ことばと論理

言葉と論理の話

爪楊枝の頭の溝は何のためにあるのか——こけしに見立てた

爪楊枝の持ち手側にある黒い部分は、着色でも焼き印でもありません。製造の途中で切り口が焦げてしまい、その焦げが落ちなかった跡です。困ったのは作り手のほうでした。黒ずんだ楊枝は売り物として見栄えがしません。そこで刻まれたのが、あの何本かの溝です...
歴史と変遷の話

印籠とは何を入れる箱か、水戸黄門はなぜあれを見せるのか

印籠(いんろう)は、薬などを持ち歩くための小さな容器です。テレビの中で高々と掲げられ、その場の全員がひれ伏す、あの箱。本来の中身は権威ではなく、腹痛や切り傷に備えた常備薬でした。そして、いまも本物の印籠を腰に下げて仕事をしている人がいます。...
歴史と変遷の話

花魁と遊女は何が違うのか、横並びではなく入れ子の関係

「花魁(おいらん)」と「遊女(ゆうじょ)」は、横に並べて見比べる二つの職業ではありません。遊女が総称で、花魁はそのなかの上のほうだけを指す呼び名です。しかも花魁は、江戸の吉原でしか使われなかった言葉でした。万治(まんじ)元年、西暦でいえば1...
言葉と論理の話

切腹は本当に腹を切っていたのか——扇子を使う「扇子腹」

記録に残るいちばん古い切腹は、武士の名誉ある最期ではありませんでした。988年、盗賊として追われていた貴族が捕らえられ、その場で自分の腹を刺して翌日に獄中で死んだ——それが最初の一例として挙げられます。そして時代が下ると、今度は逆のずれが起...
歴史と変遷の話

ちょんまげはなぜ頭を剃るのか、剃刀のない時代はどうしていた?

時代劇でおなじみの、頭のてっぺんを丸く剃り上げた髪型。あの剃った部分は、戦国時代のある時期まで剃られていませんでした。剃るのではなく、毛を抜いてつくっていたのです。使ったのは木でできた毛抜きでした。額から頭頂にかけての範囲を、一本ずつつまん...
言葉と論理の話

乾杯のマナーは国でどう違うのか——水で乾杯しない国

乾杯でグラスを合わせる理由は、実のところ分かっていません。毒を盛られていないと確かめるためだ、という説明を聞いたことがあるかもしれません。あれは後から作られた話とされ、いくつもの検証で根拠のなさが指摘されています。ところが妙なもので、「グラ...
言葉と論理の話

NIPPONとJAPANはなぜ使い分けるのか、切手と旅券で違うわけ

郵便切手の隅には「NIPPON」と印刷されています。ところがパスポートの表紙に金色で押されているのは「JAPAN」です。どちらも同じ国を指しているのに、綴りがまるで違います。この食い違いは、うっかり揃え忘れたわけではありません。「NIPPO...
言葉と論理の話

ミドルネームとは何か、日本にないのはなぜ?

ミドルネームは、姓と名に続く三つ目の名前ではありません。英語圏の名前は「与えられた名(given name)」と「受け継いだ姓(surname)」の二種類でできていて、ミドルネームは前者の仲間です。ファーストネームの相棒であって、姓と並ぶ独...
言葉と論理の話

南京錠の「南京」はなぜ南京なのか、別名は「西洋錠」

辞書で「南京錠」を引くと、別名の欄に「西洋錠」という言葉が並んでいます(精選版 日本国語大辞典)。東の都市の名を冠した錠に、まったく反対の方角の別名が付いている。どちらかが間違っていそうに見えますが、じつは二つとも間違っていません。「南京」...