マシュマロの起源と歴史 — 喉の薬だった植物が、ふわふわのお菓子になるまで

雑学・教養
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ふんわりとした口どけと、軽やかな甘さが魅力の「マシュマロ」。そのまま食べるほか、焼いたりチョコで包んだりと、さまざまな場面で活躍する人気スイーツです。そんなマシュマロですが、そのルーツをたどると”のどの薬”として使われていた植物にまでさかのぼります。誕生の背景や名前の由来、現代での広がりまでをたどってみましょう。

マシュマロが歩んできた道のり

薬として使われていた植物が、どのようにしてお菓子になっていったのか。主な流れを年表にまとめました。

時代できごとポイント
古代エジプトマーシュマロウの根を使った薬菓子が登場のどの痛みを和らげる”癒しの食べ物”だった
中世〜近世のヨーロッパ砂糖入りの貴族向け嗜好品に進化薬から徐々にデザートへと変化していった
19世紀のフランスゼラチンとメレンゲで”ふわふわ”が誕生植物の根を使わない製法に切り替わった
19世紀後半〜1920年代のアメリカ大量生産が始まり円筒形が定番にスーパーで手軽に買える存在になった
現代焚き火で焼く「スモア」が人気キャンプ・アウトドアの定番アイテムにもなっている

ここからは、それぞれの時代に何があったのかを詳しく見ていきます。

名前の由来は「沼地に咲く植物」

「マシュマロ」は”マーシュマロウ”という植物の名前から

「マシュマロ(marshmallow)」という名前は、英語で”沼地のマロウ”を意味します。ここでいうマロウ(mallow)は、和名「ウスベニタチアオイ」というアオイ科の多年草です。湿地に自生することが多く、この生育環境が名前の由来になったとされています。

古代エジプトでは、王族向けの”のど薬”だった

マーシュマロウの根には粘液成分が含まれ、のどの痛みを和らげる効果があるとされてきました。古代エジプトでは、この根をすりつぶしたものが王族向けのど薬として使われていたといわれています。お菓子としての歴史が始まる前から、この植物は人々の暮らしに役立っていたようです。

薬からお菓子へ — ヨーロッパでの進化

中世ヨーロッパで、貴族向けの嗜好品に

中世のヨーロッパでは、マーシュマロウの根から作る薬用ペーストが、貴族階級の嗜好品として親しまれるようになります。蜂蜜に代わって砂糖が使われるようになり、味と食感の改良が重ねられていきました。特にフランスでは菓子職人による工夫が進み、”薬”から”デザート”へと役割が移り変わっていったとされています。

19世紀フランス、ゼラチンとメレンゲで”ふわふわ”が誕生

19世紀のフランスでは、菓子職人たちがマーシュマロウの根の代わりにゼラチンを用いる方法を考案しました。さらに泡立てた卵白を加えることで、空気を含んだ軽い食感が実現します。これにより、現在のマシュマロに近い”ふわふわ”とした質感が生まれたとされています。植物由来の成分を使わない製法へと切り替わったのは、まさにこの時期でした。

アメリカでの定番化と日本での広がり

19世紀後半〜1920年代、アメリカで大量生産が始まった

19世紀後半になると、アメリカで大量生産の技術が確立され、マシュマロは一気に広く普及していきます。1920年代には押出成形による量産方法が開発され、円筒状にカットされた現在の形が定着しました。スーパーマーケットで手軽に買える、身近なお菓子としての地位もこの頃に確立されたようです。

日本では、トーストやチョコとの組み合わせが人気

日本ではそのまま食べる以外にも、マシュマロをチョコレートで包んだり、トーストの上に乗せて焼いたりするアレンジが親しまれています。中にジャムやフルーツソースを入れたタイプも登場し、和洋折衷の楽しみ方も広がっているようです。

知っておくと面白い豆知識

焼きマシュマロの「外はカリッと中はとろり」の理由

焚き火やバーベキューで焼くマシュマロは、外側が先に焦げて香ばしくなり、中はとろりとした食感に変わります。これは外側の糖がカラメル化反応を起こす一方で、内部のゼラチンが熱でゆるみ、含まれた空気が膨張するためです。このコントラストが、焼きマシュマロ独特のおいしさを生み出しています。

「マシュマロ実験」に登場する有名な心理学研究

1960年代に行われた「マシュマロ実験」は、幼児に1個のマシュマロを見せ「今食べなければあとで2個もらえる」と伝え、我慢できるかどうかを観察した心理学の研究です。自己制御の力とその後の成功との関連が話題になり、お菓子の名前として広く知られるきっかけにもなりました。

ポップカルチャーにも登場する”やわらかさ”の象徴

映画「ゴーストバスターズ」に登場した巨大マシュマロマンや、人気DJ「Marshmello」など、マシュマロはポップカルチャーのアイコンとしても親しまれています。ふんわりとしたやわらかさや親しみやすいイメージが、キャラクター化に向いているのかもしれません。

ゼラチンを使わない「ビーガンマシュマロ」も登場

動物由来のゼラチンを避けたい人向けに、寒天やペクチンを使った「ビーガンマシュマロ」も登場しています。食感は本来のものと少し異なりますが、植物性の素材でもふわふわ感を再現する工夫が重ねられているようです。

のどの薬として使われていた植物の根は、ヨーロッパの宮廷を経て、現代の軽やかなお菓子へと姿を変えました。ふんわりとした見た目からは想像しにくいほど、長い歴史と製菓技術の積み重ねが詰まっています。

次にマシュマロを口にするときは、そのやわらかさの中に隠れた歴史にも、少し思いを向けてみると面白いかもしれません。

 

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