カリギュラ効果とは何か、もとの映画は本当に上映禁止だった?

身近な心理と行動の話
スポンサーリンク

カリギュラ効果とは、禁止されたり制限されたりすると、かえってその行為への関心や欲求が強まる現象をさす言葉です。ただしこれは日本で広まった通称で、心理学の正式な用語ではありません。学問のほうで同じ現象を扱うときに使われるのは、1966年にアメリカの心理学者ジャック・ブレームが提唱した「心理的リアクタンス」という枠組みです。

名前のもとは1980年公開の映画『カリギュラ』です。上映をめぐって騒ぎになり、そのせいで逆に注目が集まった、と説明されます。ところが、その「禁止」の中身をたどると少し違う景色が出てきます。ボストンでは警察が上映中のフィルムを押収しましたが、裁判所は最後に「わいせつではない」と判断しているのです。

スポンサーリンク

カリギュラ効果とは、どういう現象をさすのか

「立入禁止」の札の前で両手を広げて止める警備員のイラスト

この言葉が指しているのは、外から自由を狭められたときに起きる反発です。禁止そのものより、「自分で選べるはずだった」という感覚が削られることのほうが引き金になります。押すなと書かれたボタンが妙に気になるのは、押したいからというより、押さない選択を先に決められたからだと言い換えてもよさそうです。

辞典に載っている定義はひとつの短い文

国語辞典にも項目があります。『デジタル大辞泉』の定義は「強く禁止されると、かえってその行為への欲求や関心が高まる現象」。挙げられている例は「『見てはならない』と言われると、いっそう見たくなる」です。

定義の重心は「強く」に置かれている

注目したいのは「強く禁止されると」の一語です。軽い注意や、理由の説明つきのお願いは、この定義から外れます。あとで触れる実験でも、同じ内容を伝えているのに言い方だけを変えると結果が分かれました。

例に「見る」が選ばれている理由

辞典が挙げる例が「見てはならない」である点も、読んでみると腑に落ちます。見る行為は、やめたところで誰も損をしない。それだけに禁じられる理由が本人には分かりにくく、反発だけが残りやすいとも考えられます。記事の最後に触れる昔話でも、禁じられるのはたいてい「見ること」でした。

心理学の教科書にこの名前は出てこない

この呼び名は、日本語のビジネス記事や用語集では定番になりました。いっぽう学術の論文で使われるのは、心理的リアクタンスか、英語の「禁断の果実(forbidden fruit)」という言い回しのほうです。

いつ誰が言い出したのかは分からなかった

この呼び名が日本でいつ生まれたのかを調べましたが、初出をたどれる資料には行き当たりませんでした。国語辞典に項目ができている以上、すでに一定の期間使われてきた言葉ではあります。ただ、誰かの論文で提唱された用語ではないようです。

もとになった理論は1966年に出ている

ブレームの『心理的リアクタンスの理論』が出たのは1966年、映画『カリギュラ』の14年前です。つまり現象の説明が先にあり、名前だけがあとから映画にちなんで付いた形になります。

※ 心理的リアクタンスとは、自分が自由にできるはずの行動が脅かされたり奪われたりしたときに生じる、その自由を取り戻そうとする動機づけのことです。

反発の強さを決めるのは二つの条件

理論によれば、反発の大きさは「その自由が本人にとってどれだけ大事か」と「脅かされ方がどれだけ強いか」の掛け算で決まります。どうでもいい選択肢を取り上げられても、人はたいして怒りません。

日本の実験は、強く押せば押すほど効くわけではないと示した

今城周造が1995年に『実験社会心理学研究』へ発表した研究は、この掛け算に上限があるかを調べています。ある事件の資料を読ませたあと、押しつけがましい言い回しを0か所・3か所・6か所と変えた意見文を読ませる設計でした。結果は、自由への脅威と説得への抵抗が単純な比例関係ではないことを示しています。押しの強さを上げ続ければ反発も上がり続ける、という素朴な図式は成り立ちませんでした。

自由の取り戻し方は一通りではない

ブレームの整理では、反発の出口は三つあります。禁じられたことを実際にやる。やらないまでも、それが前より魅力的に見えてくる。あるいは、禁じてきた相手のほうを攻撃する。カリギュラ効果という言葉は、このうち最初の二つだけを指して使われがちです。

