言葉と論理の話

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ゴキブリという名前には、一文字足りない——「御器かぶり」の「カ」が消えた1884年

江戸時代の百科事典を開いても、「ゴキブリ」という虫は載っていません。そこに書かれているのは「御器噛(ごきかぶり)」。いまの呼び名より、一文字だけ長い名前です。この「カ」は、どこへ消えたのか。手がかりは、明治17年に出た一冊の用語辞典に残って...
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「あばたもえくぼ」の「あばた」は天然痘のあと——病気は消え、ことわざだけが残った

「あばた」とは、天然痘が治ったあとに顔へ残る小さなくぼみのことです。惚れた相手なら、その痕さえ笑ったときのえくぼのように見える——「あばたもえくぼ」は、そういう言い回しです。意味は誰でも知っています。ところが「あばた」のほうを実際に見たこと...
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「蜃気楼」の「蜃」とはどんな生きものか——気を吐いて楼閣を見せる大ハマグリ

「蜃気楼」の「蜃」は、空や天気を表す字ではありません。生きものの名前です。しかも大きなハマグリを指します。海の上に浮かぶ楼閣は、その貝が吐いた息が形になったもの——古代の中国はそう説明していました。三文字のうち、いまの科学に引き継がれたもの...
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「馬鹿」の語源は決着していない——馬も鹿も、音を借りただけの当て字

「馬鹿」という字を分解すると、馬と鹿が並びます。けれど意味の上では、この二頭はどちらも無関係とされています。音を写すために選ばれただけの字だからです。では、その音はどこから来たのでしょうか。ここが厄介なところで、国語辞典の語源欄にはいくつも...
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ボクシングの階級名はなぜ鶏や羽根なのか——「バンタム」はジャワ島の港の名前

ボクシングの「バンタム級」のバンタム(bantam)は、小型の鶏を指す英語です。しかもその鶏の名前は、インドネシア・ジャワ島の港町から来ています。日本では井上尚弥選手の活躍でいちばん耳になじんだ階級名かもしれませんが、もとをたどると鶏小屋に...
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北海道の地名はなぜ読めないのか——「別」「内」「川」は、もとをたどると同じ一語

「音威子府(おといねっぷ)」「妹背牛(もせうし)」「歌志内(うたしない)」。北海道の地図には、漢字をいくら眺めても読み方の見当がつかない地名が並んでいます。読めない理由ははっきりしていて、これらの漢字が意味をまったく担っていないからです。北...
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「寝耳に水」は耳に水が入る話ではない——寝ている耳に届いたのは洪水の音

「寝耳に水」の「水」は、耳の中に入った水ではありません。もとの形が指していたのは、眠っているところへ聞こえてきた大水の音でした。400年ほど前の書物に残る用例をたどると、この言い回しが生まれた場面がはっきり見えてきます。そのうえ「寝耳に擂り...
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「本命」「対抗」「大穴」——選挙報道の言葉は競馬新聞から広まった

「本命」「対抗」「大穴」「ダークホース」。選挙の開票速報で当たり前のように流れるこれらの言葉は、たどっていくとほとんどが競馬場と競馬新聞にたどり着きます。政治の言葉でもスポーツの言葉でもなく、馬券を買う人たちの言葉が、いつのまにかニュースの...
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ロバ・馬・ポニーは何が違うのか——種が違うのはロバだけ、ポニーは「大きさ」の呼び名

ロバと馬は、別の種の動物です。いっぽうポニーは種でも品種でもなく、体高147センチ以下の馬をまとめて指す「大きさの呼び名」にすぎません。三つを横一列に並べると、とたんに分かりにくくなります。迷う原因ははっきりしていて、生きものとしての区分と...