JR京葉線には「西船橋」と「南船橋」という駅がありますが、地図で確認すると、南船橋は西船橋から見て東側にあります。駅名についた方角は、本当に方位を表しているのでしょうか。
駅名の「方角」は、基準になる駅・地域から見た位置を示す
駅名に付く方角は、地図上の正確な方位ではなく、もとになった駅や地域を基準にした位置を示しています。
| パターン | 基準になるもの | 特徴 |
|---|---|---|
| 浦和(北浦和・南浦和など) | 浦和駅 | 開業した順に方角が一つずつ埋まっていった |
| 西船橋・南船橋 | 船橋という地域全体 | 駅どうしの方位とは必ずしも一致しない |
この「基準点からの方角」という考え方は、なぜ生まれたのでしょうか。
なぜ方角を付けるのか — 同じ地名の駅が増えすぎるため
新しい駅を作るとき、すでに使われている地名と同じ駅名を付けると利用者が混乱します。そこで、もとの駅名に方角を加えて区別する方法が、古くから使われてきました。
浦和には方角付きの駅がいくつもある
さいたま市には、浦和・北浦和・南浦和・西浦和・東浦和・中浦和・武蔵浦和・浦和美園(うらわみその)という、8つの「浦和」駅があります。明治時代に開業した浦和駅を中心に、その後の100年ほどで方角や地名を加えた駅が次々と増えていきました。

方角以外にも「重複回避」の付け方がある
方角を加える以外にも、駅名の重複を避ける方法はいくつかあります。よく使われるのが、旧国名を頭に付ける方法です。たとえば「伊予(いよ)」を冠した駅は愛媛県内に25駅もあり、全国で最も多い旧国名の例として知られています。「新」を頭に付けて新設駅であることを示す方法も、各地に見られる手法です。
なぜ方角が実際の位置とズレることがあるのか
浦和の例のように、もとの駅を中心に四方へ広がった場合は、方角と実際の位置がほぼ一致します。しかし、もとになるのが「駅」ではなく「地域」だと、ズレが生まれる場合もあるのです。
西船橋駅と南船橋駅は、実は東西に並んでいる
西船橋駅と南船橋駅は、名前から南北に並んでいるように見えますが、実際には西船橋駅から東へ進んだ先に南船橋駅があります。どちらの駅名も「船橋」という地域全体を基準にした方角であり、両駅同士の位置関係を示したものではありません。

豆知識:浦和の8駅は、開業した順に方角が埋まっていった
浦和の8駅を開業順に並べると、方角が少しずつ埋まっていく様子が分かります。
- 明治16年: 浦和駅
- 昭和11年: 北浦和駅
- 昭和36年: 南浦和駅
- 昭和48年: 西浦和駅・東浦和駅(同時開業)
- 昭和60年: 中浦和駅・武蔵浦和駅(同時開業)
- 平成13年: 浦和美園駅
東西南北が揃う駅名は、浦和だけ
東西南北の方角と地名だけを組み合わせた駅名で、4方向すべてが揃っているのは浦和だけだとされています。約100年かけて少しずつ方角が追加され、最後に「中」と「武蔵」が加わって現在の形になりました。
駅名に付いた方角は、最初から計画的に配置されたものではありません。街の成長や駅の増設に合わせて、後から一つずつ加えられてきたものです。
西船橋と南船橋のように方角と実際の位置がずれた駅名は、ほかの路線の地図にも見つかります。

