生きものの話

言葉と論理の話

「とんぼ返り」の由来——「退かない」はずの勝ち虫が、なぜ引き返すのか

「とんぼ返り」は、もともと体を一回転させる宙返りのことでした。出張先から日帰りで戻ってくるという今の使い方は、そこから枝分かれした二番目の意味です。名前のとおり、由来は虫のトンボにあります。ただし理由は「速く飛ぶから」ではありません。辞書が...
身近な食文化

ウニの黄色い部分は卵ではない——オスとメスで、別の器官を同じ「身」と呼んでいる

寿司の軍艦巻きに載っている、あのオレンジがかった黄色い房。あれはウニの卵ではありません。卵巣か精巣、つまり生殖巣です。しかも一皿に並んだ房が、オスから採れたものかメスから採れたものかは、見ただけではまず判別できません。同じ折り箱の中で精巣と...
言葉と論理の話

ゴキブリという名前には、一文字足りない——「御器かぶり」の「カ」が消えた1884年

江戸時代の百科事典を開いても、「ゴキブリ」という虫は載っていません。そこに書かれているのは「御器噛(ごきかぶり)」。いまの呼び名より、一文字だけ長い名前です。この「カ」は、どこへ消えたのか。手がかりは、明治17年に出た一冊の用語辞典に残って...
生きものの話

ホタルの光は、成虫と幼虫で役目が入れ替わる——求愛の合図になるのは一生の最後だけ

ホタルの光は、相手を探すための合図です。ただしこの説明が当てはまるのは、飛んでいる成虫だけです。卵も、水の中の幼虫も、土にもぐったサナギも光ります。求愛とは関係のない段階で、同じ仕組みがすでに動いているのです。「ホタルはなぜ光るのか」という...
生きものの話

パンダは肉食の体のまま竹を食べている——8割を消化できないのに、それで足りてしまう

ジャイアントパンダは、分類のうえでは食肉目クマ科です。腸は短く、草食動物のような発酵タンクも持っていません。それなのに食べるものの99パーセントは竹やササで、そのうち体に取り込めるのは17パーセントほど。残りの8割以上は、ほとんど姿を変えな...
生きものの話

象の鼻はなぜあんなに長いのか——頭が重すぎて、首を伸ばせなかった

ゾウの鼻は、鼻だけでできているわけではありません。あの長い管は鼻と上唇がひとつに融合したもので、胎児の早い段階で両者がつながることが知られています。鼻の穴が先端まで通っている一方で、ものをつまむ先端の突起は唇に由来する部分です。しかも、中に...
生きものの話

竹は「木」か「草」か——タケノコの太さのまま、一生太らない

竹はイネ科の植物です。イネにムギ、ススキにトウモロコシ。同じ科や近い仲間を並べてみると、どれも木とは呼ばれないものばかりが顔をそろえます。それでも竹は硬く、高いものは20メートルを超え、建物や道具の材料として使われてきました。木なのか草なの...
生きものの話

イノシシと豚は何が違うのか——同じ種なのに、背骨の本数が違う

豚は、イノシシを家畜にした動物です。生物の分類でいうと、この二つは別々の種ではありません。どちらも Sus scrofa(スス・スクロファ)という一つの種の中に収まります。とはいえ、山で撮られた写真と養豚場の写真を並べれば、たいていの人は迷...
生きものの話

カッコウはなぜ他の鳥の巣に卵を産むのか——1羽のメスが1シーズンに十数個、すべて別の巣へ

カッコウは、自分では巣を作りません。卵は他の鳥の巣に産み込み、あとの世話はすべてその鳥に任せてしまいます。この習性が「托卵(たくらん)」で、しばしば「他の鳥に卵を預ける行為」と紹介されてきました。ただ、預けるという言葉から思い浮かぶ光景とは...