仕組み
固体から液体に変わるときに、周りの熱を吸い込む
凍った保冷剤がゆっくり溶けていくとき、中の氷は固体から液体に変化しています。この「状態変化」が起きている間、保冷剤は周囲から熱を吸収し続けますが、自分の温度はほとんど上がりません。氷水にいくら熱を加えても、氷が残っているうちは0℃のまま、というのと同じ現象です。保冷剤が長時間冷たいままなのは、この状態変化が終わるまで温度上昇を「足止め」してくれているからです。
やわらかタイプは、凍る・溶けるの境目を広く使っている
やわらかタイプの保冷剤は、完全な液体と完全な固体の間、つまりシャーベット状の状態が幅広い温度で続きます。この「半分凍っている」状態が長く続くこと自体が、冷たさを保つ時間を引き延ばす効果につながっています。カチカチタイプのように一気に解けてしまうのではなく、じわじわと冷たさを手放していくイメージです。
保冷剤の正しい捨て方・注意点
高吸水性ポリマーは、トイレや排水口に流さない
カチカチタイプの中身を取り出して、トイレや排水口に流してしまう人がいますが、これはNGです。高吸水性ポリマーは水を吸って大きく膨らむ性質があるため、排水管の中で水分を吸収して詰まりの原因になることがあります。中身は人体に害のない素材ですが、自治体のルールに従って、燃えるゴミとして処分するのが基本です。

やわらかタイプは、誤って口に入れないよう注意する
一方、エチレングリコールなどを含むやわらかタイプの保冷剤は、高吸水性ポリマーのタイプとは違い、誤って大量に飲み込むと健康に影響が出るおそれがある成分です。小さな子どもやペットがいる家庭では、保冷剤をそのまま放置せず、保管場所や処分の仕方に気をつけたいところです。
見た目も触感もよく似た2つの保冷剤ですが、中身の性質は正反対です。次に保冷剤を手に取ったときは、パッケージの成分表示をのぞいてみると、自分が使っているのがどちらのタイプか分かるはずです。

