唐揚げは鶏肉に下味をつけて片栗粉や小麦粉をまぶして揚げた料理で、日本の家庭料理・弁当・居酒屋メニューの定番です。現在の鶏の唐揚げスタイルが広まったのは昭和時代のことですが、「唐揚げ」という調理法の歴史はそれよりずっと古く、江戸時代まで遡ります。
唐揚げの歴史——年表
「唐揚げ」という調理法の登場から、現代の鶏の唐揚げ文化が定着するまでをまとめました。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 江戸時代(17〜19世紀) | 「唐揚げ」が料理書に登場。ただし豆腐や野菜を素揚げする調理法を指していた |
| 明治〜大正時代 | 鶏肉食の普及とともに、鶏を揚げる料理が広まり始める |
| 昭和初期(1932年) | 大分県中津市の中津からあげが誕生したとされる。醤油ベースの下味が特徴 |
| 昭和30〜40年代 | ブロイラー(食肉用鶏)の普及で鶏肉が安価に。給食・弁当・居酒屋で唐揚げが定番化 |
| 昭和49年(1974年) | ケンタッキーフライドチキンが日本進出。鶏の揚げ物文化がさらに広まる |
| 現代 | 専門店チェーンが全国展開。コンビニ・スーパーでも販売され、日本人が最も愛する惣菜料理の一つに |
江戸時代の「唐揚げ」と現代の「鶏の唐揚げ」はもともと別物で、同じ名称が時代とともに意味を変えてきた料理です。
発祥——「唐揚げ」の名前の意味と起源
「唐揚げ」はもともと豆腐の料理だった
「唐揚げ」という言葉が最初に文献に登場するのは江戸時代で、当時は豆腐や野菜を素揚げする調理法を指していました。「唐」は中国(唐)から伝わった調理技術という意味で、「唐揚げ」とは「中国風の揚げ物」を意味する言葉だったのです。現在では鶏肉のイメージが定着していますが、料理名としての「唐揚げ」の起源は鶏肉とは直接関係がありません。
大分・中津が「鶏の唐揚げ」発祥の地とされる理由
現代に近い醤油ベースの下味をつけた鶏の唐揚げを最初に提供したのは、大分県中津市の食堂とされています。1932年(昭和7年)頃、中津市で醤油・酒・しょうがで下味をつけた鶏を揚げて提供したことが始まりとされており、現在も中津市は「唐揚げの聖地」として年間100万人以上の観光客が訪れます。ただし「発祥」については諸説あり、同時期に各地で独立して生まれたという見方もあるのです。
唐揚げの特徴——「フライ」との違いと二度揚げの技術
唐揚げとフライは似ているようで、衣と揚げ方に大きな違いがあります。
| 項目 | 唐揚げ | フライ(洋風) |
|---|---|---|
| 衣の材料 | 片栗粉または小麦粉(または両方)のみ | 小麦粉→卵→パン粉の3段階 |
| 下味 | 醤油・酒・にんにく・しょうがなどで事前に漬け込む | 塩・こしょうが基本。素材の味を生かす |
| 食感 | 外がカリッと中がジューシー。皮が薄い | 衣がサクサク。厚みがある |
| 揚げ方 | 二度揚げで外カリ中ジュワを実現 | 一度揚げが基本 |
家庭での唐揚げをカリッと仕上げるコツが「二度揚げ」です。低温で中まで火を通した後、高温で短時間揚げることで外側がカリッと仕上がるのです。揚げたてよりも少し時間を置いた方が衣と肉汁が落ち着いて旨みが増すとも言われています。

豆知識——唐揚げ専門店ブームと大分県の意外な記録
大分県は人口あたり唐揚げ店数が全国1位
唐揚げの聖地・大分県は、人口10万人あたりの唐揚げ専門店数が日本一とされています。大分県全体で200店舗以上の唐揚げ専門店が存在し、中津市内だけでも60店舗以上が集まっているとされています(時期により変動)。各店が独自の下味・揚げ方を持ち、地元民が「行きつけの唐揚げ屋」を持つ文化が根づいています。
コンビニ唐揚げが惣菜売上トップに
現在、コンビニ各社のホットスナック部門で唐揚げは売上トップクラスの商品です。ファミリーマートの「ファミチキ」(2006年発売)を皮切りに、各社が独自の唐揚げ商品を開発・改良し続けています。「コンビニの唐揚げ」は一つのジャンルとして確立しており、専門店と並んで日本の唐揚げ文化の一翼を担っています。
江戸時代の豆腐料理から始まった「唐揚げ」という名称が、昭和に鶏肉の揚げ物を指す言葉として定着し、現代では日本最愛の惣菜料理の一つになりました。大分・中津から全国へ広がった文化は、今もコンビニや専門店チェーンを通じて進化を続けています。


