月曜・火曜・水曜……と、わたしたちは一週間を7日で数えています。でも、なぜ7日なのでしょうか。
区切りのよい5日でも10日でもなく、なぜか7日。その答えをたどっていくと、古代バビロニアの夜空にまでさかのぼります。

なぜ一週間は7日なのか
はじめに、7日という区切りの成り立ちを、ざっくり整理します。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 7日のもとは何か | 古代バビロニアの暦 |
| なぜ7なのか | 肉眼で見える7つの天体と、月の満ち欠け |
| 曜日名のもとは | 太陽・月・惑星と、それぞれの神々 |
| 日本に伝わったのは | 平安時代。広まったのは明治から |
では、順にひもといていきましょう。
7という数字は「夜空」から来た
肉眼で見えた7つの天体
古代の人々は、夜空を見上げて、ほかの星とは動きのちがう特別な天体に気づいていました。太陽、月、そして水星・金星・火星・木星・土星。望遠鏡のない時代に肉眼で見分けられたのは、この7つでした。バビロニアの人々はこの数を神聖なものと考え、7を暮らしの区切りに選んだのです。

月の満ち欠けが7日を生んだ
もうひとつの手がかりが、月の満ち欠けです。月は、およそ28日かけて、その姿を変えていきます。満月から下弦・新月・上弦へと姿を変える4つの節目があり、その間隔がそれぞれおよそ7日でした。28を4で割れば、ちょうど7。空のリズムが、そのまま一週間の長さになったのです。
曜日の名前は「星と神々」でできている
7日のそれぞれに名前をつけたのも、やはり天体でした。ただし国や時代によって、結びつく神々が入れかわっていきます。
ローマが天体を曜日に当てた
いまの曜日名のおおもとをつくったのは、古代ローマです。ローマでは7つの天体を一日ずつに割りあて、太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星の順に曜日が並びました。この「星の曜日」が、ヨーロッパの多くの言語に受けつがれていきます。
英語の曜日にひそむ北欧の神々
ところが英語の曜日には、ローマとはちがう神々の名前がまぎれこんでいます。
土曜だけ残ったローマの神
わかりやすく残っているのが土曜日です。Saturday は、ローマの神サターン(土星の神)からきています。日曜と月曜も、それぞれ太陽と月をそのまま指しています。この3つには、古い天体の名前がいまも生きているのです。
火・水・木・金は北欧の神に置きかわった
のこりの4日は、北ヨーロッパの神話の神々に入れかわりました。火曜日(Tuesday)は軍神テュール、水曜日(Wednesday)は主神オーディンに由来します。木曜日(Thursday)は雷神トール、金曜日(Friday)は愛の女神フリッグの名がもとです。ローマの神々が、その土地で信じられていた神々に置きかえられたのです。
日本の「日月火水木金土」の由来
空海が持ち帰った占いの書
日本に曜日の考えが伝わったのは、平安時代のはじめでした。唐に渡った空海が、「宿曜経(すくようきょう)」という占いの書を持ち帰ったのがきっかけです。当初の曜日は、日々の吉凶をうらなうためのものでした。

五行と天体から生まれた名前
「日月火水木金土」という名前は、天体と、中国の五行(ごぎょう)の考えからできています。火星には火、木星には木というように、惑星と五行が結びついているのです。じつはこの対応のおかげで、日本語と英語の曜日は天体を通じてどこか響きあいます。火曜は火星で軍神、木曜は木星で雷神と、意味までゆるやかに重なるのです。
日常に広まったのは明治から
とはいえ、曜日が暮らしのリズムになるのは、ずっとあとのことです。長いあいだ占いに使われてきた曜日が一般に広まったのは、明治のはじめでした。太陽暦が取り入れられたのにあわせて、曜日は公式な暦の一部になります。いまのように月曜から日曜までを意識する習慣は、意外と新しいのです。
豆知識——「7日に一度休む」のはなぜか
一週間に一度休む、という習慣にも長い歴史があります。そのもとにあるのが、ユダヤ教の「安息日(あんそくび)」です。神が6日で世界をつくり、7日目に休んだという教えにならい、7日ごとに仕事をやめて休む日が定められました。

この安息日の習慣は、やがてキリスト教やイスラム教にも受けつがれていきました。曜日のどこかで仕事を休むという考えが、宗教を越えて世界に広まったのです。日曜日が休みになっている国が多いのも、こうした流れのなごりといえます。
あたりまえに過ぎていく7日間は、いくつもの遠い記憶を抱えています。夜空の星・神々の名前・古い信仰が、何千年もかけて折り重なってできたものなのです。何気ない一週間のなかに、人類が空を見上げてきた歴史が、そっとたたまれているのでしょう。


