文化と価値観の話

社会と仕組みの話

祝日と祭日は何が違うのか——祭日は廃止され、日付が残った

祭日という区分は、法律の上では1948年になくなっています。いまカレンダーが赤くしている日は、すべて「国民の祝日」です。それでも「祝祭日」という言い方は生き残り、辞書にも項目として載り続けています。消えたのは呼び名のほうで、日付のかなりの部...
社会と仕組みの話

「定礎」とは何か——板の裏の箱を開けるのは建物を壊す日

建物の入り口のわきにある「定礎(ていそ)」の板。その裏には、金属の箱が埋め込まれていることがあります。中身は建物の図面・その日の新聞・当時の貨幣・工事に関わった人たちの名簿。そして箱を開ける日は、建てた時点ですでに決まっています。建物が壊さ...
言葉と論理の話

落語と講談は何が違うのか——会話の芸と、読む芸

寄席の高座に小さな机が置かれていたら、次に上がるのは落語家ではなく講談師です。落語と講談を外から見分ける目印として、これがいちばん分かりやすいものになります。ただし机は結果であって、理由ではありません。机が要る芸と要らない芸に分かれたのは、...
歴史と変遷の話

化粧の始まりはなぜ赤い色なのか——白粉より前の日本

日本の化粧といえば、白粉(おしろい)を塗った白い顔を思い浮かべる人が多いはずです。ところが日本列島で人が顔に塗った最初の色は、白ではなく赤でした。北海道の約1万7千年前の遺跡からは、赤い顔料の付いた石が見つかっています。一方、白粉が記録にあ...
文化と価値観の話

こいのぼりはなぜ家族構成になったのか——江戸は黒い鯉一匹

江戸の町で最初に揚がったこいのぼりは、黒い鯉が一匹きりでした。お父さんもお母さんも子どもたちもいません。竿の先で、真鯉が一匹だけ泳いでいたのです。いま見慣れている三匹・四匹そろった姿は、そこから二百年ほどかけて少しずつ足されていったものです...
歴史と変遷の話

神輿には何が乗っているのか——祭りのあいだだけ神が宿る

神輿(みこし)に神様が乗っているのは、祭りのあいだだけです。浅草神社の三社祭は「本社神輿神霊入れの儀」で始まり、「本社神輿御霊返しの儀」で幕を閉じます。乗っていただき、済んだらお返しする。この往復のためにある道具が神輿です。保管しておく箱で...
歴史と変遷の話

表千家と裏千家は何が違うのか——屋敷の表と奥から

表千家と裏千家を分けているのは、教えの正統さでも作法の格でもありません。京都の寺之内通(てらのうちどおり)に面して建つ茶室が「表」、その奥に建つ茶室が「裏」。呼び名の出どころは、屋敷のどこに建物があるかという、それだけの話です。三千家(さん...
文化と価値観の話

銭湯の壁はなぜ富士山なのか——東京の一軒から広まった

銭湯の壁の富士山は、日本中の銭湯にあるわけではありません。大阪の銭湯に入ると、壁を飾っているのは焼き付けたタイルの絵であることが多く、あの大きな富士山は見当たらないのが普通です。では東京の壁には、なぜ富士山が並んだのでしょうか。理由は一つで...
歴史と変遷の話

花火大会はなぜ夏に多いのか——江戸の涼み舟の商い

隅田川の花火は、享保の飢饉とコレラで亡くなった人を弔うために始まった——よく語られるこの説明は、明治から昭和にかけての四十年ほどのあいだに組み上がったものです。コレラが日本で最初に流行したのは1822年(文政5年)で、起源とされる1732年...