歴史と変遷の話

歴史と変遷の話

鏡餅はなぜ「鏡」と呼ぶのか——上の橙は「代々」の意味

鏡餅の「鏡」は、顔を映すための鏡ではありません。もとになっているのは、青銅を丸く磨いた古い時代の鏡です。上に載っている橙にも、みかんでは肩代わりしきれない理由があります。正月のあいだ床の間や玄関に置かれているあの丸い餅は、飾りというより供え...
歴史と変遷の話

しめ縄は何のために張るのか——「しめ」は「占める」

天岩戸(あまのいわと)に張られた最初のしめ縄は、外から悪いものが入らないようにするための縄ではありませんでした。『古事記』では、岩屋から引き出された天照大御神(あまてらすおおみかみ)の背後にこの縄が渡されます。告げられた言葉は「ここから内へ...
歴史と変遷の話

だるまの目はどちらから入れるのか——「左目から」の意味

だるまの目は「左目から入れる」と説明されます。ただしこの「左」は、だるま自身から見た左です。向かい合って筆を持つ私たちの側からは、右側の目にあたります。作法を調べていくと、「左目に入れる」と書かれた資料と「向かって右に入れる」と書かれた資料...
歴史と変遷の話

厄年は神社と寺でなぜ違うのか——年齢も数え方も違う

厄年の年齢を調べると、見た先によって答えが変わります。神社本庁の案内では女性の本厄は19歳・33歳・37歳・61歳ですが、川崎大師の案内に37歳はなく、代わりに60歳が並びます。しかも前者は数え年、後者は満年齢です。同じ「厄年」という言葉を...
歴史と変遷の話

歯ブラシの起源はいつか——5000年以上前からあった

「歯ブラシはいつから使われているのか」という問いには、ひとつの年号で答えられません。木の枝の先をほぐしたものを含めれば5000年以上前にさかのぼり、柄に毛を植えたブラシに限れば中国の唐の時代まで下ります。今わたしたちが手に持っているナイロン...
歴史と変遷の話

割り箸はなぜ根元がつながっているのか、わざわざ割る形にしたわけ

割り箸の根元がつながっているのは、「この箸はまだ誰も使っていません」と目で見せるためだったと説明されています。江戸の鰻飯屋(うなぎめしや)が、洗う手間の代わりに思いついた形だという見方です。言われてみれば、二本を最後までつなげておく理由は他...
モノと道具の話

印籠とは何を入れる箱か、水戸黄門はなぜあれを見せるのか

印籠(いんろう)は、薬などを持ち歩くための小さな容器です。テレビの中で高々と掲げられ、その場の全員がひれ伏す、あの箱。本来の中身は権威ではなく、腹痛や切り傷に備えた常備薬でした。そして、いまも本物の印籠を腰に下げて仕事をしている人がいます。...
歴史と変遷の話

花魁と遊女は何が違うのか、横並びではなく入れ子の関係

「花魁(おいらん)」と「遊女(ゆうじょ)」は、横に並べて見比べる二つの職業ではありません。遊女が総称で、花魁はそのなかの上のほうだけを指す呼び名です。しかも花魁は、江戸の吉原でしか使われなかった言葉でした。万治(まんじ)元年、西暦でいえば1...
言葉と論理の話

切腹は本当に腹を切っていたのか——扇子を使う「扇子腹」

記録に残るいちばん古い切腹は、武士の名誉ある最期ではありませんでした。988年、盗賊として追われていた貴族が捕らえられ、その場で自分の腹を刺して翌日に獄中で死んだ——それが最初の一例として挙げられます。そして時代が下ると、今度は逆のずれが起...