言葉と論理の話

ビールで乾杯しない国、水で乾杯しない国——はっきりした理由が語られるのは、いつも「やらない」ほうだった

乾杯でグラスを合わせる理由は、実のところ分かっていません。毒を盛られていないと確かめるためだ、という説明を聞いたことがあるかもしれません。あれは後から作られた話とされ、いくつもの検証で根拠のなさが指摘されています。ところが妙なもので、「グラ...
言葉と論理の話

切手は「NIPPON」、パスポートは「JAPAN」——「Japan」のほうは中国語の発音から生まれた

郵便切手の隅には「NIPPON」と印刷されています。ところがパスポートの表紙に金色で押されているのは「JAPAN」です。どちらも同じ国を指しているのに、綴りがまるで違います。この食い違いは、うっかり揃え忘れたわけではありません。「NIPPO...
社会と仕組みの話

首都が3つある国と、首都を一つも決めていない国——世界の首都はどうやって決まるのか

オーストラリアの憲法には、首都をどこに置くかではなく、どこに置いてはいけないかが書かれています。ニューサウスウェールズ州の中であること。そしてシドニーから100マイル(約160キロ)以上離れていること。この条件を満たす牧草地の一角に、あとか...
社会と仕組みの話

カナダとアメリカの国境は、緯度49度から最大810メートルずれている——正しいのは、ずれたほうの線

北アメリカ大陸を横切るカナダとアメリカの国境は、約2,030キロにわたって北緯49度をなぞる一本の直線です。ところが地面に立っている標石をたどると、線は本当の北緯49度から南へ北へと小刻みに外れていきます。そのずれは最大で810メートル。1...
言葉と論理の話

ミドルネームは「3つ目の名前」ではない——アメリカ大統領に初めて現れたのは6人目から

ミドルネームは、姓と名に続く三つ目の名前ではありません。英語圏の名前は「与えられた名(given name)」と「受け継いだ姓(surname)」の二種類でできていて、ミドルネームは前者の仲間です。ファーストネームの相棒であって、姓と並ぶ独...
言葉と論理の話

南京錠の「南京」は地名ではなく「舶来」の印——同じ錠に「西洋錠」という別名もある

辞書で「南京錠」を引くと、別名の欄に「西洋錠」という言葉が並んでいます(精選版 日本国語大辞典)。東の都市の名を冠した錠に、まったく反対の方角の別名が付いている。どちらかが間違っていそうに見えますが、じつは二つとも間違っていません。「南京」...
歴史と変遷の話

安全ピンは15ドルの借金から生まれた——「安全」が指しているのは、使う人の指のこと

安全ピンの「安全」は、留めた服が外れないという意味ではありません。1849年に取られた特許の本文には、布に差し込むときに「指を傷つける危険がない」と書かれています。守られているのは、まず使う人の指のほうでした。しかも、発明した本人はこれを「...
歴史と変遷の話

ライターはマッチより3年早く生まれた——ただし線の引き方しだいで、答えは三度入れ替わる

ライターの原型が世に出たのは1823年、こすって火がつくマッチが売られはじめたのは1827年です。順番でいえば、複雑なほうが先に生まれています。とはいえ、この「3年差」はそれほど固い数字ではありません。マッチをどこから数えるかを一段ずらすだ...
言葉と論理の話

蛇口の水は、はじめライオンの口から出ていた——輸入の獅子が龍に替わり、名前だけ「蛇」で残った

日本で最初に水道の水が出てきた口は、蛇でも龍でもなくライオンでした。1887年(明治20年)に横浜で近代水道が始まったとき、道端に立てられた水栓の吐水口はイギリス製の獅子の頭だったのです。それが国産に切り替わると、獅子は龍に替わりました。そ...