身近な科学の話

生きものの話

象の鼻はなぜあんなに長いのか——頭が重すぎて、首を伸ばせなかった

ゾウの鼻は、鼻だけでできているわけではありません。あの長い管は鼻と上唇がひとつに融合したもので、胎児の早い段階で両者がつながることが知られています。鼻の穴が先端まで通っている一方で、ものをつまむ先端の突起は唇に由来する部分です。しかも、中に...
モノと道具の話

ステンレスはなぜ錆びないのか——厚さ数ナノの膜が、削っても勝手に戻る

ステンレスは、錆びない金属ではありません。表面をわざと酸化させ、そこにできた膜で内部を守っている金属です。その膜の厚さは、わずか数ナノメートル。1ミリの100万分の1を単位にした世界です。しかも、こすっても削っても、空気に触れればひとりでに...
暮らしの知恵

ぬか漬けに古釘を入れるのはなぜか——鉄がナスの紫を「逃がさない」しくみ

ぬか床を底からかき混ぜたとき、黒ずんだ釘が指に当たる——昔の台所ではめずらしくない光景でした。落としものではありません。ナスを紫色のまま漬け上げるために、わざと沈めてあるものです。釘から溶け出した鉄が、ナスの皮の色素と結びついて色を留めます...
生きものの話

竹は「木」か「草」か——タケノコの太さのまま、一生太らない

竹はイネ科の植物です。イネにムギ、ススキにトウモロコシ。同じ科や近い仲間を並べてみると、どれも木とは呼ばれないものばかりが顔をそろえます。それでも竹は硬く、高いものは20メートルを超え、建物や道具の材料として使われてきました。木なのか草なの...
からだの話

インフルエンザと風邪は何が違うのか——「風邪」のほうは病名ではない

「風邪」と「インフルエンザ」を並べて比べようとすると、入口で小さくつまずきます。インフルエンザは原因ウイルスの名前がそのまま病名になっているのに、風邪のほうは特定の病気を指す名前ではないからです。風邪は、鼻やのどに起きた急性の炎症をひとまと...
生きものの話

イノシシと豚は何が違うのか——同じ種なのに、背骨の本数が違う

豚は、イノシシを家畜にした動物です。生物の分類でいうと、この二つは別々の種ではありません。どちらも Sus scrofa(スス・スクロファ)という一つの種の中に収まります。とはいえ、山で撮られた写真と養豚場の写真を並べれば、たいていの人は迷...
からだの話

いびきはなぜ自分では聞こえないのか——耳は聞いている、脳が知らせないだけ

隣で寝ている人には一晩じゅう聞こえていた音が、出している本人にはひとつも届いていません。これほど聞き手と出し手で受け取り方の食い違う音も、そうはありません。MSDマニュアル家庭版も「いびきをかく人は、誰かに教えられない限り、自分で気づくこと...
生きものの話

カッコウはなぜ他の鳥の巣に卵を産むのか——1羽のメスが1シーズンに十数個、すべて別の巣へ

カッコウは、自分では巣を作りません。卵は他の鳥の巣に産み込み、あとの世話はすべてその鳥に任せてしまいます。この習性が「托卵(たくらん)」で、しばしば「他の鳥に卵を預ける行為」と紹介されてきました。ただ、預けるという言葉から思い浮かぶ光景とは...
からだの話

なぜ自分の体臭や部屋の匂いには気づかなくなるのか——鼻が知らせるのは「におい」ではなく「変化」

よその家に上がった瞬間、その家だけの匂いを感じることがあります。自分の家で同じことが起きるかというと、まず起きません。体臭も香水も同じで、他人のものには気づくのに自分のものはつかみにくい。鼻が鈍いわけでも、匂いが消えたわけでもありません。嗅...