名前のもとになった映画に、実際は何が起きたのか

CINEMAの看板が光る映画館の建物のイラスト

『カリギュラ』は1980年の米伊合作で、ローマ皇帝カリグラを題材にした歴史劇という触れ込みでした。作ったのは映画会社ではなく、雑誌『ペントハウス』の映像部門です。

出版社が作り、劇場を借り切って見せた作品

アメリカ映画協会のカタログによれば、公開はニューヨークで1980年2月、ロサンゼルスで同年4月18日。イタリアでは前年から先に出ていました。

配給の形が「四壁取引」だった

この作品は、製作側が劇場を数週末まるごと借り上げ、チケット収入を自分で取る方式で公開されました。英語で「フォー・ウォール・ディール」と呼ばれる売り方です。通常の配給網に乗せず、話題性で客を呼ぶ興行と相性がよい形でもあります。

のちに33分を削った版が170館に出た

156分の長い版とは別に、33分を短くした150分版が1981年10月に170館で公開されています。騒ぎになった作品が、そのまま闇に消えたわけではありません。

ボストンでの押収から判断までは七週間ほど

もっとも有名な騒ぎがボストンで起きました。1980年6月17日、市警がサクソン劇場からフィルムを押収し、わいせつの疑いで立件します。

法廷に立ったのは大学の研究者たち

『ハーバード・クリムゾン』紙が1980年8月5日に報じたところでは、ボストン市裁判所の法廷に四人の学者が立ちました。ハーバード大の古代史研究者と美学の教授、クイーンズ大の政治学者、マサチューセッツ工科大の哲学者です。古代史の研究者は、歴史的な描写に関しては正確だと述べています。

判断の決め手は「政治的価値」だった

裁判官は、この作品に文学的・芸術的・科学的な価値は認めませんでした。それでも、検察が「政治的な価値がない」ことまで証明しきれなかったため、法的にはわいせつに当たらないと結論します。アメリカ映画協会のカタログは、この判断を1980年8月3日のこととして記録しています。ぎりぎりの一点で助かった、という決着でした。

※ ミラー基準とは、アメリカで表現がわいせつかどうかを判断するときの三つの物差しのことです。下劣な興味に訴えるか。露骨に不快か。文学的・芸術的・政治的・科学的な価値を欠くか。この三つを順に見ます。

「上映禁止」という言い方は少し外れている

日本語の解説では「一部の地域で上映禁止になった」と書かれることが多くあります。ただし『デジタル大辞泉』の書き方は「上映地域を制限された」で、禁止とまでは言っていません。

ボストンの件をそのまま読めば、起きたのは押収と立件であり、結末は「わいせつではない」という判断でした。禁じられたから見たくなったという筋書きより、押収された作品という見出しが宣伝になった、と言うほうが実際に近いように思われます。

興行のほうは記録を塗り替えていた

売り上げは伸びました。ロンドンのプリンス・チャールズ・シネマでは1980年11月の公開初週に14万7226ポンドを稼ぎ、その劇場の記録を更新しています。禁止の有無にかかわらず、騒ぎそのものが客を呼んだ格好です。

押収から判断までの七週間ほどのあいだに何があったのか、日付で並べておきます。

時期できごと
1979年後半イタリアで先行して公開される
1980年2月ニューヨークで公開。4月18日にロサンゼルス
1980年6月17日ボストン市警がサクソン劇場でフィルムを押収
1980年8月初めハーバード大などの研究者が法廷で証言
1980年8月3日ボストン市裁判所が「わいせつではない」と判断
1980年11月ロンドンの劇場で公開初週の興行記録を更新
1981年10月33分を削った150分版が170館で公開

禁じられると欲しくなるのは、実験で確かめられているのか

包みを外した板チョコレートのイラスト

名前の由来がぐらついても、現象そのものは別です。半世紀以上にわたって実験が積まれており、方向としては何度も確かめられています。

「これは選ばないで」と言われたほうが選ばれる

理論が出た1966年、トーマス・ハモックとブレームは子どもを対象にした実験を行いました。何種類かのチョコレートバーから好きなものを選べると伝えたうえで、実験者が「これは選ばないほうがいい」と言って、ひとつの選択肢の自由を脅かします。

