日本一短い川はどのくらい短い?——わずか13.5メートルの川が生まれるわけ

日本の地理と自然
スポンサーリンク

日本でいちばん長い川は、信濃川。全長はおよそ367キロメートルもあります。では反対に、日本でいちばん短い川は、どのくらいの長さだと思いますか。

答えは、けたちがいに小さな数字です。なんと、わずか13.5メートル。歩けば数歩で、端から端まで行けてしまいます。なぜ、そんなに短い川が生まれるのでしょうか。

川のイラスト
スポンサーリンク

日本一短い川のひみつ

まず、その川の正体を一覧で見ておきます。

問い答え
日本一短い川は和歌山県の「ぶつぶつ川」
長さはわずか13.5メートル
なぜ短いのか湧き水が源で、すぐ別の川に合流するから
いつ認定されたか2008年に二級河川となり日本最短に

では、くわしく見ていきます。

日本一短い川「ぶつぶつ川」

全長13.5メートル、歩いて数歩

日本一短い川は、和歌山県の那智勝浦町(なちかつうらちょう)を流れる「ぶつぶつ川」です。全長はわずか13.5メートル、川幅は1メートルほど。大人が歩けば、ほんの数歩で端から端までたどりつきます。フツフツと清水が湧き出るようすから、この名前がついたといわれています。

ちゃんとした「川」として認められている

これほど小さくても、ぶつぶつ川はれっきとした川です。2008年に二級河川に指定され、河川法という法律のうえで「川」とみとめられました。それによって、日本でいちばん短い川という肩書きを手にしたのです。ただの用水路ではなく、正式な川だというのが、この川のおもしろいところです。

なぜこんなに短い川ができるのか

源は雨ではなく「湧き水」

ふつうの川は、山などに降った雨が集まってできます。あちこちの水を集めながら下流へ流れ、だんだん長くなっていきます。ところがぶつぶつ川の水は、雨ではありません。地面の石組みからこんこんと湧き出る、地下水が源なのです。

湧き水のイラスト

湧いてすぐ、となりの川に合流する

湧き出た水は、長い距離を流れることなく、すぐ近くの「粉白川(こなしろがわ)」に合流します。源から合流点まで、その間がたったの13.5メートル。広い範囲から水を集める「流域」をほとんど持たないため、川は生まれてすぐ終わってしまいます。湧き水の川が短くなりやすいのは、このためです。

川の「長さ」は何で決まるのか

カギは「流域」の広さ

川の長さを決めるいちばんの要素は、雨を集める範囲の広さです。この範囲を「流域」といいます。流域が広いほど、遠くの水まで集めることになり、川は長くなります。日本一長い信濃川が367キロメートルもあるのは、それだけ広い範囲の水を集めているからです。

山と川と田んぼの風景イラスト

流域を持たない川は短い

反対に、流域をほとんど持たない川は短くなります。ぶつぶつ川のように、湧き水がすぐ別の川へ注ぐ場合、集める範囲がそもそもありません。だから、長さは生まれる場所と注ぎ先の距離だけで決まってしまいます。川の長さは、その土地の地形がそのまま表れたものといえます。

豆知識——日本一短い川は、今も「生活の水」

日本一という肩書きを持つぶつぶつ川ですが、その役割はとても素朴です。地元の人にとっては、いまも野菜を洗い、道具をすすぐための暮らしの水なのです。観光地としてだけでなく、生活の場として大切にされています。

水で野菜を洗うイラスト

ちなみに「日本一短い川」といえるのは、法律で正式に川とみとめられているからです。もっと短い小川や水路は各地にありますが、河川法のうえで「川」とされたなかでは、13.5メートルが最短というわけです。

川の長さは、その土地がどんなふうに水を集めてきたかを物語っています。13.5メートルというささやかな流れにも、湧き水と地形が生んだ、ちゃんとした理由がありました。日本一短い川は、「川の長さは何で決まるのか」という問いに、いちばん小さな声で答えてくれているのです。