社会と仕組みの話

道路の白いひし形は、信号のない横断歩道の予告——「50メートルと30メートル」は規定の書き方と違う

道路に白く描かれた大きなひし形は、「この先に横断歩道か自転車横断帯があります」という予告です。運転免許を持つ人なら一度は習っているはずの標示ですが、意味を答えられない人のほうが多いという調査結果が、いくつもの県で報告されました。広く語られて...
言葉と論理の話

「とんぼ返り」の由来——「退かない」はずの勝ち虫が、なぜ引き返すのか

「とんぼ返り」は、もともと体を一回転させる宙返りのことでした。出張先から日帰りで戻ってくるという今の使い方は、そこから枝分かれした二番目の意味です。名前のとおり、由来は虫のトンボにあります。ただし理由は「速く飛ぶから」ではありません。辞書が...
言葉と論理の話

走馬灯の「馬」はろうそくの熱で走る——死に際に見えるという光景に、この夏の玩具が名前を貸した

走馬灯の「馬」は、ろうそく一本の熱で走っています。二重になった灯籠の内側に、馬に乗った武将の切り絵が貼ってあり、炎の熱でできた上昇気流が羽根車を回す。それだけの仕掛けで、外側の紙に映った影が延々と駆けていきます。一方で「走馬灯のように人生が...
身近な心理と行動の話

デジャブは若いほど多く、年をとるほど減る——起きているのは記憶の失敗ではなく、記憶の点検

初めて入った店なのに、この棚の並びを前にも見た気がする。そう感じたことのある人は、健康な成人のおよそ4人に3人にのぼります。意外なのは、この体験がいちばん多い年代です。記憶があやしくなってくる頃ではなく、10代後半から20代前半あたりに頂点...
からだの話

耳鳴りの「キーン」は、聞こえなくなった帯域を脳が埋めている音——静かな部屋に5分いれば、健康な人にも鳴りだす

耳鳴りの「キーン」は、鼓膜が受け取った音ではありません。外に音源がないのに音の感覚だけが生じる現象で、日本聴覚医学会の『耳鳴診療ガイドライン2019年版』は耳鳴を「明らかな体外音源がないにもかかわらず感じる異常な音感覚」と定義しています。有...
言葉と論理の話

誓いは重くなるほど、偽物が出回った——「指切りげんまん」の「指切り」は、江戸の遊里に実在した作法

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます」。子どもが約束をするときの唱えごとですが、並んでいる言葉はどれも穏やかではありません。指を切る。拳で一万回打つ。針を千本飲ませる。このうち先頭の「指切り」は言葉の綾ではなく、江戸時代の遊里(ゆうり...
言葉と論理の話

「最初はグー」だけが全国共通になった——昭和4年の調査では、じゃんけんの掛け声は135種類あった

「最初はグー」は、じゃんけんそのものよりずっと若い掛け声です。じゃんけんの原型は19世紀のうちにはできあがっていたとされますが、あの助走の一拍が全国の子どもに行き渡ったのは1980年代前後のこととされています。出どころとして名前が挙がるのは...
言葉と論理の話

舌打ちで「いいえ」を返す地域は、モロッコからコーカサスまで続いている——日本の「チッ」は感情の側に残った音

舌を上あごに当てて鳴らす「チッ」という音は、世界の少なくない地域で「いいえ」という返事に使われています。日本では不快さのしるしとして受け取られるあの音が、地中海の向こう側では会話のふつうの部品として働いているのです。しかも話は「同じ動作でも...
言葉と論理の話

「タメ口」の「タメ」はサイコロのゾロ目——賭場の隠語が「対等」を意味するまで

「タメ口」の「タメ」は、もともとサイコロの目を指す言葉だったとされます。二つのサイコロを振って同じ数字が並ぶ、あのゾロ目のことです。賭場で使われていた符丁が、どうして「敬語を使わない話し方」の名前になったのでしょう。賭博の隠語から不良少年の...