教育と学びの話

モノと道具の話

教室のリコーダーは、いちど歴史から消えた楽器だった——18世紀に忘れられ、20世紀に「安くて誰でも鳴る」笛として戻ってきた

小学校の学習指導要領に、「リコーダーを使いなさい」という一文はありません。書かれているのは、第3学年と第4学年で取り上げる旋律楽器について「リコーダーや鍵盤楽器、和楽器などの中から児童や学校の実態を考慮して選択すること」という一文だけです。...
歴史と変遷の話

校歌は学校が勝手に作れる歌ではなかった——1945年まで、歌詞と楽譜を文部省へ出して認可を受けていた

校歌は、学校が思い立てば作れる歌ではありませんでした。1945年まで、新しい校歌を定めるには作詞者名・作曲者名・歌詞・楽譜、さらに「歌詞の説明」を添えて文部省へ申請する必要がありました。認可を受けて、はじめて正式な校歌として認められたとされ...
文化と価値観の話

卒業式の袴は、もともと毎日の通学着だった——晴れ着になったのは日常から消えたあと

卒業式で見かける袴は、もともと式のための晴れ着ではありませんでした。明治の女学生が毎日はいて学校に通っていた、ふだんの通学着です。では、なぜ日常の服が年に一度の装いになったのでしょうか。そこには百三十年ほどのあいだに起きた三つの入れ替わりが...
教育と学びの話

運動会はなぜ日本独特の行事になったのか——海軍の「競闘遊戯会」と村の祭りが合流した一日

全校の児童が同じプログラムに沿って一日を過ごし、入場行進と団体演技があり、校庭の外周には保護者が場所を取る。日本で運動会と呼ばれている行事のこの形は、海外の学校ではほとんど見かけません。百科事典でも「近代日本独特の体育的行事」と説明されてい...
歴史と変遷の話

「前へならえ」の腕は、前の人を見るためではなく測るために伸ばす——幕末に翻訳され、戦後に一度消えた号令

「前へならえ」で前に伸ばす腕は、前の人を指し示すためのものではありません。自分と前の人のあいだにどれだけの空きがあるかを測る、体ひとつでできるものさしです。そして、この号令の言い回しは日本で考え出されたものではないとされます。もとは幕末に外...
歴史と変遷の話

校庭の二宮金次郎は、たいてい誰かからの贈り物だった——像が増えたわけと減ったわけは、同じところにある

校庭に立つ二宮金次郎の像は、学校が予算を組んで買ったものではありません。その多くは、村の資産家や地元の団体から贈られてきたものです。像がどっと増えた時期にも、静かに数を減らしているいまの状況にも、この「贈り物である」という一点が効いています...
教育と学びの話

ランドセルはなぜ日本で定着したのか——オランダ語の「背嚢」から始まった物語

春になると、大きなランドセルを背負った新一年生の姿を見かけます。体より大きく見えるあの四角いカバンは、日本の小学生の、いわば制服のような存在です。ところが世界を見わたすと、ランドセルで通学する国はほとんどありません。日本独特に思えるこのカバ...
教育と学びの話

「夏休み」の長さは地域でどう違うのか

夏休みの長さは全国一律ではなく、地域によって最大で2週間近く差があります。誰がどうやって決めているのか、北海道や沖縄を例に背景を解説します。
歴史と変遷の話

学校の「起立・礼・着席」はいつから始まったのか — 明治の学制と軍隊式号令が生んだ授業の作法

「起立、礼、着席」――日本の学校で授業の始まりと終わりに必ず行われるこの動作。当たり前すぎて疑問を持つこともありませんが、実はこの習慣、明治時代の学校制度づくりと、軍隊式の集団行動から生まれたものでした。「起立・礼・着席」、答えはこの3つい...