からだの話

人間だけが9割そろって右利き——利き手はおなかの中で決まりはじめる

ネコにもチンパンジーにも、使いやすい前足はあります。ただ、群れのほとんどが同じ側にそろってしまうのは人間だけです。決まる時期はいつなのか。決めているのは何か。そして、なぜ右ばかりなのでしょう。この三つは別々の問いで、わかっている度合いもずい...
からだの話

金縛りで動けないのは、体が毎晩かけているブレーキ——脳だけが先に目を覚ました数分間

金縛りの最中、体は眠っていて、脳だけが目を覚ましています。まぶたは開き、部屋の様子も見えている。それでも腕は上がらず、声も出ません。この数分間に起きているのは、レム睡眠のあいだ全身にかかっているブレーキが、意識だけ戻ったあとも外れずに残って...
文化と価値観の話

シャツのボタンが男女で逆なのはなぜか——理由は残らず、型紙だけが残った

男性用のシャツはボタンが右側に、女性用のシャツは左側についています。着る人から見た向きの話で、日本だけの決まりではありません。世界中の既製服が、判で押したように同じ向きへ分かれています。ところが「なぜそう分かれたのか」を示す記録は、いまだに...
からだの話

「男女で脳が違う」は本当か——平均の差はあっても、脳は二種類に分かれない

男性の脳と女性の脳は、平均するとたしかに大きさが違います。男性のほうが1割ほど大きい。けれども、そこから先の「だから考え方が違う」という説明は、この40年の研究でほとんど支持されなくなりました。脳梁(のうりょう)が太いから女性は察しがいい。...
生きものの話

象の鼻はなぜあんなに長いのか——頭が重すぎて、首を伸ばせなかった

ゾウの鼻は、鼻だけでできているわけではありません。あの長い管は鼻と上唇がひとつに融合したもので、胎児の早い段階で両者がつながることが知られています。鼻の穴が先端まで通っている一方で、ものをつまむ先端の突起は唇に由来する部分です。しかも、中に...
言葉と論理の話

「馬鹿」の語源は決着していない——馬も鹿も、音を借りただけの当て字

「馬鹿」という字を分解すると、馬と鹿が並びます。けれど意味の上では、この二頭はどちらも無関係とされています。音を写すために選ばれただけの字だからです。では、その音はどこから来たのでしょうか。ここが厄介なところで、国語辞典の語源欄にはいくつも...
モノと道具の話

ステンレスはなぜ錆びないのか——厚さ数ナノの膜が、削っても勝手に戻る

ステンレスは、錆びない金属ではありません。表面をわざと酸化させ、そこにできた膜で内部を守っている金属です。その膜の厚さは、わずか数ナノメートル。1ミリの100万分の1を単位にした世界です。しかも、こすっても削っても、空気に触れればひとりでに...
暮らしの知恵

ぬか漬けに古釘を入れるのはなぜか——鉄がナスの紫を「逃がさない」しくみ

ぬか床を底からかき混ぜたとき、黒ずんだ釘が指に当たる——昔の台所ではめずらしくない光景でした。落としものではありません。ナスを紫色のまま漬け上げるために、わざと沈めてあるものです。釘から溶け出した鉄が、ナスの皮の色素と結びついて色を留めます...
生きものの話

竹は「木」か「草」か——タケノコの太さのまま、一生太らない

竹はイネ科の植物です。イネにムギ、ススキにトウモロコシ。同じ科や近い仲間を並べてみると、どれも木とは呼ばれないものばかりが顔をそろえます。それでも竹は硬く、高いものは20メートルを超え、建物や道具の材料として使われてきました。木なのか草なの...