身近な科学の話

生きものの話

コアラはユーカリに酔って寝ているのではない——20時間動かないのは、毒を分解しながら生きているから

動物園のコアラは、たいてい眠っています。「ユーカリの成分に酔っているから」という説明を聞いたことのある人も多いと思いますが、オーストラリア・コアラ財団(AKF)はこの言い伝えをはっきり否定しています。動かない理由は酔いではありません。栄養が...
モノと道具の話

最初のストローは、飲みやすくするための道具ではなかった——ビールの浮きかすをよけた5000年前と、「酔いやすい」を調べた研究

英語の「straw」は、麦の穂を刈り取ったあとに残る茎、つまり麦わらそのものを指す言葉です。飲み物を吸うあの管の意味は、あとからついてきました。しかも記録に残るいちばん古い使い方は、飲みやすくするためのものではなかったようです。約5000年...
からだの話

耳鳴りの「キーン」は、聞こえなくなった帯域を脳が埋めている音——静かな部屋に5分いれば、健康な人にも鳴りだす

耳鳴りの「キーン」は、鼓膜が受け取った音ではありません。外に音源がないのに音の感覚だけが生じる現象で、日本聴覚医学会の『耳鳴診療ガイドライン2019年版』は耳鳴を「明らかな体外音源がないにもかかわらず感じる異常な音感覚」と定義しています。有...
からだの話

一重と二重を分けているのは、まぶたの中で皮膚を引く「枝」——同じ人でも朝と夕方で変わる

まぶたを開く力そのものは、一重の人も二重の人も変わりません。違うのは、その力が皮膚まで届いているかどうかです。上まぶたの内側には、目を開けるときに引き上げられる腱の膜が入っています。この膜から枝分かれした線維が皮膚の裏側に付いていると、目を...
からだの話

掻くと気持ちいいのは、脳がごほうびを出しているから——同じ脳が、かゆみを強める信号も送り返す

かゆみは、痛みの弱いものではありません。皮膚から脳までかゆみ専用の道があり、痛みとは別の神経を通って伝わってきます。そして掻いたときのあの快感も、気のせいではありません。かゆいところを掻いている人の脳を調べると、報酬系と呼ばれる部位が強く反...
からだの話

静電気はなぜ冬に起きやすいのか——バチッと来る人と来ない人を分けるのは、靴の底

冬にドアノブへ手を伸ばして「バチッ」と来るのは、その季節だけ体が電気を作り出しているからではありません。電気の偏りそのものは一年じゅう起きています。冬に変わるのは、たまった電気の逃げ道のほうです。空気が乾くと、行き場を失った電気が体の側に残...
生きものの話

ホタルの光は、成虫と幼虫で役目が入れ替わる——求愛の合図になるのは一生の最後だけ

ホタルの光は、相手を探すための合図です。ただしこの説明が当てはまるのは、飛んでいる成虫だけです。卵も、水の中の幼虫も、土にもぐったサナギも光ります。求愛とは関係のない段階で、同じ仕組みがすでに動いているのです。「ホタルはなぜ光るのか」という...
からだの話

えくぼは骨でも脂肪でもなく、筋肉の分かれ方でできる——あるかないかの二択でもない

えくぼは、笑ったからへこむのではありません。笑う前から、頬の内側にしかけが埋まっています。大頬骨筋(だいきょうこつきん)という表情筋が途中で二股に分かれ、下側の束が皮膚の裏側に貼りついている。いま最も有力とされている説明は、これです。ところ...
からだの話

血液型はもともとA・B・Cだった——「O」の名前が決まるまでの28年

1901年に発表された最初の論文に、O型という言葉は出てきません。そこに並んでいたのは、A型・B型・C型の三つでした。いま私たちが当たり前に使っているA・B・AB・Oという四文字は、発見された瞬間に決まったものではありません。三番目の型が改...