満員電車の乗車率200%はどれくらい混む?国の目安から週刊誌が消えた

社会と仕組みの話
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乗車率200%は、電車の定員の2倍の人が乗っている状態です。通勤電車の1両の定員はおよそ150人なので、1両に300人ほどが詰まっている計算になります。国土交通省の目安では「体が触れ合い、相当圧迫感がある」混み方で、ドア付近の人は身動きがとれません。この目安の言い回しが最近書き換わった話も含めて、数字の中身を見ていきます。

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  1. 乗車率200%は定員の2倍が乗った状態
    1. 通勤電車1両の定員はおよそ150人
    2. 200%なら1両に約300人
    3. 定員は座席と立つ場所の合計
  2. 100%から200%までの混み方の目安
    1. 100%はつり革や柱につかまれる状態
    2. 150%と180%の分かれ目は肩
    3. 200%ではドア付近が身動きできない
  3. 国の目安から新聞と週刊誌が消えたのはいつ?
    1. 2002年の資料は新聞が読めるかで測っていた
    2. 2024年夏の発表から表現が変わった
    3. 250%の段階も表から消えた
  4. 乗車率と混雑率は同じもの?
    1. 通勤電車の正式な呼び方は混雑率
    2. 新幹線の乗車率100%は座席が埋まった状態
    3. 同じ200%でも混み方は違う
  5. 混雑率はどうやって測っている?
    1. いちばん混む1時間の平均で出す
    2. 乗った人数を輸送力で割る
    3. 1時間の平均なので一番混む1本はもっと上
  6. 2025年度の最混雑区間は日暮里・舎人ライナー
    1. 全国でいちばん混んだのは176%
    2. JRと地下鉄の上位は埼京線と日比谷線
    3. 大阪圏の最高は阪急神戸本線の145%
  7. コロナ前は200%近い路線があった
    1. 2019年度の東西線は199%
    2. 2020年度の東京圏の平均は107%
    3. 2025年度は143%まで戻った
  8. 1960年代には300%を超えていた
    1. 1963年の総武線は315%
    2. 押し屋は1955年の新宿駅から
    3. 1975年度の東京圏の平均は221%
  9. 国の目標は平均150%・全区間180%
    1. 2000年の答申で目標が決まった
    2. 2025年度は180%を超えた区間がない
    3. 目標の達成は乗客が減った結果でもある
  10. 参考
  11. 関連記事

乗車率200%は定員の2倍が乗った状態

つり革につかまって立つ会社員4人のイラスト

通勤電車1両の定員はおよそ150人

国土交通省が毎年まとめる混雑率の調査には、路線ごとに1時間に走る両数と「輸送力」が載っています。たとえば2025年度のJR埼京線(板橋→池袋)は、朝の1時間に10両編成が19本で、輸送力は2万8,040人でした。190両で割ると1両あたり約148人。通勤電車1両の定員は、だいたいこのくらいの人数です。

200%なら1両に約300人

定員が148人の車両なら、200%は約296人にあたります。同じ埼京線の区間で実際に乗っていたのは1時間で4万6,870人でした。1両あたりに直すと約247人で、混雑率は167%です。200%はそこからさらに1両で50人ほど増えた姿になります。

定員は座席と立つ場所の合計

通勤電車の定員は、座れる人数だけではありません。座席の数に、立って乗れる人数を足したものです。立つ人の分は、床の広さを1人あたり0.3平方メートルで割って出す考え方が日本産業規格(JIS)で示されているとされています。座席の前の25センチほどは座った人の足の置き場として除きます。

※ JIS(日本産業規格)とは、工業製品などについて国が定めている規格のことです。鉄道車両の設計の基本も規格としてまとめられています。

0.3平方メートルは、だいたい50センチ四方よりひと回り大きい広さ。一人ひとりがつり革を持って立ち、まわりと触れずにいられる広さが「100%」の基準です。

100%から200%までの混み方の目安

満員電車で押しつぶされる乗客のイラスト

数字だけでは伝わりにくい混み方を、国は言葉の目安でも示しています。いまの目安で物差しになっているのは「肩」と「ドア付近の人」の二つ。

混雑率車内のようす(国土交通省の目安)
100%座席につくか、座席前のつり革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる
150%肩が触れ合わない程度。ドア付近の人が多くなる
180%肩が触れ合い、やや圧迫感がある。ドア付近の人は窮屈となり、体の向きを変えるのが困難
200%体が触れ合い、相当圧迫感がある。ドア付近の人は身動きがとれない

