神社にお参りするとき、「二礼二拍手一礼」という作法を耳にします。礼を二回・拍手を二回・最後に礼を一回という、あの一連の動きです。
でも、なぜ「二回」なのでしょうか。そして拍手には、どんな意味が込められているのでしょうか。
二礼二拍手一礼の流れ
まず、基本の流れを表で確かめておきましょう。
| 順番 | すること | 意味 |
|---|---|---|
| ①二礼 | 深いおじぎを2回 | 神様への敬意をあらわす |
| ②二拍手 | 手を2回打つ | 感謝を告げ、邪気を祓う |
| (祈り) | 手を合わせて願う | 心の中で願いを伝える |
| ③一礼 | 最後に1回おじぎ | 締めくくりの感謝 |
それぞれの動作の意味を、順にひもといていきましょう。

まずは基本の作法から
礼・拍手・礼の順に行う
二礼二拍手一礼は、その名のとおり「二度の礼・二度の拍手・一度の礼」という順で行います。拝殿の前に立ったら、まず姿勢を整え、深いおじぎを二回します。続けて手を二回打ち、願いを伝えてから、最後にもう一度おじぎをして締めくくるのです。

神社本庁が示した標準の形
この作法は、全国の神社をまとめる神社本庁が、参拝の基本として示しているものです。地域や神社による細かなちがいはありますが、迷ったときはこの形にしておけば、まず失礼にはなりません。「こうしなければ罰が当たる」という厳格な決まりではなく、敬意を表すための目安と考えると気が楽です。
「礼」に込められた意味
二度の礼は深い敬意のあらわれ
はじめの二礼は、神様に対する深い敬意をあらわす動作です。日常のおじぎよりも深く、腰を九十度近くまで折るのがていねいだとされます。一度ではなく二度くり返すことで、より改まった気持ちを示しているのです。

最後の一礼は感謝の結び
願いごとを伝えたあとの一礼は、参拝の締めくくりの礼です。お参りをさせてもらったことへの感謝を込めて、静かに頭を下げます。願いを言いっぱなしにせず、最後にきちんと礼で結ぶところに、日本らしい作法の感覚があらわれています。
「拍手(柏手)」を打つ理由
神を敬い、来たことを告げる
二度の拍手は「柏手(かしわで)」と呼ばれ、神社の参拝ならではの動作です。手を打ち鳴らすことには、神様への敬意や感謝を表すとともに、「お参りに来ました」と自分の存在を告げる意味があるとされます。声をかける代わりに、音で神様に呼びかけているわけです。

音には邪気を祓う力があるとも
拍手の澄んだ音には、その場の邪気を祓う力があるとも考えられてきました。パンと響く音で空間を清め、神様を迎える準備を整える、という意味あいです。拝むだけでなく音を立てるのは、日本の神道ならではの特徴といえます。
拍手の数は神社で違う
ちなみに、拍手の数はどの神社でも同じではありません。島根県の出雲大社では、四回打つ「二礼四拍手一礼」が基本です。大分県の宇佐神宮も四拍手で知られ、お参りする神社に独自の作法があれば、それに合わせるのが心づかいです。
| 神社 | 拍手の作法 |
|---|---|
| 一般の神社 | 二礼二拍手一礼 |
| 出雲大社 | 二礼四拍手一礼 |
| 宇佐神宮 | 二礼四拍手一礼 |
参拝の前後の作法
鳥居をくぐり、参道は端を歩く
作法は、拝殿の前だけのものではありません。鳥居は神域の入り口とされ、くぐる前に軽く一礼するのがていねいです。参道の真ん中は神様の通り道とされるため、人は端のほうを歩くのがよいとされています。
手水で清め、鈴を鳴らす
拝殿に向かう前には、手水舎(てみずや)で手と口を清めます。これは身を清めてから神様の前に立つ、という意味のある作法です。鈴を鳴らして神様を呼び、お賽銭を入れてから、二礼二拍手一礼へと進みます。

豆知識——実は「新しい」作法
意外なことに、二礼二拍手一礼は大昔からの伝統というわけではありません。今の形に整えられたのは明治以降で、広く一般に定着したのは平成になってからともいわれます。神社本庁が参拝作法として示したことで、全国へ広まっていきました。

何気なくくり返している二礼二拍手一礼には、敬意・感謝・清めという、いくつもの気持ちが折り込まれています。決まりだから従うのではなく、ひとつひとつの動作の意味を知っていると、お参りの時間が少し違って感じられます。手を打つそのひと拍にも、目に見えない相手と向き合おうとする、昔ながらの心づかいが息づいているのです。


