地理と気象

言葉と論理の話

「蜃気楼」の「蜃」とはどんな生きものか——気を吐いて楼閣を見せる大ハマグリ

「蜃気楼」の「蜃」は、空や天気を表す字ではありません。生きものの名前です。しかも大きなハマグリを指します。海の上に浮かぶ楼閣は、その貝が吐いた息が形になったもの——古代の中国はそう説明していました。三文字のうち、いまの科学に引き継がれたもの...
言葉と論理の話

稲妻・稲光・雷は何が違うのか——光の名前・音の名前・全体の名前

空がぱっと光り、少し遅れて音が鳴る。ひとつながりに見えるあの出来事を、日本語は「稲妻」「稲光」「雷」と呼び分けてきました。光の部分を指すのが稲妻と稲光。光と音をまとめた現象そのものが雷です。では、空の放電になぜ「稲」の字が入っているのでしょ...
身近な科学の話

地震の「P波」と「S波」は何が違うのか——初期微動と主要動

地震のとき、まず「カタカタ」と小刻みに揺れ、少し遅れて「グラグラ」と大きく揺れる——この二段構えを体感したことがある人は多いはずです。この時間差をつくっているのが、震源から同時に走り出す二種類の波、P波とS波。同じ地震から生まれたのに、正体...
身近な科学の話

方位磁石はなぜ北を指すのか——地球という大きな磁石

方位磁石の赤い針が、いつも同じ方向でぴたりと止まる。あれは、地球そのものが巨大な磁石になっているからです。ただし少しあまのじゃくな話で、北極のあたりにあるのは磁石の「N極」ではなく「S極」。異なる極どうしは引き合うので、針のN極が北へ引き寄...
日本の地理と自然

川の「右岸・左岸」はどっちから見て右なのか——上流を背に、下流を向いて決める

天気予報やハザードマップで「○○川の右岸で……」と聞いて、どちらが右岸なのか一瞬迷った経験はないでしょうか。答えははっきり決まっています。川の流れる方向、つまり上流から下流を向いて右側が右岸、左側が左岸です。自分が立っている場所ではなく、川...
日本の地理と自然

「何メートルから山」という決まりはない——山と丘の違い

日本の地図をつくっている国土地理院は、「山」を定義していません。何メートル以上なら山、それ未満なら丘、という線引きは公式には存在しないのです。そのため日本には、標高3メートルの「山」もあれば、標高1,000メートル地点にある「丘」もあります...
言葉と論理の話

天気雨を「狐の嫁入り」と呼ぶのはなぜか——狐の化かしと、世界の「動物の結婚式」

「狐の嫁入り」という言葉には、まったく別の二つの顔があります。ひとつは、日が照っているのに雨が降る「天気雨」。もうひとつは、夜の山に無数の怪しい火がぽつぽつと連なって見える現象です。呼び名は同じでも、指しているものは昼と夜ほど違います。それ...
身近な科学の話

カスピ海は「海」なのになぜ湖なのか——世界最大の湖をめぐる、海か湖かの論争

「カスピ海」という名前には、はっきり「海」の字が入っています。ところが地理の世界では、これは海ではなく湖に分類されます。しかも、ただの湖ではありません。世界でいちばん大きな湖なのです。名前と中身が食い違うこの水域は、「海か湖か」をめぐって国...
日本の地理と自然

みぞれ・あられ・ひょうは何が違う——空から降る氷の分類

空から降ってくる白いつぶを、私たちはまとめて「雪」と呼びがちです。けれど天気予報では、みぞれ・あられ・ひょうと、いくつもの名前が使い分けられています。どれも似たようなものに見えて、気象の世界ではきちんと区別されているのです。その境目は、どこ...