「重曹」と「クエン酸」、掃除での使い分けは

暮らしの知恵
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掃除用品売り場に並ぶ「重曹」と「クエン酸」。どちらも体に優しいナチュラル洗剤として人気ですが、実はこの2つ、得意な汚れがまったく逆です。重曹は弱アルカリ性、クエン酸は弱酸性。この性質の違いさえ分かれば、目の前の汚れにどちらを使えばいいか、迷わなくなります。

汚れの種類別、重曹とクエン酸の選び方

迷ったときのために、汚れ別の選び方を一覧にしておきます。

汚れ・場所汚れの性質向いている洗浄剤
コンロ・換気扇の油汚れ酸性重曹
手の皮脂による黒ずみ酸性重曹
鍋の焦げつき酸性+こびりつき重曹(研磨も兼ねる)
浴室の鏡・蛇口の水垢アルカリ性クエン酸
トイレの尿石・アンモニア臭アルカリ性クエン酸

続けて、なぜこの組み合わせになるのか、仕組みを見ていきます。

「逆の性質」をぶつけると汚れが落ちる理由

重曹(弱アルカリ性)が、酸性の油汚れ・皮脂を中和する

重曹の正式名称は炭酸水素ナトリウムで、水に溶かすとpH8.2前後の弱アルカリ性になります。キッチンの油汚れや手の皮脂は酸性のため、アルカリ性の重曹をぶつけると中和され、汚れが分解されて落ちやすくなります。さらに重曹は粒子が細かく水に溶けにくいので、クレンザーのように軽くこすって汚れを削り取る使い方もできます。

クエン酸(弱酸性)が、アルカリ性の水垢・尿石を中和する

一方のクエン酸はpH2前後の弱酸性です。浴室の鏡や蛇口につく白いウロコ状の汚れは、水に含まれるミネラル成分が固まった水垢で、性質はアルカリ性。トイレのアンモニア臭の原因となる尿石(にょうせき)もアルカリ性です。これらに酸性のクエン酸を当てると中和反応が起き、汚れが緩んで溶けやすくなります。

鏡についた水垢を見て困っている人のイラスト

重曹とクエン酸、一緒に使うとどうなるのか

シュワシュワの発泡は「中和」のサイン

重曹とクエン酸を同じ場所に振りかけると、シュワシュワと泡立ちます。これは酸性のクエン酸とアルカリ性の重曹が反応して二酸化炭素が発生しているだけで、汚れを分解する力とは別物です。泡が汚れの表面を持ち上げて見えるため「効いている感」はありますが、肝心の中身は中和されて、どちらの洗浄力も弱まった液体になっています。

強力なアルカリ洗剤が欲しいなら「セスキ炭酸ソーダ」

重曹よりもさらに強いアルカリ性が欲しい場合は、セスキ炭酸ソーダが選択肢になります。pHは9.8前後で、pHは1上がるごとにアルカリ性の強さが10倍になるため、重曹よりも10倍前後強いアルカリ性です。水に溶けやすく油汚れへの浸透も早いため、皮脂で汚れた衣類の予洗いなどにも向いています。重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダは「混ぜて使う」のではなく、それぞれ単独で、汚れに合わせて使い分けるのが基本です。

袋に入ったクエン酸のイラスト

知っておきたい注意点

クエン酸と塩素系漂白剤は、絶対に混ぜない

クエン酸のような酸性のものと、カビ取り剤や漂白剤などの塩素系洗浄剤を混ぜると、有毒な塩素ガスが発生します。「混ぜるな危険」の表示があるのはこのためで、浴室やトイレのように換気がしにくい場所では、ガスが充満して目や喉を強く刺激し、重症化すると呼吸困難に至ることもあります。クエン酸を使った後にカビ取り剤を使う場合は、必ず水でしっかり洗い流し、十分に換気をしてから行うようにしましょう。

アルミ製品にクエン酸を使うと、変色することがある

クエン酸は金属を腐食させる性質があり、アルミ製のやかんやシンク、五円玉などに使うと、表面が黒っぽく変色することがあります。水垢が気になる場所でも、素材がアルミの場合はクエン酸を避けるか、目立たない部分で試してから使うほうが安心です。

「ナチュラル洗剤だから何にでも安心」というわけではなく、重曹とクエン酸にもそれぞれ得意・不得意と、注意したい組み合わせがあります。次に汚れと向き合うときは、まずその汚れが酸性かアルカリ性か、ちょっと考えてみると、選ぶ洗剤がはっきりしてくるはずです。