4つの段階を上から読むと、ドアのまわりから先に苦しくなっていくのが分かります。車内の奥にはまだ余裕があっても、乗り降りする人が集まる出入口付近が最初に詰まるからです。

100%はつり革や柱につかまれる状態

100%は「満員」という言葉の印象より、ずっとゆとりのある状態です。座れなかった人も、全員がつり革か手すりをつかめます。座席がすべて埋まり、つり革の前にも一人ずつ人が立っている。それが定員ちょうどの車内です。

150%と180%の分かれ目は肩

150%では、立っている人どうしの肩はまだ触れません。180%になると肩が触れ合い、ドア付近では体の向きを変えるのも難しくなります。つり革につかまれない人が出てくるのも、このあたりからです。

200%ではドア付近が身動きできない

200%では、触れ合うのが肩だけでなく体全体になります。ドア付近の人は身動きがとれず、駅に着いても降りる人のために一度ホームへ出ることさえ難しい混み方です。停車時間が延びて、後ろの電車が詰まる原因にもなります。

国の目安から新聞と週刊誌が消えたのはいつ?

新聞を広げて読む男性のイラスト

2002年の資料は新聞が読めるかで測っていた

上の目安は、じつはここ数年で書き換えられたものです。2002年に国土交通省が出した資料では、150%は「広げて楽に新聞を読める」、180%は「折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」とされていました。200%は「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」。車内で紙を広げられるかどうかが物差しでした。

2024年夏の発表から表現が変わった

毎年の発表資料を見比べると、2023年の発表(2022年度の数字)までは新聞と週刊誌の目安が使われています。新しい言い回しが載ったのは、2024年8月に出た2023年度の結果からでした。資料には、有識者などの意見もふまえ「時代に即した表現」に見直したという注記が添えられています。

朝の車内で新聞を大きく広げる人は、いまではあまり見かけません。読めるかどうかでは混み方が伝わらなくなったため、誰にでも当てはまる「肩」や「体」の触れ方に物差しを移したと読めます。

250%の段階も表から消えた

2002年の資料には、もう一段上の250%もありました。「電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない」という説明です。いまの目安は200%で終わっていて、250%の行はありません。そこまで混む区間が見られなくなったことも、表が短くなった背景にありそうです。

乗車率と混雑率は同じもの?

走る新幹線のイラスト

通勤電車の正式な呼び方は混雑率

国土交通省の調査で使われている言葉は「混雑率」です。ニュースや会話では「乗車率」とも呼ばれ、通勤電車の話ならほぼ同じ意味で使われています。どちらも、乗っている人数を定員で割った割合を指しています。

新幹線の乗車率100%は座席が埋まった状態

気をつけたいのは、お盆や年末年始に聞く新幹線や特急の「乗車率」です。座って乗る前提の車両では、定員は座席の数そのもの。乗車率100%は座席がちょうど埋まった状態で、立っている人はいません。

同じ200%でも混み方は違う

新幹線の自由席が200%なら、座席と同じ数の人が通路やデッキに立っていることになります。通勤電車の200%は、もともと立つ人を含めた定員の2倍です。ロングシートの通勤車両では、定員160人の車両でも座席は50人台というものがあります。同じ数字でも、車内に立っている人の数はまるで違ってきます。

混雑率はどうやって測っている?

制服姿の駅員のイラスト

いちばん混む1時間の平均で出す

国が発表する混雑率は、路線ごとに最も混む区間の、最も混む1時間の平均です。2025年度の調査では、主に2025年10月から11月の1日か数日分の乗車人員のデータをもとに計算されました。つまり発表される数字は、秋の平日の朝の姿です。

乗った人数を輸送力で割る

計算そのものは割り算です。その1時間に走った電車の定員をすべて足したものが「輸送力」で、実際に乗った人数を輸送力で割ります。乗った人数のつかみ方は会社によって違い、自動改札の記録や、車両の重さを量るセンサーのデータを使う方法などがあります。

1時間の平均なので一番混む1本はもっと上

平均であることは、数字を読むときの大事な注意点です。同じ1時間の中でも、乗り換えに便利な電車や、始業に間に合うぎりぎりの1本には人が集中します。発表が160%の区間でも、乗った1本は体感で200%近かったということは十分にありえます。

2025年度の最混雑区間は日暮里・舎人ライナー

電車のつり革のイラスト

全国でいちばん混んだのは176%

2026年7月に発表された2025年度の調査で、全国の最混雑区間のうち最も高かったのは、東京都の日暮里・舎人(とねり)ライナーの赤土小学校前→西日暮里で176%でした。小さな5両編成の車両で走る新交通システムです。2位は福岡の西鉄貝塚線(名島→貝塚)の169%でした。