子どもたちは、そのチョコレートバーを選んだと報告されています。魅力が増したのは味ではなく、取り上げられかけたという事実のほうでした。

二歳児は壁の向こうのおもちゃへ向かうのか

1977年、ブレームはマーシャ・ワインラウブと組んで二歳児を調べました。言葉での禁止ではなく、物理的な壁を使ったところがこの研究の面白さです。

高い壁と、違う種類のおもちゃ

部屋に二つのおもちゃを置き、片方だけを壁の後ろに隠します。条件は三つ。高い壁で同じおもちゃ、高い壁で違うおもちゃ、低い壁で違うおもちゃ。壁の高さが脅威の強さに、おもちゃが違うかどうかが「その自由の大事さ」に対応する設計でした。

男の子と女の子で結果が分かれた

男児が壁の向こうのおもちゃへ先に向かったのは、壁が高く、かつおもちゃが違う種類のときだけでした。理論の予測どおりです。いっぽう女児は、壁のない取りやすいほうへ向かいました。誰にでも同じように出る反応ではない、という留保がこの時点で付いています。

テレビの警告ラベルは視聴意欲を押し上げた

この現象がいちばん実用に近い形で調べられたのは、テレビ番組の警告表示をめぐる研究です。ブラッド・ブッシュマンが2006年に発表した実験には、9歳から77歳までの900人が参加しました。

変えたのは一文だけ

参加者は架空のテレビ映画の紹介文を読み、「見たい」と思う度合いを10点満点で答えます。暴力的な番組の紹介文には、警告ラベル(「この番組には暴力描写が含まれます。視聴にはご注意ください」)、情報ラベル(「この番組には暴力描写が含まれます」)、ラベルなしの三通りが割り当てられました。助言があるかないか、それだけの違いです。

差は0.5ポイントほどしかない

先に言っておくと、差そのものは小さいものでした。その小ささごと見てもらったほうが早いので、三つの平均点を並べます。

紹介文に付いていたもの「見たい」の平均点(10点満点)
警告ラベル6.21
情報ラベル5.86
ラベルなし5.68

警告ラベルが付いた番組だけが、ほかの二つより見たいと思われました。情報ラベルとラベルなしのあいだには差がありません。同じ「暴力描写があります」でも、そこに「ご注意ください」という助言が乗った瞬間に反発が生まれたことになります。

※ 効果量とは、差の大きさをばらつきで割って表した指標です。この研究で警告ラベルとラベルなしの差は0.24でした。おおまかには「小さい差」に分類される水準です。

よく引かれるのに、あとから揺らいだ話もある

手をつないで歩く男女のイラスト

この分野の話をするとき、決まって登場する有名な研究が二つあります。どちらも、あとの検証で雲行きが変わりました。

ロミオとジュリエット効果は追試で消えた

反対されるほど燃え上がる恋、という話には名前が付いています。1972年にドリスコルらが140組を調べ、親の干渉が強いほど愛情と結びつきが強まると報告したものです。

2014年の追試は逆を向いた

シンクレアらが2014年に『Social Psychology』誌で行った追試では、396人を3〜4か月追いかけました。結果は元の報告と逆でした。干渉が強いほど、また周囲の承認が低いほど、関係の質は悪くなっている。恋が燃え上がるのではなく、しぼむ方向だったわけです。

その後も再現は乏しいままとされる

1972年の報告以降、この効果をきれいに再現できた研究はほとんど出ていないとされています。有名な現象名が必ずしも強い証拠に支えられているわけではない、という一例です。

「でも、決めるのはあなたです」の一言

リアクタンスを逆手に取る技として知られるのが、頼みごとの最後に自由を返す一文を足すやり方です。英語圏では「But you are free(でもあなたは自由です)」の頭文字からBYAFと呼ばれます。

バス代を頼む実験では10%が47.5%になった

2000年にゲゲンとパスカルが行った実験が出発点です。道行く人に「すみません、バスに乗るための小銭をお持ちでないでしょうか」と頼んだ場合の応諾率は10%。同じ文言の最後に「でも、受けるか断るかはあなたの自由です」を足すと47.5%に上がりました。

