日本の“通貨単位”はなぜ「円」?—藩札から円への通貨制度改革の流れ

一般教養の話
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現在の日本の通貨単位「円(えん)」は、英語で「yen」として国際的に定着しています。しかしこの「円」という字が選ばれた理由を知っている人は、意外と少ないのです。

「円」と名付けられた理由

「円」という名前の由来と通貨改革の流れを、まず表で確認します。

項目内容
名前の由来明治初期の硬貨が「円形(えんけい)」だったことから
制定年1871年(明治4年)新貨条例(しんかじょうれい)
それまでの通貨両・分・朱(4進法)+各藩の藩札(約260種類)
改革のポイント円・銭・厘の10進法で全国統一し、近代的な通貨制度を確立

藩札時代の通貨事情

各藩バラバラの通貨

江戸時代の日本では、各藩が独自の「藩札(はんさつ)」と呼ばれる紙幣を発行していました。約260種類ともいわれる藩札は、藩の外では流通しないことが多く、統一的な経済圏の形成を阻んでいたのです。

明治政府の課題

明治政府は、倒幕後の財政立て直しと近代国家形成のため、通貨の統一を急務としていました。

旧幕府・諸藩が発行した大量の不換紙幣(ふかんしへい)を整理し、信用できる統一通貨を一から作ることが、明治新政府が最初に取り組むべき大仕事だったのです。

新貨条例と日本銀行

1871年の新貨条例

1871年(明治4年)5月、「新貨条例(しんかじょうれい)」が公布され、通貨単位が「円・銭・厘(えん・せん・りん)」の10進法に統一されました。

それまでの「両・分・朱(りょう・ぶ・しゅ)」による4進法の計算は複雑なものでしたが、10進法への移行で大幅に簡略化されたのです。

日本銀行と金本位制

1882年(明治15年)に日本銀行が設立され、銀行券の発行権が一元化されました。

1897年(明治30年)には金本位制(きんほんいせい)が採用され、円の価値が金と結びついて国際的な信頼性を確立したのです。

豆知識 — 「銭」「厘」は今も法律上存在する

新貨条例で定められた「銭」と「厘」は、現在の日常生活では流通していません。

しかし日本の法律(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律)では廃止されておらず、株価の呼び値や外国為替レートなど特定の場面で今も使われているのです。

「円」という一字に、藩札が乱立した混乱期から近代通貨制度の確立まで、150年以上の歴史が詰まっています。次に財布から硬貨を取り出すとき、その丸い形に「円」の名前の由来を思い出してみてください。