ことばと論理

言葉と論理の話

日直の「直」とは何か——「まっすぐ」ではなく昼の勤め

「日直」の「直」は、「まっすぐ」という意味ではありません。千三百年ほど前の法令の注釈書に、昼の勤めを「直」、夜の勤めを「宿」と書き分ける一行が残っています。夜通しの当番が「宿直」になるのは、そのためです。教室の黒板の隅に名前が書かれるあの係...
言葉と論理の話

学ランの「ラン」とは何か——学校ではなく的屋の隠語から来た

「学ラン」の「ラン」は、オランダの「ラン」です。ここまでは、たいていの解説が一致しています。食い違うのは、そのオランダがどんな道すじで「ラン」になったのか。国語辞典を引くと、学校とも学問とも縁のない出どころが書いてあります。舶来の反物や洋服...
言葉と論理の話

蚊帳とはどんな道具か、「蚊帳の外」に置かれると何を失うのか

「蚊帳の外」に置かれた人がいちばん困ったのは、話に加われないことではありませんでした。蚊に刺されることです。蚊帳(かや)は、寝床の上に吊って四方を囲う目の粗い網です。中にいれば蚊は入ってこず、風だけが通り抜けます。外で寝る人は、その一晩ずっ...
言葉と論理の話

落語と講談は何が違うのか——会話の芸と、読む芸

寄席の高座に小さな机が置かれていたら、次に上がるのは落語家ではなく講談師です。落語と講談を外から見分ける目印として、これがいちばん分かりやすいものになります。ただし机は結果であって、理由ではありません。机が要る芸と要らない芸に分かれたのは、...
モノと道具の話

ネクタイの語源「クラバット」とは何か——クロアチア兵の呼び名

ネクタイの祖先にあたる布は「クラバット」と呼ばれます。この言葉、もともとは布の名前ではありませんでした。フランス語の辞典をたどると、cravate はまず「クロアチアの」「クロアチア騎兵」という意味で1630年ごろに現れます。首に巻く布を指...
文化と価値観の話

表千家と裏千家は何が違うのか——屋敷の表と奥から

表千家と裏千家を分けているのは、教えの正統さでも作法の格でもありません。京都の寺之内通(てらのうちどおり)に面して建つ茶室が「表」、その奥に建つ茶室が「裏」。呼び名の出どころは、屋敷のどこに建物があるかという、それだけの話です。三千家(さん...
言葉と論理の話

「はっけよい」と「のこった」はどう違うのか

土俵の上で行司(ぎょうじ)が「はっけよい」と声を張るのは、取組が始まる瞬間ではありません。二人の力士が組み合ったまま、動きを止めたときです。動いている間は「のこった、のこった」。止まったら「はっけよい」。あの二つの声は、力士の動きに合わせて...
モノと道具の話

絵文字はなぜ世界で「emoji」と呼ばれるのか

「絵文字」は、英語に訳されないまま emoji として世界語になった日本語です。picture character のような訳語が当てられたのではなく、日本語の音がそのまま借りられました。1999年に176字で始まったその一組は、いまUni...
言葉と論理の話

「スペード」は剣、「クラブ」は棍棒——トランプは名前と絵柄が別の国から来ている

トランプの「スペード」という名前は、イタリア語やスペイン語で「剣」を意味する言葉から来ています。「クラブ」のほうは「棍棒」です。ところが手元のカードに描かれているのは、剣でも棍棒でもありません。黒く尖った葉のような形と、三つ葉のクローバーで...