「自分で作ったクッキーやケーキを売りたい」という人が増えています。SNSやフリマアプリの普及で手作りお菓子を販売するハードルは下がりましたが、食べ物を販売するには営業許可が必要です。
菓子製造業許可は、お菓子を製造・加工して販売する事業者に求められる許可です。インターネット通販・委託販売・マルシェへの出店いずれも対象になります。手作りであっても、販売目的で製造する場合は例外なく許可が必要です。
菓子製造業許可が必要なケース
許可の要否を大まかに整理しておきます。
| ケース | 許可の要否 |
|---|---|
| 自作のクッキー・ケーキをSNSで販売する | 必要 |
| ネット通販でお菓子を発送する | 必要 |
| カフェや雑貨店に委託販売する | 必要 |
| 家族・友人に無料で配る | 不要 |
| 学校の文化祭で実費程度で配る | 基本的に不要 |
許可の種類と対象
菓子製造業許可の対象は、焼き菓子・生菓子・キャンディー・チョコレート・アイスクリームなど広範なお菓子類です。2021年6月の食品衛生法改正以降は「菓子等製造業」として再編され、以前より対象範囲が整理されたのです。
2021年の改正で大きく変わった点のひとつが、許可の有効期限の設定になっています。旧制度では更新手続きなしで継続できていたものが、新制度では5年ごとに保健所への更新申請が必要になっています。
ネット販売・委託販売でも必要か
「ネットで売るだけなら許可はいらない」という誤解は多いですが、販売形態にかかわらず製造した菓子を販売する行為は許可の対象です。メルカリ・BASE・minnne等のプラットフォームでの販売も例外ではありません。
委託販売——カフェや雑貨店に商品を置いてもらう形——でも同様で、製造者側が許可を持っている必要があります。友人への無償配布は対象外ですが、「材料費として受け取る」場合でも実質的な販売と見なされうるのです。
取得の手続きと施設要件
申請先と費用の目安
菓子製造業許可の申請先は、製造所を管轄する保健所です。申請手数料は都道府県によって異なりますが、おおむね1万5千円〜2万円程度が目安となっています。
申請の主な流れは「事前相談→施設の改修・準備→書類申請→施設確認検査→許可証発行」です。事前相談の段階で保健所の担当者に施設の状況を確認してもらうことが、スムーズな許可取得の近道になります。
施設基準のポイント
自宅キッチンのままでは許可が下りないケースが多いため、事前の改修が必要になることがほとんどです。保健所が確認する施設基準の主なポイントを挙げておきます。
- 製造室が居住空間・トイレと区分されていること
- 専用の手洗い設備(自動水栓が望ましい)
- 食品専用の冷蔵庫・保管庫
- 十分な換気・照明設備
- 清掃しやすい床・壁の材質(タイル・FRPなど)
特に「居住空間との区分」は厳格に確認される項目です。製造室と台所・居間が地続きになっている場合、扉や壁による分離が求められます。賃貸の場合は大家の許可も必要なため、物件探しの段階から保健所への相談をお勧めします。
豆知識 — 2021年の食品衛生法改正で何が変わったか
2021年の改正で注目されたのが、HACCPの概念に基づく衛生管理計画の作成義務化です。大規模事業者だけでなく、個人の菓子製造者も対象になっており、「衛生管理計画」を書面で作成・保存することが求められています。
「計画書はどう作ればいいの?」と不安になる人も多いですが、保健所が雛形を提供していることが多く、まず相談に行くことで具体的な指示を受けられます。手作りお菓子の販売を考えている場合、商品企画より先に保健所への相談を最初の一歩にするのがベストです。
手作りお菓子は、丁寧に作れば作るほど「売ってほしい」と言われる機会が増えるものです。その一歩を踏み出す前に、菓子製造業許可という「スタートラインの準備」を整えることが、長く続けられる販売活動への近道になります。
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