なぜ消費税は一律なのか?累進課税との違いを考える

一般教養の話
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消費税は所得に関係なく誰でも同じ税率が適用されますが、所得税は収入が増えるほど税率が上がっていきます。

同じ「税」でありながら、なぜ仕組みがこれほど異なるのでしょうか。

消費税と所得税(累進課税)の違い

二つの税の特徴を表にまとめます。

消費税所得税(累進課税)
対象消費行動(モノ・サービスの購入)個人の所得(収入から経費等を引いたもの)
税率一律10%(食料品等は8%)5%〜45%の7段階
特徴全員が同率・徴収しやすい所得が多いほど高率になる
課題低所得者の負担が相対的に重い高所得者の勤労意欲に影響する可能性

大きな違いは「誰から・何に対して課税するか」という点です。

消費税が一律である理由

徴収の簡便さと確実性

消費税が一律な最大の理由は、徴収しやすいことです。小売店がレジで一定の割合を上乗せして受け取り、後から国に納めるという仕組みは、所得の把握が難しい人々からも確実に税収を得られます。

逆進性という弱点と対策

一律税率には「逆進性(ぎゃくしんせい)」という弱点があります。低所得者ほど収入に占める消費の割合が大きいため、高所得者と同じ税率でも実質的な負担が重くなるのです。日本では食料品等に軽減税率(8%)を設けることで、この逆進性を一定程度緩和しています。

累進課税とはどういう仕組みか

所得が上がるほど税率が上がる

累進課税とは、所得が多いほど高い税率を適用する仕組みです。「担税力(たんぜいりょく)」、つまり税を負担する能力に応じた課税が基本的な考え方で、所得の再分配機能を持っているのです。

日本の所得税の段階

日本の所得税は、課税所得に応じて7段階の税率が設けられています。

課税所得税率
195万円以下5%
195万〜330万円10%
330万〜695万円20%
695万〜900万円23%
900万〜1800万円33%
1800万〜4000万円40%
4000万円超45%

消費税の10%と比べると、高所得者の所得税率は最大45%にもなるのです。

豆知識 — 消費税が日本に登場したのは1989年

日本に消費税が導入されたのは1989年(平成元年)で、当初の税率は3%でした。1997年に5%、2014年に8%と段階的に引き上げられ、2019年には現行の10%(食料品は8%)になりました。

導入当初は「大型間接税反対」という強い世論があり、竹下内閣は支持率の急落を押し切る形で消費税法を成立させた経緯があります。税制を変えることがいかに社会的な摩擦を生むか、その象徴的な出来事です。

消費税の「一律」と所得税の「累進」は、どちらも一長一短があります。税の仕組みを知ると、政策の議論がぐっと身近になります。