質の高い研究だけに絞ると効果が消える

ところが2023年、フィヨンらが52の実験(のべ1万9528人)をまとめたメタ分析は、別の顔を見せました。全体では中くらいの効果(g=0.44)が出るものの、偏りの危険が「低い」と判定できた研究はわずか7本。その7本だけで計算し直すと、効果は0.11となり、統計的には見つかりませんでした。著者らは再現性の低さを指摘しています。使えるおまじないとして紹介するには、もう少し証拠が要りそうです。

禁止が裏目に出た実例はあるのか

離れた場所からテレビを見ている男の子のイラスト

小さな効果でも、規模が大きければ話は変わります。国ぐるみの啓発キャンペーンで、狙いと反対の結果が疑われた例があります。

アメリカの薬物防止キャンペーンは五年追跡された

1990年代末から、アメリカ政府は若者向けの薬物防止広告を大規模に流しました。その効果を、ホーニックらが1999年9月から2004年6月まで、9歳から18歳までの全国標本を追いかけて検証しています。

大半の分析で効果は出なかった

2008年に『American Journal of Public Health』誌へ載った報告によれば、ほとんどの分析で広告の効果は検出されませんでした。それだけなら、無駄だったという話で終わります。

広告に触れた子ほど大麻を避ける意思が弱かった

問題は続きです。広告への接触が多い層ほど、次の調査時点で大麻を避けようという意思が弱く、薬物に否定的な規範も弱まっていました。第3回調査での接触は、第4回での大麻使用の開始を予測していたといいます。著者らの結論はこうです。このキャンペーンが好ましい効果を持った可能性は低く、遅れて不利な効果をもたらしたかもしれない。

忠告は情報ではなく助言として届く

ブッシュマンの実験が示したのは、情報を渡すことと、行動を指示することの境目でした。「暴力描写があります」は情報で、「ご注意ください」は助言です。受け手にとって、後者は自分の判断の領分に入ってくる言葉になります。

身の回りにも同じ段差があります。食品の表示にある「本品には落花生が含まれます」は情報で、「食べないでください」は指示。前者は判断の材料が増えるだけですが、後者は決める役目そのものを持っていかれます。

防止キャンペーンの多くは、この境目の向こう側に立っています。しかも相手は、自分で決めたい気持ちがいちばん強い年ごろです。

言い方を変えるだけで結果が変わる余地はある

では、どう伝えれば反発を呼ばずに済むのか。今のところ手がかりは二つあります。

情報だけを渡す形には反発が出なかった

ブッシュマンの実験で、情報ラベルはラベルなしと差がありませんでした。つまり内容を知らせること自体が引き金なのではなく、「だからこうしなさい」を足すことが引き金だったわけです。伝える中身を減らさずに反発だけを避ける道が、ここに残っています。

自由を返す一言は、期待しすぎないほうがよい

もう一つが、先に触れたBYAFです。ただしメタ分析の中身を見たあとでは、「一言足せば倍以上になる」と受け取るのは危うい。試す価値はあっても、当てにする段階ではないというのが正直なところです。

「白熊を考えないで」は同じ現象なのか

座っているシロクマのイラスト

禁止と反発の話をすると、よく一緒に出てくるのが白熊の実験です。名前だけ聞くと似ていますが、働いている仕組みは別ものとされています。

五分間、白熊を考えないでくださいと言われたら

1987年、ダニエル・ウェグナーらが行った実験です。参加者は5分間、頭に浮かぶことを声に出しながら、白熊のことだけは考えないように指示されます。もし考えてしまったらベルを鳴らす、という決まりでした。

抑えようとした人ほど、あとで多く思い浮かべた

参加者は指示どおりに抑えることができませんでした。さらに面白いのはその後です。今度は5分間「白熊について考えてください」と言われると、最初から考えるよう言われた人より、はるかに多く白熊が出てきました。抑えた反動が、あとから跳ね返ってきた形です。