JRと地下鉄の上位は埼京線と日比谷線

JRと地下鉄では、JR埼京線(板橋→池袋)の167%が最も高い値でした。東京メトロ日比谷線(三ノ輪→入谷)が163%で続き、東京メトロ東西線(木場→門前仲町)とJR総武快速線(新小岩→錦糸町)が160%で並んでいます。いずれも目安の「180%」には届いていません。

大阪圏の最高は阪急神戸本線の145%

大阪圏で最も混んだのは、阪急神戸本線(神崎川→十三)の145%です。三大都市圏の主要区間の平均で見ても、東京圏143%・名古屋圏126%・大阪圏117%と、東京の混み方が一段上にあります。

コロナ前は200%近い路線があった

右肩下がりの棒グラフのイラスト

2019年度の東西線は199%

新型コロナの流行前、2019年度に東京圏で最も混んでいたのは東京メトロ東西線の木場→門前仲町で、199%でした。2025年度の160%と比べると、40ポイント近く下がったことになります。同じ年度には横須賀線の武蔵小杉→西大井も195%を記録していました。

2020年度の東京圏の平均は107%

在宅勤務が一気に広がった2020年度、東京圏の主要31区間の平均は107%まで下がりました。前年度の163%から56ポイントの急落で、ほぼ全員がつり革をつかめる混み方です。2021年度も108%と、低いまま推移しました。

2025年度は143%まで戻った

その後は年々上がり、2025年度は143%になりました。ただし乗っている人の数は、コロナ前の2019年度の約8割強にとどまっています。人が戻りきっていないのに混雑率がそこそこ上がっているのは、電車の本数や両数が少し減り、輸送力が2019年度より5%ほど小さくなっているためです。

1960年代には300%を超えていた

昭和の古いブラウン管テレビのイラスト

1963年の総武線は315%

高度経済成長期の数字は、いまとは桁違いです。当時の運輸省の『運輸白書』によると、1963年の国鉄総武線(平井→亀戸)は315%で、最も混む1本では365%に達していました。京浜東北線や中央線快速も280%を超えています。冷房もない車内に、定員の3倍以上が乗っていたわけです。

押し屋は1955年の新宿駅から

乗りきれない客をドアの中へ押し込む「押し屋」が現れたのも、このころです。新宿区の年表には、1955年に新宿駅でアルバイト学生による「押し屋」(旅客整理係学生班)が登場したと記されています。駅員だけでは手が回らないほどの人が、毎朝ホームにあふれていました。

1975年度の東京圏の平均は221%

国土交通省の推移表は1975年度から始まっていて、その年の東京圏の平均は221%です。平均ですでに200%を超えていました。線路を増やす複々線化や車両の増結が進み、平均は1989年度に202%、1998年度に183%と下がっていきます。

国の目標は平均150%・全区間180%

会議で話し合う人たちのイラスト

2000年の答申で目標が決まった

混雑をどこまで下げるかの目標は、2000年8月の運輸政策審議会の答申で示されました。大都市の都市鉄道はすべての区間を150%以内にするのが目標です。東京圏については当面、主要区間の平均を150%以内とし、すべての区間をそれぞれ180%以内にするという二段の目標が置かれました。

※ 答申(とうしん)とは、国の大臣などから意見を求められた審議会が、検討した結果を報告として出すことです。

2025年度は180%を超えた区間がない

2025年度の最混雑区間の一覧を見ると、最も高い日暮里・舎人ライナーでも176%で、180%を超えた区間はありません。東京圏の平均143%も、150%の目標を下回っています。コロナ前の2019年度は平均163%で、目標には届いていませんでした。

目標の達成は乗客が減った結果でもある

ただ、数字が目標を下回ったのは、混雑対策が実ったからだけではありません。在宅勤務や時差通勤が定着して、朝のピークに乗る人が減ったことが大きく効いています。乗客が戻り続ければ、200%近い区間がまた出てくる可能性もあります。

新聞が読めるか、週刊誌なら読めるか。半世紀ほど前の物差しは、混んだ車内でも何かを読もうとする人の姿を前提にしていました。いまの目安は肩と体の触れ方だけを見ています。手元の画面をのぞくのがやっとの朝の車内を、次に目安が書き直されるとき、国はどんな言葉で表すのでしょうか。

参考

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