歴史と変遷の話

社会と仕組みの話

年賀状はなぜ元日に届くのか——年末に預かって止めている

元日の朝に届く年賀状は、たいてい十二月のうちに出されたものです。ポストに入れてから元日まで、はがきは郵便局に預かられたまま止まっています。郵便は一日でも早く届けるための仕組みです。その中で年賀状だけが、わざと止めて、決まった日にそろえて配ら...
言葉と論理の話

「はっけよい」と「のこった」はどう違うのか

土俵の上で行司(ぎょうじ)が「はっけよい」と声を張るのは、取組が始まる瞬間ではありません。二人の力士が組み合ったまま、動きを止めたときです。動いている間は「のこった、のこった」。止まったら「はっけよい」。あの二つの声は、力士の動きに合わせて...
歴史と変遷の話

石鹸は体を洗うためのものではなかった——羊毛の脂抜き、傷薬、髪染めが先だった

油と灰。石鹸の材料はほとんどこれだけです。だから発明の時期はおどろくほど古く、五千年近く前の粘土板にすでに配合が書き残されています。ただ、そこに書かれている用途は体を洗うことではありません。羊毛から脂を抜く。傷んだ皮膚に塗る。髪を赤く染める...
歴史と変遷の話

銭湯の壁はなぜ富士山なのか——東京の一軒から広まった

銭湯の壁の富士山は、日本中の銭湯にあるわけではありません。大阪の銭湯に入ると、壁を飾っているのは焼き付けたタイルの絵であることが多く、あの大きな富士山は見当たらないのが普通です。では東京の壁には、なぜ富士山が並んだのでしょうか。理由は一つで...
歴史と変遷の話

花火大会はなぜ夏に多いのか——江戸の涼み舟の商い

隅田川の花火は、享保の飢饉とコレラで亡くなった人を弔うために始まった——よく語られるこの説明は、明治から昭和にかけての四十年ほどのあいだに組み上がったものです。コレラが日本で最初に流行したのは1822年(文政5年)で、起源とされる1732年...
歴史と変遷の話

マラソンはなぜ42.195kmなのか——一度きりの距離

マラソンの42.195キロという数字が世界共通の決まりになったのは、1908年のロンドン五輪ではありません。国際陸上競技連盟がこの距離を標準として認めたのは、13年あとの1921年です。ロンドンで測られた26マイル385ヤードは、その大会か...
モノと道具の話

花札はなぜ48枚なのか——南蛮渡来の札と同じ枚数

花札は一組四十八枚で、十二か月に四枚ずつ割り当てられています。南蛮渡来のかるたも一組四十八枚でしたが、こちらは四つの絵柄に十二枚ずつという割り方でした。同じ四十八枚を、縦と横だけ入れ替えた形です。絵柄が何を意味するのかという話は、この器を先...
歴史と変遷の話

盆踊りの起源は何か——念仏踊りが先にあった

お盆に踊るのはなぜか。この問いに一本の線で答えようとすると、必ずどこかで話がつながらなくなります。踊りの側と、お盆の側では、出どころがそもそも別だからです。念仏を唱えながら踊る人たちは、盆とは関係のない時期にも踊っていました。盆踊りは、起源...
歴史と変遷の話

鏡餅はなぜ「鏡」と呼ぶのか——上の橙は「代々」の意味

鏡餅の「鏡」は、顔を映すための鏡ではありません。もとになっているのは、青銅を丸く磨いた古い時代の鏡です。上に載っている橙にも、みかんでは肩代わりしきれない理由があります。正月のあいだ床の間や玄関に置かれているあの丸い餅は、飾りというより供え...