別のことを考える的を持たせると弱まる

続く実験では、抑えているあいだに「代わりにこれを考えて」と具体的な対象を渡された人は、あとの跳ね返りが小さくなりました。抑えつけるより、行き先を用意するほうが効くという結果です。

自由への脅威か、注意の配り方か

ここまで見てきた反発は、外から自由を削られたことへの反応でした。白熊のほうは、自分で自分に課した抑制が注意の仕組みと噛み合わずに空回りする話です。他人が禁じたかどうかは、必ずしも関係ありません。

見た目が似ているのは、どちらも「するな」が裏目に出るからです。ただし一方は相手への反発、もう一方は自分の頭の中の事故。対処の仕方も当然変わってきます。

「見るな」と言われて見てしまう話は、世界中にある

障子の陰から機織りをする鶴の影をのぞき見る男性のイラスト

この現象に心理学の名前が付いたのは20世紀ですが、物語のほうはずっと古くから同じ型を繰り返してきました。

「見るなの座敷」という話型がある

のぞいてはいけないと言われた座敷を開けてしまい、授かった幸運を逃す。この筋立ての昔話をまとめて「見るなの座敷」と呼びます。「鶯(うぐいす)の内裏」「うぐいす長者」といった別名も地域ごとに残りました。

七つ目の座敷に置かれていたもの

よく知られた「うぐいすの里」では、木こりが森の館で女性から奥をのぞくなと言い置かれます。禁を破った七つ目の座敷にあったのは三つの卵で、木こりはそれを割ってしまう。戻った女性は「わたしの三人の娘を殺した」と泣き、一羽のうぐいすになって飛び去ります。

日本は男が破り、外国は女が破る

百科事典はこの話型を、ヨーロッパやインドにも広がる「開かずの間」の一例として位置づけています。そのうえで、面白い地域差が添えられました。日本では戒めを破るのが男である例が多く、外国では女である例が多いというのです。同じ型の物語でも、誰に破らせるかは土地ごとに違うのでしょう。

類話は「舌切雀」からグリムまで届く

辞典が同じ仲間に挙げるのは、「舌切雀」「鶴女房」「うぐいすの一文銭」、そしてグリム童話の「マリアの子供」です。日本の記紀神話でも、黄泉(よみ)の国でイザナミが「見ないでほしい」と頼んだ約束をイザナギが破ります。

物語の作り手にとって、「見るな」は便利な仕掛けだったのでしょう。何を禁じたかを説明しなくても、聞き手のほうが勝手に先を知りたがってくれるからです。

昔話で得をするのは禁を守った側

ただし物語の結末は、現代の用語集より辛口です。この話型では、のぞいた者が授かった幸運を失い、言いつけを守った者のほうが宝を得ます。禁を破る楽しさを描きながら、代償まで一緒に語り継いできたわけです。

カリギュラ効果という名前は、ずいぶん強そうに響きます。けれど、名前のもとになった映画は禁止されておらず、裁判ではわいせつではないと判断されました。現象を支える実験の差は10点満点で0.5ポイントほど。よく引かれる二つの有名な研究は、追試で揺らいでいます。それでも、国を挙げた防止キャンペーンが若者の意思を逆向きに動かした疑いは残りました。看板の大きさと証拠の小ささが、これほど噛み合わない言葉も珍しい。禁じられたものに惹かれる気持ちは本物でも、その名前が約束するほど強い力ではなさそうです。

参考

関連記事

思春期の子はなぜ学びたがらないのか、エリクソンの発達段階説で読む
思春期に「学びたくない」と感じるのはなぜ?エリクソンの発達段階説を手がかりに、青年期の心理と学習意欲のゆらぎを丁寧に読み解きます。
アッシュの同調実験とは何か、答えが分かっていても3割が間違えたわけ
「本当は違う」とわかっていても、なぜ人は多数派に合わせるのか?アッシュの同調実験を通して、人間の心理と社会の圧力を解説。
心理学の有名な実験と効果は何があるか、24のトピックを分野別に
心理学には、人の行動にひそむ意外な仕組みを明らかにした、有名な実験や効果がたくさんあります。このページでは「○○効果」「○○実験」として知られる心理学のトピックを、テーマ別にまとめました。気になるものから読んでみてください。有名な心理実験(...